31,アップデートが終了しました!
帰ってきましたファンツリ!
翔とのデートの次の日。
日葵はヘッドギアを手に、深呼吸を繰り返していた。
つい5分前に、Fantastic Tree運営のSNSに上がっていた超大型アップデート終了の告知を見て、彼女は急いでヘッドギアを取り出したのだ。
現在、AM8:34。
日葵は、もう一度大きく深呼吸してから、異世界への鍵をかざした。
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二日ぶりのファンツリの世界。ログインした後も少し変わっていた。
いつもなら、Fantastic Treeのタイトルが流れ、お知らせを混ぜながらLoadingが始まる……のだが、少し長めのダイジェスト映像が流れ、タイトルが現れる。
そして、続いてLoadingに移るかと思いきや、メッセージが私の目の前に表示された。
【アップデート終了後のお知らせ】
この度は、Fantastic Treeをご利用いただき、ありがとうございます。
超大型アップデートにより、多くのプレイヤーの皆さんにご迷惑をおかけしました。
今回のアップデートで、システムの幅を広げ、新エリアなどの追加を行いました。
ステータス画面、メニュー画面も変え、より見やすく改良致しました。
また、この度のアップデートで、ログイン時本人証明のため音声パスコードを導入いたしました。お手数とは思いますが、ネットワーク犯罪防止のため、ご協力をお願いします。
次の画面でパスコード設定を行います。
そのままでお待ち下さい。
………パスコード?
あー、そういえば、今日のニュース速報で、ネット犯罪が多発しているって言ってたっけ。
私は、脳内で今朝のニュースを思い出しながら、黙って言われた通りに黙って待っていた。
【それでは、パスコード設定を行います。
マイクボタンを押してから、音声コマンドを入力してください。】
20秒後、そんなメッセージが現れ、マイクの形をしたキーと、決定キーがメッセージの下に表示される。
どうせなら、覚えやすいものがいいよね。
そんなことを考えながら、私は思いついた音声パスコードを口に出した。
「向日葵!」
…………決して自分のこと意識した訳じゃないから!!!
ーー
無事パスコード設定を終えた私が、水色の光とともにログイン転送された場所は、リョウ先輩のテイルの中にある、自分の部屋のベットの上だった。
横たわった体を起こして、私は檜の床に足を着く。
なんだか、ものすごい久しぶりな気がする。
そう思いながら、私は目の前の空間をダブルタップしてメニュー画面を呼び出す。
さっきのメッセージにあったように、確かにメニュー画面の仕様が変わっている。
前のメニュー画面は、背景が水色で、【アイテムボックス】、【装備】、【マップ・検索】、【フレンド】、【設定】の五項目が正五角形を作るように並んでいた。ステータスは、装備の中にあった。そして、時刻が右端に日付とともに表示されていた。
でも、今度のメニュー画面は、左と右で大きく半分にわかれていた。
左半分には、今まで装備の欄にあったステータス。このステータスも若干仕様が変わっていた。
また、ステータスの下にはお金の残金が表示されていた
今度は右半分。
五つの青いウィンドウが一列に並んでいて、上から【アイテムボックス】・【マップ】・【装備品】・【フレンド】・【設定】の見慣れたウィンドウだった。
中身も、いくら機械オンチの人でも動かしやすいようにユニバーサルデザイン化されて使いやすくなっていた。
時刻表示は、相変わらず右端だったけど。
一通り確認し終えると、私は静かに立ち上がり、ドアへ向かう。
………と、その前に。
「サモンズ、ウィル!ララ!」
『もう!呼んでくれなくて寂しかったよー!!』
『まったくヒマリ様はぁ…………』
「あはは……ごめんごめん。」
少しすね気味な二匹の精霊達に謝り、私は今度こそドアノブをひねった。
一階には、誰もいないようだった。
すかさずメニュー画面を呼び、フレンド欄を見つける。
ここは前と同じようで、フレンド一覧からプレイヤー名の横のマークでログインしているかログアウトしたかが分かるよう。ちなみに、ログインしていれば赤星で、ログアウトしていれば黒星がつく。
結果、シノとナイト先輩とエン先輩はログインしていて、他のみんなはまだログアウト中みたいだった。
って事は、街に繰り出しているか、フィールドで狩りしてるのかな?
そういえば、湊が「明後日は久々に実家に帰らないといけないんだよね~」って言ってた気がするから、あいつは今日はログインしてこないだろう。
湊の家は、うちとはちがって友好的なご両親で、能力を高めるためにミナガクに湊を預けている。まあ、湊の両親は元々共働きで忙しいしねー。たまには帰ってきてほしいだろうし。
『ヒマリ様?今日はどうされますか?』
「うーん………特に予定もないし、クエストでも探しに行こうかな?」
『分かった!じゃあ今日はお散歩だねっ♪』
前から思ってたけど、ウィルとララの精神年齢が違いすぎる気がするんだよね。
ウィルは大人っぽいけど、ララはすごく子供っぽい気がする。
『………ヒマリ様、今ものすごーく失礼なことを思ってたよね。』
「……ハハハ、キノセイジャナイノカナー?」
私は笑ってごまかすと、ギルドに行く前に、ステータスを改めて見ることにした。
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ヒマリ Lv13
種族 ガブリエル、水精霊
職業 精霊術師
属性 光、水
HP 270
MP 200
SP 185
ATK 460
DEF 180
INT 180
DEX 110
AGL 200
称号 逆転・精霊姫
スキル
魔法:水魔法≪Lv1≫ 光魔法≪Lv1≫ 精霊魔法≪Lv3≫
支援:光の神の加護
特殊:水操作≪Lv-≫ 殺気≪Lv-≫ 非表示
光精霊・水精霊との契約
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おおお!
すごい、スキルがなんか分かれてる!
そして、備考が消えた!
確かに前よりも見やすくなったね。
私は右手でメニューウィンドウを払い、削除すると、再びウィルとララとの会話に入った。
ステータス情報の変更点
・HP~AGLの並びを変えました。(SP欄が上に行っただけです。)
・スキルの表示が変わりました。(魔法、打撃攻撃、支援、生産、特殊に分けました。)
・備考を消しました。(カッコ悪いからです。数行改行して下ろしました)




