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水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第四章 水無月学園生徒会は、平凡なる毎日を所望しています
37/68

37,作戦会議とティスイ君!



私は、もう沈黙を貫くことに決めた。

私と同じ時に入ったヒロ君でさえ会話に加わっているというのに、…………このボッチ感があああああ!



「………なに一人で狂ってんの。」

「ううう、うるさいシノ!」



どこか小うるさい幼馴染にどつきながら、私はがっくりとうなだれる。

すると。



ポンポン。



ふいに頭をやさしくたたかれた。

顔をあげて、優しい手をたどると、そこにいたのは笑顔を浮かべたエン先輩だった。



「大丈夫、ヒマリ。シノはただの天邪鬼だからな。それにヒロは、元々場に馴染むのが得意な性格だから、気にしなくていいと思うぞ。」



まっ、眩しい………!

ここに神様が降臨されたよ!!



「………俺は神じゃないぞ。」

「ヒマリ、冷静になってよく考えろ。」



………あ、あれ?


エン先輩の苦笑いの後に続いたシノの言葉に、私は冷静になった。


まてよまてよ。

さっきから、私ほとんど言葉を口にしてないよね?


………ん?


エン先輩は、私の左隣に座ってる。

つまり、というかもちろん、伸びてきた手は右手……………"右手"?!






能力TIPS!

読心とくしん能力】

エン基蒼の持つ特殊能力・読心能力は、世間一般でいう「心を読む」力である。

何もしなくても聞こえる、その人を見る、などタイプは様々だが、蒼の場合、右手で触れたものの心を読むことができる。






……そんなTIPSいらないよ!

私は、ドーン、とTIPSを殴り倒し、エン先輩に詰め寄った。



「エン先輩………まさか読んでいたんですか…………」

「すまない。ヒマリ、かなり苦しんでるみたいだったし。」



くそぉ、忘れてた。

私の能力も反映されてるんだから、皆の能力も反映されてるんだよ……………って、初めて皆のステータス見たときに思ったじゃん!!



「ヒマリ、お前も出場するのだから、加われ。」

「ヒマリん、早く!今回の唯一のサポートなんだからさ!」

「ヒマリさん、早く作戦会議しましょうね♪」

「そーだよヒマリ、加わってよ!」



うわぁ……………

私、こんなに幸せでいいのかなぁ…………



「いいと思うぞ。人それぞれに配られる幸せは平等じゃないかと思うが。」



おお、いいこと言いますねぇエン先輩…って



「エン先輩、そろそろ心を読むのやめてください。」

「同感。手、離して。」



シノが冷たい目でエン先輩を睨みながら手をはたく。

私は、「シノ……エン先輩は一応年上だからね?」と読まれなくなった心の中でつぶやいた。



ーーーーー



「茶番はそれぐらいにしろ。始めるぞ。」

「すみません………」



うぐぐ、なんで私が謝ってるの?!

私は巻き込まれた側だよ!



リョウ「草原と闘技場は、いつもの戦闘と同じだ。」

ミネト「じゃあ、市街地と渓谷と森林は、配置決めないとねー。」

ヒナタ「近接・遠距離が二人一組になっても、今度は一人近距離余るよね?前までは六人で、シノ君が遊撃行って遠距離が一人余ったけど。」

ナイト「じゃあ、俺一人で回る。レゥイいるし。」

リョウ「そうか。なら頼むぞナイト。」

エン「組み合わせはどうするんだ?」

シノ「………ミネト以外で。」

ミネト「ひどっ!」

ヒナタ「じゃあ、シノ君とリョウ先輩・僕とミネト・ヒロ君とエン先輩、でいいんじゃない?」

リョウ「その根拠は?」

ヒマリ「……属性とか?」



確か、シノは風・氷、リョウ先輩が炎と……何かで、えっと、えっと………

私が思い出せずにいると、そこに、絶対記憶の手助けが………



ナイト「シノが風と氷、リョウが炎と闇、ヒナタが草と風、エンが草と氷、ヒロが炎と光、ミネトが闇と光。ヒナタは、それぞれの属性がかぶらないようにしたんでしょ?」



おおお!さすがナイト先輩!



