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水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第四章 水無月学園生徒会は、平凡なる毎日を所望しています
43/68

43,グランドクエストⅣー神殿の守護者ー



ガシャァァァン………………………!!!


開幕早々、その真っ白な巨大騎士は私達のいる方向に同じく白い剣を振り下ろしてきた。

私とシノはなんとか横に飛び去り、攻撃を回避する。




「開幕早々………手荒いお出迎えだな………っ」




どうやら、私とシノは同意見みたい。


ただ、今の私達にはどうすることもできない。敵の攻撃パターンが読めなくちゃ、動いたらすぐに即死の可能性だってある。


でも、このBOSSの他の情報は分かってる。

最終ボス【グランディア・ガーディアン】。HP20000、ATK5000、DEF10000。つまり、一撃でHPが持ってかれる=即死。シノは防ぎきれるかもしれないけど、私のDEF値は200で、武具の効果を合わせても400ほど。HPは260。絶対に防げない。

それに、この守護者ガーディアンの弱点は魔法攻撃。打撃攻撃はあまり効かない。私が攻撃するしかないけど隙がない……………



そんな風に考えていた、次の瞬間。

急に、シノの叫び声が聞こえてきた。




「ヒマリ!範囲攻撃が来る!!」




その声に、私は我に返った。

思えば、真っ赤な攻撃ゾーン………次に攻撃が来る場所の中に、私は入ってしまっていた。



やばい………逃げれない!!



私が顔を青ざめるのと、辺りが紫色の光に覆い尽くされるのと、私を金色の光が包み込んだのは、本当にほぼ同時だった。













あ、あれ?無事……………?


私はきょろきょろを辺りを見渡して不思議に思った。

ボスは、どこか疲れたように中央でうずくまっている。




「ララ、ナイスサポート!」




駆け寄ってきたシノが、飛んできたララに親指を立てて賛辞を贈る。

ララも、にっこりと笑ってグーサインを返した。



そ、そっか。ララが聖光結界を張ってくれたんだ…………



その事実に気が付いた私は、横にいたララを捕まえて、握りしめない程度に抱きしめた。




「ありがとぅぅ!!!ララ!!ほんとありがとう!」

『いっ、いえいえっ!ヒマリ様のためなら、喜んでこの身を捧げます!』





ララを解放し、私達はハイタッチを交わす。




刹那。





キィィィン…………………


心地よい快音が、辺りに響き渡った。

目の前には、透明な結界と、それに防がれた白い大剣。




「あー、まだボス倒せてないからな。」

『"精霊弾幕・解放"、"放射・水野蝶"!』




あ………………危なかったぁ………………


今度は、私とララとで真っ青になる。

が、それも数秒ほどのことで、すぐに元に戻った私達は、シノの作戦を聞くことにした。





「あいつが範囲攻撃をする瞬間、このドームの五本の柱が一斉に紫色に光った。その瞬間に、暗黒魔法の範囲攻撃が来た。たぶん、あの柱の色と、あいつの攻撃属性は等しいんだ。

範囲攻撃(大技)のあと、あいつはしばらく中央から動かなかった。だいたいその長さは十五秒。その間ぐらいなら、俺も彼奴に近づける。」

「分かった。私は取りあえず逃げながら魔法を打ってくよ。範囲攻撃が来たら、聖光結界で防御する!」

『それはダメです、ヒマリ様。いくらララの結界が強くても、闇属性以外は全ダメージを軽減できません。

きっと、どこかに回避スポットが…………』

「ウィルの言う通り。攻撃ゾーンの範囲外の場所が五本の柱のどれかに現れる。そこに逃げ込めばいい。攻撃が来るまでは約五秒。防げなくても、受けるダメージは減らせる。」

「ふむふむ……………了解!じゃあ、頑張るよ!」




パチンッとハイタッチをすると、私とシノは結界の中から飛び出した。


属性が分からないから、取りあえず精霊魔法で今使えるものを打っていく。

シノは氷操作で少しずつダメージを与えていくみたい。


コマンドボードを操作しながら杖をかざし、魔法を打つ。

その一連の操作にも、私は慣れ始めていた。



………青色の光、範囲はあいつから前後ろの直線!



