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水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第四章 水無月学園生徒会は、平凡なる毎日を所望しています
40/68

40,グランドクエストⅠ



「っ……もう、なんだったの?さっきの光…………」

「同意………一体どういうこと?もしかして……なんかのダンジョンに落ちたのか?」




私たちが放り投げ出されたのは、どうやらどこかの洞窟みたいだけれど、魔法は切れてるし、シノが持ってたアイテムも消えている。カンテラとかの明かりもない。つまり真っ暗っていうこと。


だから、シノやウィル・ララがどこにいるかも分からず、かなり戸惑ってる状況なのだ。

ぼんやりと反響しつつ聞こえてきたシノの声に私は不安を覚える。


すると、どこからか今度はウィルとララの声が聞こえてきた。




『ひ、ヒマリ様~?大丈夫ですか?』

『ヒマリ様~、どこ~?』

「良かった!二人とも無事なんだね!」




やっぱりぼんやりとしか聞こえてこないけど、なんとかウィルとララの生存が確認できてよかったぁ。

たとえ同じパーティでHPゲージとかが表示されていても、位置情報まではわからない。さすがにそんな機能は無いし…………あ。


私はここでとあることに気が付いた。

あるじゃん。位置情報を探る機能スキル




・・・



私は、MPを開放して、支援スキル【魔力感知】を発動させる。


シノから前もって説明をしてもらっていたが、どうやら一部のスキルはコマンドなしでも発動することができるらしい。魔力感知もその中の一つで、MPを10消費すればいつでも発動できるんだって。




んんん…………なんだかぼんやりと魔力の流れが視えるなぁ…………この水色のマナはシノ?でもウィルとララの反応は見えない………あ、いたいた!私よりかなり後ろにいるんだね…………




頭の中に流れ込む光の集合体……マナの形と色の風景で、私は三人を発見する。

どうやら、プレイヤーは人形ひとがたに見えて、精霊は少し小さな人形で表示されるんだね。


っていうか、ライトをもう一回発動させればいいじゃない。


さっきから冷静な判断(?)ができなくなっている私を叱咤して、私はライトを再び発動させる。

そして、魔力感知で察知した方向へと向かう。………なんだか、さっきから若干歩きにくいのは気のせいかな?


数十秒ほど歩いて、シノと合流した私。

…………だけど。




「シノ……何そのかっこ。」

「…………お前も、な。」




ライトによって浮かび上がったシノの格好は、とにかく……変だった。



確か、光に包まれる前は黒いフードマントに灰色の革装備とブーツだったはず。


なのに、今は白いフワフワで縁取られた青色のマントを羽織り、黒の上着に膝下くらいの丈の青いガウチョパンツを着てる。背中には水色の薄い羽。

そして、何故か頭には黒いシルクハット。




「ヒマリも、見てみる?」




私があまりにも長い間シノの格好を見ていたから恥ずかしくなったのか、シノが言葉を発する。

何を見てみるのかよくわからなかったけど、シノが一瞬で作った氷の塊……というか氷の鏡を見て気が付いた。


そう。

私の格好に。




「な、何この格好………………………!?」




藍色の髪、藍色の目は変わらない。

けど。明らかにシノと同じで服が違っていた。


水色のレースがたくさんついたロングドレス。胸元には黄色の薔薇が付いた青色の大きなリボン。

薄い透明な羽織がマントみたいに広がって、背中にはなぜか純白の天使の羽。そして、頭には金色に輝く小さなティアラと天使の輪っか。


なに、これ?リアル天使?

私、こんな装備だったっけ?




「ね、ねえシノ………何これ?」

「俺に聞くな…………」




どうやら反対側も鏡になっているみたいで、改めて自分の格好を見てかなり精神的なHPが削られているようだった。


だけど、なんとか私とシノは合流し、今度はウィルとララを探しに私が元来た道をたどる。

そして数十秒。

ライトに浮かび上がったウィルとララの姿を見て、私達はあんぐりと口を開けた。




「「…………誰?!」」

『あ……ヒマリ様………意味が分からないです、この状況。助けてください。』

『ヒーーーマーーリーさまぁーーーーー!!!』




ウィルは冷静にこちらを向いて助けを乞ってくるし、ララはいきなり泣きついてくるし。

でも、本当にウィルとララなのか、心配になる。




だって、ウィル(たぶん)は水色の羽、水色のストレートロング、紫色の花飾り、青色の瞳、水色のパーティドレスを来た、明らかに()()()()()()の女の子。


で、ララ(たぶん)は、黄色の羽、金色のポニーテールヘア、オレンジ色の花飾り、オレンジ色の瞳、黄色のパーティドレスを来た、明らかに()()()()()の女の子だったから。



え?