エン「そうだな。じゃあそのペアで行くか。」

シノ「…………ちょっと、いいですか?」



エン先輩が決定を発言したところで、突然シノが手を挙げた。

シノは、ピシッと隣の私を指さして言った。



「ナイト先輩はソロでもいいとして、こいつ一人で大丈夫なんですか?」

「同意!!!」



そうだ。

私の担当はサポート担当。

私が見てきたゲームでも、後ろから援護する回復役は真っ先に狙われやすい。私のステータスはATKは高くても、DEFが大変な状況。もしウィルとララがいなければ私は即失格だろう。


だけど、リョウ先輩とナイト先輩はたやすく私とシノの異議(?)を打ち破った。



「ティスイなら絶対に守れる。契約主の俺が言うんだから間違いない。」

「ヒマリは規格外だ。案ずることはない。」



………………。



「あの、遠回しにディスってませんか?」

「気のせい。」

「気のせいではないのか?」



すみませんでした。

私は速攻でお二人に謝ってから、ずっと気になっていたことを口に出した。



「ところで、さっきから会話に出てくる"ティスイ"って誰ですか?」

「俺の契約獣。」



……………。

ナイト先輩が速攻で返事を返してきたのにも驚きましたが、契約獣…………!?



「な、ナイト先輩って、職業錬金術師ですよね?!」

「うん。」

契約者サモナーなんて職業なかったですよね?!」

「うん。」

「なんで契約できてるんですか?!」

「報酬。」



私の三連撃を「うん。」と「報酬。」というわずか一単語で返したナイト先輩は、短く、要点だけを言った。



「シークレットクエストをやって、それでもらったスキル報酬が【契約サモン】。」

「は、はあ…………」



分かりやすいような、分かりにくいような……………。

まあ、うちの生徒会規格外ですから!!!


取りあえず疑問が何となく解決したところで、再び会議は本筋へと戻った。



ーーーーー



「取りあえず、各自レベル上げをしておけ。シノ、お前は龍化がアリーナまでに覚えられるのなら覚えておけ。ヒマリ、お前は治癒魔法の取得だ。ヒナタもレベル上げとアイテム購入を任せる。」

「了解。」

「分かりました!」

「おっけー♪」



ふぅあぁ………………



『ヒーマリ様っ!』

『お疲れ様です。』

「ララ、ウィル!」



会議が終わり、各自自由になったところで、私の可愛い相棒二人が私に飛びついてきた。



『治癒魔法、覚えるんでしょ、ヒマリ様!頑張って!!』

「うん。ありがとう!……そういえば、ウィルは治癒魔法持ってたよね?教えてくれる?」

『はい!分かりました。』



良かったぁ。これで一安心かな。

私が笑顔で二人と話していると、突然肩をポンッと叩かれた。



「ヒマリ。」

「うぎゃぁああ!……な、なんだ、ナイト先輩か…………」



後ろに立っていた錬金術師兼サモナーのナイト先輩は、私がほっと一息なでおろしたのを見て言った。



「ティスイ、見せるから、来て。」

「あ、分かりました……」



ちょいちょい、と手招きをして、ナイト先輩は裏側のガーデンへ私を誘導する。

そっか、そうだよね。一緒に戦うなら顔見知りになっておかないと!


どんな子だろう!

女の子かなぁ、男の子かなぁ?猫とかワンちゃんとか可愛い系アニマルかも!

あ、でも実は大きな熊とかライオンみたいなのかも…………


そんな私の思案は



「サモン:ティスイ、レゥイ」



現れた巨大ドラゴンに踏みつぶされた。

……………………………。



「あれ、ヒマリ?」

『ヒマリ様ー?』

『………フリーズしちゃってますね。』



………はっ!気を失っていた!

