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水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第四章 水無月学園生徒会は、平凡なる毎日を所望しています
42/68

42,グランドクエストⅢーBOSSとの遭遇ー

短くなってます

そろそろ元のワールドに戻ろう…………(泣)


確かに、若返りの露なんてあったらすごいだろーなぁ……………

ふふふ……と笑っていると、シノがやや引き気味に「怖い」と小突いてきた。


苦笑いして前を向くと、バレッタちゃんが私とシノの目の前にやってきて、ぺこり、と頭を下げた。




『それでは、お部屋にご案内させていただきます。こちらへどうぞ。』




その言葉に私達は立ち上がり、後ろを向いてどこかへ向かうバレッタちゃんの後を追いかけた。








夜。

いつの間にか訪れた暗闇に、私は窓から空を見上げていた。


あてがわれた部屋は一軒家くらいありそうな広さで、まるで王女様にでもなった気分だった。

そして、なぜかシノと同室。ちなみにあやつはお風呂に行ってくると言って消えました(笑)



学園寮があるあたりは、意外にビル群があって星はよく見えない。

でも、ここだと仄かなろうそくの灯りだけで星がよく見える。ここがVR世界なのを忘れちゃいそう!


大きめのベットの上にごろりと寝転がって、私はゆっくりと瞼を閉じていった。











「……………ひより?」





ヒマリが寝てから数分後。

お風呂から帰ってきたシノが、ベットの上で眠るヒマリを見つけた。


グランドクエストでログインができず、向こうの時間ではもうそろそろ半日経つ。

ヤマタノオロチ討伐にいきなりのグランドクエストで、ヒマリの疲れはかなりたまっているようだった。



シノは、ヒマリの頬をツンツンとつつきながら小さく微笑む。




「……………無防備な寝顔………」




彼女を慈しむような眼差しで、シノはそう呟く。



よく「ゲームと現実の境が分からなくなる」と言う言葉がある。

シノは、これがその状況なんだろうな、と思った。



小さい頃。そう、まだ「あの事件」が起こる前の保育園時代の時。


ヒマリー日葵ーとシノー翔ーは、いつもこんな風に戯れていた。

いつでも仲良しで、それに加えて家は隣近所。遊ぶ時はいつも一緒だった。

日葵、翔、そして、"由紀"。彼らはいつでも一緒で、小学校でも奇跡と言わんばかりに同じクラスが続いた。



でも。



五年生のあの日。

「あの事件」を境に、日葵は変わってしまった。



前の笑顔はもう戻ってこない。

"今の日葵"が浮かべているのは"作り物の笑顔"だ。



翔は、いつも心の中でそう思っている。

日葵は近頃ようやく笑えるようになってきた。

それは、日葵が【ヒマリ】でいる時が増えたことで、より多くなった。



今の二人はデータ上の存在で、実際の身体は別のところにある。





だが、翔はここが本当の世界だったら、と思うことも少なくない。





ー日葵が心から笑えるこの場所なら……………


ー日葵は自由になれるのか………………




仮眠状態の安らかなヒマリの寝顔を見ながら、シノは一人、そう考えていた。




生まれてから、今も現在進行形であの忌々しい力に振り回され、挙句の果てには笑顔も消えた。

でも、この何でもアリの世界なら、この子にも、平和が訪れるのかな




大袈裟で飾り言葉ばかりの思いだな、とシノはまた小さく苦笑いを浮かべたが、彼女の自由は彼の本望であり目標でもあるので、まあいいかと思いなおした。



そして、明日の戦いに向け、ヒマリの横で仮眠状態へと入っていった。






ーーーーー



次の日。

現実世界で一日が過ぎた頃。


ヒマリとシノは、初っ端から放心状態だった。




「え?え?えぇ……………」

「いつの間に………………」




起きた瞬間、二人の身体を襲ったのは岩のような硬さ。

昨日の晩までいたはずの、あのベットとは大違い。まさに正反対の感触だった。




「なんで戻ってきたの…………?」

「意味不明。」

『ひ、ヒマリ様!!!』

『あ、あれれ?私達妖精の里にいたはずじゃ…………』




今では懐かしい、ウィルとララの声が聞こえて、私は放心状態から解放された。


えええ………どういうこと?

昨日は確かに大きなベットで寝たよね………ほんと、いつの間にここに転移されたんだろう?

それに、装備が前のエプロンドレスに戻ってる。


なんだか、あのドレスに着慣れかけてたから、ドレスのほんわりした感触がエアで残ってるみたい。




「ねぇシノ………どういうことか分かる?」

「こっちが聞きたい。」




よかった。シノはいつも通りみたい。


ほっと胸をなでおろし、私は起き上がって服についた土をパタパタとはたき落とす。

シノも、やや警戒しながら黒コートについた土を落とした。



私達の目の前にそびえたつ石の扉は、少しだけ間が空いている。

まるで、私達を招いてるみたい。




「……………行く?」

「……………ああ。」




私とシノは手のひらを扉につけて、力を込めて扉を押す。

ウィルとララも加わって、その扉はゆっくりと開き始めた。


そして、次に私たちの目の前に現れたのは。




大きな大きな石のホールだった。




だいたい広さは学校の敷地一つ分。

床は大理石。

真っ白な石の柱が五本、五角形を描くようにそびえたっていて、天井はドーム状。


そして、奥、つまり私達の真向いには、これと同じ扉が小さく見えていた。




私とシノは察した。




あれが、このグランドクエストのゴールだと。

そして、


最終ラウンドの始まりだってことに。










ドシィィィィィィィィン!!!!!!!!!!!!!!!!!









激しい地響きを立てて

真っ新で綺麗だった大理石の床にひびを入れ、


白い石の鎧を纏った巨大な騎士は、私達を兜の向こうで睨みつけながら現れた。







ーグランドクエストⅠ【古の洞窟と精霊神殿】最終BOSS戦、開始ー








ーーーーー



大きな鎧を纏った騎士。

その姿を見て、少女は静かに唇をかみ、両手を握り締めた。


システムコードとともに表示される、グランドクエスト最終ラウンドのBOSSを久しぶりに見て、少女は呟きを漏らす。




「"BOSS グランディア・ガーディアン"

HP 20000

ATK 5000

DEF 10000

弱点は魔法攻撃。HPが二十パーセントを切ると、即死攻撃をしてくる。

特殊スキル【神殿の守護者】"


ひよがいるのはいいけど、しーくんの攻撃があまり効かないのはキツイだろうな。」




まるですべてを暗記しつくしているように、ぼそぼそと言葉を紡ぐ。





「お願い…………ひよ、しーくん、頑張って……………!」






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