3,始まりの生徒会
出だし下手でごめんなさい
「皆さん!これをしませんかっ?!」
「「「「「「「は?」」」」」」」
私ー望月日葵ーは、七人の前にババァーンと四角い箱を突き出した。
完璧なドヤ顔で、ふっふーん、と昼田先輩のように偉そうにほぼない胸を張る私。
すると、思った通り、あやつから小さなツッコミが聞こえてきた。
「…………………出だし下手くそすぎだろ…………………」
「うるさいぞ!翔!!それを言うなら作者に言って!」
ぷくっと頬を膨らませ、私は翔ー篠塚翔ーに反論する。
幸い、私は地獄耳なので、あなたの言葉は手に取るようにわかるんですー
ドヤ顔で、斜め前に座ってスマホをいじる無表情の幼馴染に、私は心の中で言う。
「ひまりん、それってさぁ……………」
「そうだよっ!今話題の新作ゲーム、【Fantastic Tree 世界樹と大精霊】略して【ファンツリ】でーす!」
「うわぁ………確か、五月に発売されて即完売だったゲームじゃなかったっけ?すごいねぇ、日葵ちゃん。」
湊ー華峰湊ーと水樹くんー真広水樹ーが、私の持つ箱を見て驚いたように言う。
「ふぅん……………それ、予約限定版のだよね。パッケージが若干違う。」
「よく分かりましたね、氷沢先輩。その通りです!」
氷沢先輩ー氷沢奈糸ーは、名字と同じ氷のように透き通った水色の瞳を細めて、私を静かに見つめてくる。
さっすがコアゲーマー。
私はにっこりと笑うと、長細い円卓机の周りに並べられた椅子の一つに座ると、もう一度言った。
「この生徒会メンバーみんなでやりませんか?っていうか、やりましょう!」
「「「「「「「………………………。」」」」」」」
うすうす感じていた呆れたようなみんなの表情を見ながら、私は内心冷や汗をかいていた。
ううっ……………お願い、お願いします…………………
ぎゅうっと机の下で手を強く握る。
すると突然、低く、威厳のある声が私の耳に響いた。
「望月。何故それをしたいと思った。」
びくっと肩を震わせ、私は前を見る。
そこには、ミナガクの絶対的魔王、昼田先輩ー昼田涼雅ーの射すくめるような視線があった。
…………………やっぱり、来ますよねぇ……………
でも、それも想定の範囲内だから、私はやや緊張気味に話す。
「今更ですけど、生徒会の親睦を深める目的。それと、新たなことへの挑戦………ですかね?」
「ふむ…………………」
ただならぬ重ぐるしい雰囲気に、周りの音がいっきにシャットアウトされる。
生徒会室には、私を含め、他七人の小さな息遣いと翔のスマホをいじる極小の操作音だけが響く。
ここは私立水無月学園。
隣の町に建つ人気の中高一貫校、皐月学園と肩を並べるほど人気のある学園。
制服はないし、文化祭も豪華だし、有名な企業へ進む人もかなりでてるし。
まさに物語にあるみたいな最高の学校。
なのだけど。
この学校には大きな秘密がある。
それは、
生徒全員が、サイコパワー、つまり、【超能力】を持っている、【超能力者】なのだ!
以下の説明は省かせていただくが、今集まっている八人(日葵もいれて)は、この水無月学園の生徒であり、その中でも、エリート中のエリート。
学年総選挙で選ばれた、各中高等部一名と、生徒会試験と言う中間テストの学年一位をとった各学年一人で構成されている。
ちなみに、日葵と湊は学年総選挙で、その他六名は、生徒会試験の一位を取ったからだ。
私の学園紹介がちょうど終わる頃、タイミングばっちりで昼田先輩が口を開いた。
たぶん、このシリーズは書き終わり次第、十二時に掲載する予定です