23,装備ゲット!
西側の門の近くと表示されたリユさんのお店。
そこは、もう「可愛い」としかいいようがなかった。
「すごぉい!精霊用の服もあるんですね!」
「ええ。たまに、妖精と契約している精霊術師がいるからね…………まあ、精霊と契約している人なんて初めてよ。」
お店は、クラシックな木造の三階建てだった。
一階と二階がお店で、三階はお店の店主、リユさんのおうちらしい。
リユさんの店「リトルドール」は、現実世界で言うところの「コスプレ」を扱っているようで、アリスの水色エプロンとか、魔法使いのフードマントとか、人気アニメの制服をリメイクしたもの(いわゆるコスプレだね)とかがずらりと整列していた。
もちろん、服だけじゃなくてアクセサリーもあった。
「それにしても、ギリお爺ちゃんが紹介してくれるなんて珍しいね。人当たりはいいけどこんなことするなんてさ。」
「そ、そうなんですか?」
「うん。」
リユさんは、見た目は十歳前後だけど喋り方は大人。本当の歳は20歳ぐらいらしいけど。身長も私の半分ちょい上の胸辺り。俗に言う「幼児体型」で「童顔」(本人に言ったらすごい怒られそう)。
「それで、どんな装備にする?」
「あ………特に決めてはないんです。」
「ふうん……………じゃあ、【攻撃特化】・【防衛特化】・【サポート】・【バランス】・【素早さ特化】の中から選んで。」
「そうですね……………出来れば【防衛特化】と【サポート】がいいですね。」
私は、自分のステータスを思い出しながらつぶやく。
私のDEF値がやばいのをね。
「でも、あなたは精霊術師でしょ?どっちかが防衛特化をとればいいんじゃないかな?」
「はい…………でも、単独行動した場合、DEF値が低かったら即リスポンなので、そのためにも。」
「……………………【サポート】は?」
「正直前線に出るのは嫌なので、後ろからの後方支援をしたいと思って。」
そういえば、と私は思い出す。
ウィルとララのステータス、見たことない。確か契約精霊のステータスって見ることできるんだよね。
………………よし、後で見てみよう。
そんな感じに考えを巡らせていると、リユさんの声が聞こえた。
「ヒマリ、大丈夫?」
「………はい。ごめんなさい。」
「ん…………………あなたに合う装備、見つけたよ。【防衛特化】と【サポート】タイプの。」
リユさんは無言で私にスクショを送ってくれた。
【天海のエプロンドレス】
評価 A
効果 DEF値+90
備考 天界にあるという海の加護を受けた天使が縫製を手掛けたエプロンドレス。
製生スキルを持っていると、属性付属効果をつけることができる。
【白精霊のミュール】
評価 A
効果 DEF値+50、精霊魔法の威力+70
備考 白をつかさどる精霊が作ったとされるミュール。鉱石をつけると、付属効果を得る。
【白精霊のヘアカチューシャ】
評価 A+
効果 回復魔法、状態魔法、暗闇魔法他の補助魔法効果+90
備考 白をつかさどる精霊が作ったとされるカチューシャ。白精霊の装備を一つ以上身に着けていると、それに加えてDEF値・AGL値がそれぞれ+50される。
「うわぁ!すごいです!」
「そう…………喜んでいただけて幸いだわ。………お会計は、全部で10000Gだけど、ギリお爺ちゃんの紹介料で2000Gおまけするから、全部で8000Gよ。」
は、8000G………………よ、良かった、ぎりぎりある。
残りは1000Gになっちゃうけど、討伐クエストでお金は入るだろうし、問題ない。
私はリユさんに8000Gをトレードする。
「うん。確かにちょうどいただいたわ。少し待っていて。持って来るから。」
「はい。」
そう言って、リユさんは細い足を動かしてとことこと店の奥へと消えていった。
その間、私はウィルとララのステータスを確認することにした。ちなみに当の二人はショーウィンドウを行ったり来たりしてた。今度は買ってあげるからね。
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◇ ◇ ◇
ウィル Lv30
種族 契約精霊〈水精霊〉
属性 水
HP 1500
MP 1000
ATK 1000
DEF 400
INT 300
DEX 350
AGL 300
SP 1000
スキル 水操作 不老不死 幻想弾幕・水神 治癒術 幻想 ウォーターボール☆
備考 水の神の加護 ヒマリとの契約
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇
ララ Lv30
種族 契約精霊〈光精霊〉
属性 光
HP 1500
MP 1000
ATK 400
DEF 1000
INT 300
DEX 330
AGL 210
SP 1000
スキル 光操作 不老不死 聖光結界 錬金術 幻想 ライトニングボール☆
備考 光の神の加護 ヒマリとの契約
◇ ◇ ◇
ーーーーー
は、ちょ…………………
アハハハハ!チートかな?!
不老不死とか、チートかな?!
攻撃特化、防衛特化とか、チートかな?!
アハハハハハハハハ!
『ヒマリ様、怖い。』
『ララに同意します。』
「あああああ、ごめん、ごめんって!嫌わないでぇ…………」
「あのー」
突然現れた二匹に嫌われかけたところで、リユさんの子供らしい高めの声が聞こえた。
「何やってるの?出来ましたよ。」
「あああ、ありがとうございます!」
「装備の仕方は、まず装備設定を選んで……………」
引き気味のリユさんからトレードしていただいた装備品を、私は早速装着する。
青っぽい魔法陣が頭から体を通って足先まで流れていくと、私は白と青のエプロンドレスに着替えていた。
まさに、アリスのエプロンドレスのよう。エプロンにもドレスにもひらひらのレースが付いていて、膨らんだ袖は手を動かしても全然大丈夫。襟元には天使の羽みたいな金色の刺繍がされていて可愛い。
ミュールは、私が想像していた靴みたいにヒールは無くて、ちゃんとぺったんこ。といっても少しはヒールがあるけれど、高すぎず低すぎず、動きやすいように改良されてる。基調としているのはやっぱり白だけど、所々銀や黒のビーズがちりばめられていて可愛い!
ヘアカチューシャは、基調を銀色として、黒の鉱石が一列に並んでいて、所々に白いダイヤモンドみたいな石がはまっている。藍色の私の髪とは相性がよさそう。
「うん。いいと思う。」
『ヒマリ様っ、かーわいー!』
『お似合いですよ、ヒマリ様!』
「そ、そうかな……………」
三人(一人と二匹)に褒められて、私はすっかり恥ずかしくなってしまった。
ピロリン♪
初心者クエスト5【装備を購入する】をクリアしました
"チコルの実×10"をプレゼントボックスに贈ります
初心者クエスト6【衣類・武器を装着する】をクリアしました
"薬草×10"をプレゼントボックスに贈ります
おお!一気に二つもクリアしちゃった。
私は表示されたテロップを呼んで、心の中でニコッと笑う。
(ちょっと待って……………ヒマリ様、むっちゃ可愛い!)
(無自覚って怖いわね。)
(ヒマリ様は、マスターの言ってたあいどるっていうのになれそうだよね……………)
顔に心境が浮かんでしまう、それが望月日葵です。
☆・・・契約出来るNPCのスキルに付いている。このマークがついているスキルはコマンドが必要になる。