柱が光ったのを見逃さなかった私は、自分が範囲外にいるのを見て感じ取り、そのまま魔法を打ち続ける。

時折【合わせ鏡】で魔法を混合させながら、三分の一を削りきる。

そして、あの攻撃が。




『範囲攻撃が来ます!』




ウィルの声に、私は意識を戻した。

さっ、と辺りを見渡すと、一か所だけ、赤色ではないゾーンを発見した。



急いで範囲外の場所に避難する。

数秒遅れて逃げてきたシノは、コマンド操作で何かのスキルを発動直前まで準備する。

私もそれを見習って、鏡魔法【ミドルアーチャー】を構える。







ドッシィィィィィィン!!!!!!!







大きな地響きと同時に、攻撃ゾーンを青い光の柱が覆う。


うひゃぁ………あんなの防ぎようがないよっ。こわっ!

改めてこのボスの範囲攻撃の恐ろしさを見て、思わず私は身震いする。



しばらくして光の柱が消え、白い騎士が真ん中でうずくまる。

私とシノは顔を見合わせ柱の陰から飛び出した。




「魔剣"氷結"、【アイスディバインド】」

「【ミドルアーチャー】!」




私達が攻撃を放つと、大きな煙が辺りを覆う。

私は【魔力感知】を発動してボスの体を視認して、シノが中で奮闘しているのを視た。


私は光魔法【フラッシュ】を放ちながら、時折支援魔法をかける。

おかげで、この15秒で半分以下まで削りきることができた。




「ヒマリ、この調子でいこう!」

「……うん!」











ふと。

ボスの行動パターンが変わった。


剣を天高く持ち上げ、天窓から差し込む太陽の光を切っ先に集めている。

それが、何故か巨大な大樹と重なって見えて……………

…………ん?"大樹"?




ーーーー



『百年に一度の朝、世界樹から露が垂れます。その露には若返りの魔法がかかっているんです。』



ーーーー



ふと、バレッタちゃんの言葉がよみがえった。



…………………。

…………若返りの魔法。



嫌な予感がする。

私は精霊魔法【ホーリーアーチャー】を構え、上空を狙う。


キリキリ……という弓を引く音が小さく響く。



そして、予期していたことが起きた。

集まっていた光がゆっくりと形を変え、大きな滴の形へと変化する。



あれかぁ…………破壊できるかな?

私は片目をつぶって滴に狙いを定める。

騎士に滴が当たるまで、約五秒。





……………中央で、吹き飛ばす。





ついでに合わせ鏡で威力を高めて、簡単に破壊できるようにする。

そして、とうとう滴が大きくなり静かに騎士の兜の上に落ちる。


刹那を狙い、私は精霊魔法【ホーリーアーチャー】を放つ。



パシィン………!



中央に光の矢が刺さり、滴がはじけ飛ぶ。

水蒸気と化した滴は騎士を避けるように飛んで行くけれど、ぎりぎり水蒸気に状態変化しなかった一滴が、騎士の右肩に当たる。


ああっ……破壊し損ねた…………


私は役目を終えた光の弓を持っていたはずの手を開き、代わりに杖を構えた。

そして、気が付いた。




「嘘っ………なんでHPが回復してるの………?!」




半分までHP以下を削ったはずなのに、騎士のHPは三分の二まで回復していた。


やっぱり………あの滴は回復効果があったんだ。

あのままの完全な状態の滴を騎士にかけてたら、HP全回復はくだらないだろうな。




「ごめんシノ!HP回復させちゃった!あの滴、破壊しないと回復されちゃうよ!」

「………了っ解!」




反対側で戦うシノにそう叫ぶと、私は攻撃をよけるためにゾーンを確認することにした。

ついでにウィルとララにも指示を飛ばす。




「ウィル!MPは大丈夫?」

『はい!大丈夫です!』

「おっけー、じゃあ、治癒魔法も兼用できたら兼用してくれる?」

『了解いたしました!』


「ララの方はどう?」

『全然おっけー!まだ大丈夫だよー!』

「よしよし……じゃあ、ララは私の支援をお願い!」

『分かった!頑張るねっ!』




青と黄色のミニドレスが舞い、光の粉を撒きながら様々な方向に散らばっていく。

ボスの残りHP……12000



次こそボス戦終わらせないとぉぉぉ!

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