我を取り戻した私は、改めて目の前にそびえたつ塔…じゃなくてドラゴンのティスイを見上げた。


水色を基調にした大きな体。海みたいな蒼色の目。銀色のとがった角。あれ、右側の翼に大きな切れ込みみたいな傷があるなぁ。



「この子がティスイ。種族は龍のウィンズドラゴン。風・火属性で、龍の国の北フィールドボス。」

「へぇ、すごく大きな龍なんですねー………ってはぇ?!フィールドボス?!」



私はふとあの南フィールドの大きなジャイアントスパイダーを思い出す。

お、大きい………想像以上だ。



「ティスイ、縮小化。」



ナイト先輩がコマンドボードを操作してティスイ君にそう言うと、ティスイ君はみるみる小さくなって、手のひらに乗っかるくらいの大きさになった。

そこで、私はもう一匹のナイト先輩の契約獣に気が付いた。



「あれ、この猫ちゃんは………」

「レゥイ。種族はルナイズキャットで闇と光属性。」



真っ黒な体に左右で違う目のオッドアイで、尻尾が黒から先に行くほど黄色になるグラデーションになっている。……なんだか、あの某有名アニメに出てくるモンスターのブラ○キーっぽいけど、違うね。


ナイト先輩は、小さくなったティスイ君を私の手のひらにのっけて言った。



「ティスイ。こいつはヒマリ。危なっかしいがいいやつだ。アリーナでこいつの援護頼む。」

『Gooo!』



か、可愛い!!

手のひらの上で吠える水色の龍は、私に精霊と違う可愛さを見出してくれた。

私はレゥイちゃんと同じくらいの目線になるようにしゃがみ込み、にっこり笑ってレゥイちゃんの頭を撫でた。



「レゥイちゃん、私はヒマリ!よろしくね!」

『Naaao♪』

「ふぅん……人見知りのレゥイとティスイが一瞬で懐くとか……さすがヒマリ。」



よしよし、と二匹を撫でたり、ウィルとララを紹介したりして、私は一日をしっかり満喫した。

私は、少しフィールドでレベル上げをしてから、薬を届けるクエストをクリアして報酬をいただいてから、今日は早めにログアウトした。



ーーーーー



「日葵、」



晩御飯。

人も少なくなってきた食堂で一人日葵がご飯を食べていると、突然翔が声を掛けてきた。



「んぐ……どうしたの?翔。」

「隣、いい?」



トレーを持った翔は日葵の同意の印を見て、静かに席に座る。

日葵のA定食セットの残りはあと半分を切り、翔はこれから簡単な軽食を取るようで、トレーの上にはサラダと果物、後お味噌汁が乗っていた。



「日葵、魔力感知って知ってる?」

「まりょく、かんち……ううん。」



聞いたことのないスキルに、日葵は首を横に振る。

「いただきます。」と手を合わせサラダに手を付けながら翔は言った。



「最近追加されたらしいんだけど、人や魔獣の気配を探れるようになるんだって。」

「へぇ………すごいねそのスキル!」



日葵は唐揚げを食べながら興味津々で翔の話に耳を傾ける。



「北フィールドのフィールドボスを倒すと、低確率で付与されるらしい。

ねぇ日葵………………取ってみたら?」

「無理だよ、私のレベルじゃ」

「【知っていれば、助けられた。未然に防げれた。】」



ふとつぶやいた翔のセリフに、苦笑いして断ろうとした日葵は口をつぐんだ。

そして、その言葉がぐるぐると頭を混乱させる。



「取っておいて損はないと思う。行ってみる?明日。」

「翔も、行くの?」

「ああ。あと少しで龍の国解放されるから、ついでに。」



小さく笑う翔はつづけた。



「行く?別に脅してるつもりじゃないけど。」

「………………うん。」



表情を曇らせた日葵は、小さく頷いた。

さすが翔はまずいと思ったのか、日葵の頭をぐしゃぐしゃと撫でて言う。



「ごめんごめん。強制するつもりはないから。…………別に、来れなくても大丈夫だから。」



そう言うと、翔は空になったお皿の乗ったトレーを持って返し口へ去っていった。

残された日葵の瞳には、強い意志の光が灯っていた。


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