本当に……ウィルと、ララ?




『ヒマリ様…………その恰好は………!』

『えええ………シノ様のかっこ…………!』




だけど、ウィルとララも私達の格好に絶句している。

こうして、私達四人は無事合流したものの、数分の硬直を余儀なくされたのでした♪チャンチャン♪







……あ、終わりませんよ?





ーーーーー



【???】



ポンッ


「…………………」




真っ暗だった部屋の中に、突然光が灯る。

中央に鎮座する数台のパソコンの中、一つ画面の電源がついたのだ。


デスクの前に置かれた大きなリクライニングチェアにもたれかかっていた人影は、その音と光を見聞きし、むくりと背筋を伸ばした。

そして、電源が付いた画面に向かい、マウスを動かす。




「え、【グランドクエスト】通知…………?」




人影は、ぽつり、とそう呟いた。


次の瞬間。

人影が素早く左右を行き来し、すべてのパソコンの電源を入れる。

部屋の電気もつき、一気に部屋が明るくなる。



床につきそうなほど長い黒髪を急いでまとめ、その少女はデスクの中央に陣取って、キーボードを動かし始めた。




「嘘っ………ほとんど出ることがないキークエストは基、グランドクエストっ?誰が………」




カチャカチャカチャ


キーボード音が響き渡る。

ふいに、彼女の黒い瞳が一つの画面にとどまった。



【古の洞窟】



「ひ、ひよ……()()()()………?」




そこに映るのは、暗闇の洞窟に浮かび上がる四人のパーティの姿だった。



ーーーーー



「あ、なんかクエスト出てるよシノ。」

「ああ。俺のところにも来てる。」




暗い洞窟の中を進んでいると、突然ピロリンと音がした。

すると、目の前に少しの文字群が表示された。





【グランドクエストⅠ・古の洞窟と精霊神殿】

種類:グランドクエスト

適正レベル:ー

クエストランク:S


〈クエスト内容〉

洞窟の最奥に眠る精霊神殿への門を開き、神殿への道を開け。


〈クリアボーナス〉

???





……なにこれ?


ぐ、【グランドクエスト】って、あれだよね?あの、ストーリークエスト・キークエスト全部をまとめて、プレイヤー全員が目指す最終目標みたいなやつ、だよね?


……マジですか………


というか、精霊神殿なんてあるのね。

やっぱり天空世界のほうなのかな………



すると、シノがぼそりと言った。




「ヒマリ。取りあえずこのクエストクリアしないとここから出れない。ログアウトも外部への転移もできなくなってるから。」

「えええ?ログアウトができないのはヤバいって!!」




かなり深刻な状態なのに冷静な声で告げるシノに多少イラっとしながらも、私はメニュー画面を開く。

…………確かに、シノの言う通り、ログアウトができなくなってる。

ログアウトするためのボタンが薄暗く表示され、何度タップしても変わらない。


私はがっくりと肩を落としながらメニューウィンドウを閉じた。

否、閉じようとした。




…………【神に愛された精霊姫】ヒマリ?




ステータスに表示された、通常であれば【ヒマリ】だけである名前欄にあるこの言葉を見るまでは。




「えええ?!ちょっ、ちょっとシノ!ステータス見てみてよっ!」

「な、なにヒマリ………いきなりさ。」

『ひ、ヒマリ様?ちょっと落ち着いてください!!』




たぶん今の私の顔、すごく怖いんだろうなぁ。

引きつった三人の表情を見るだけでもそう思う。


渋々、という風にウィンドウを開くシノ。

数秒後。私と同じリアクションを取って、私達のほうを向いた。




「はあ?!何これ?!ヒマリ!!そっちはなんて書いてあった?!」




その様子は、私と同じ感じだったんだね。




「私は【神に愛された精霊姫】だって」

「俺は【精霊の加護を受けし龍王子】だった。」




顔を真っ青にした私たち二人は、あのステータスにしばらく呆然としていた。

背後でそびえる鋼鉄の門は、私達を迎え入れるかのように、少しだけ間を作ってくれた。




四人の名前変化後

【神に愛された精霊姫】ヒマリ

【精霊の加護を受けし龍王子】シノ

【水を司る古の精霊】ウィンディーネ

【光を司る古の精霊】ライテイリア

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