20,チート武器が手に入ったんですが………
ひとしきり水で遊んでいると、ギリお爺さんが言った。
「そうじゃ。本題から逸れておったわい、ヒマリ。お主の武器を作ってやらねばのう。」
「ああっ、そうでした!」
お水で遊ぶのが楽しすぎて忘れてたよ!
男子組はそれぞれで武器を見て周ると言っているので、私は早速ギリお爺さんと商談を始めた。
「まず、職業によって武器の種類が変わってくる。
主に、精霊術師や妖術師、幻術師、薬術師、弓術師、治癒術師、召喚術師は遠距離系の武器。
槍術師、飛行術師、錬金術師、魔術師は中距離系の武器。
短剣士、暗殺者、種族の冒険者、剣士、体術家は短距離系の武器、
商人は、売るのが仕事じゃが、やはりLv上げにフィールドに行く者が多くての。商人は中距離武器が多い。
まあ、主にはこういう分け方じゃから、違う者もおるぞ。」
「へぇー、そうなんですか。」
じゃあ、私は遠距離系の武器かな?
それなら杖とか?
すると、ギリお爺さんが「ちょっとまっておれ」と言って店の奥に入り、何やら大きめの木箱をもって来た。
「これが、初心者向けの遠距離武器のサンプルじゃ。
杖、弓がやはり主流じゃの。」
おおおっ!
その木箱の中には、木で模られた細長い魔法の杖と弓が入っていた。
「ヒマリはどちらにするかの?」
「もちろん杖です!」
「やはりの。」
ふふふ、と含み笑いを残し、再びギリお爺さんは店の奥に消えて、今度は手ぶらで帰ってきた。
「では、これから杖の構造について決めていくぞい。
まずは大きさじゃが、大中小と三種類あるが、どうするかの?」
「えーっと…………出来れば小さめがいいんですけど、小さいのでどれぐらいの大きさですか?」
「そうじゃなぁ…………普通のノートの縦の長さくらいかの。」
「じゃあ小にします。」
「分かった。次は色と形じゃ。どんなのはいいかの?」
「そうですねぇ……色は水色と黄色と銀色がいいです。
杖自体の色が銀色で、水色と黄色の紐がくるくるーって杖に巻き付いているみたいな!」
「それは、杖にくっついているほうがいいのか?」
「いえ。浮いているほうがいいです!」
「分かった。それなら全部で1000Gじゃが………」
え?!
わ、私お金ないかも?!
そういう支出入のログを見ていない私は、慌ててステータスを見るけど、お金の欄はやっぱり0だった。
ど、どうしよう!
「あの………お金が…………」
「それなら、10000Gがチュートリアルが終わった時に配られてるから、プレゼントボックスにあるんじゃない?」
ミネトの言葉に、私ははっとする。
確かにっ!
私は急いで画面を表示させて操作する。
無事プレゼントボックスを発見すると、そこには10と数字が付いていた。
《未受け取り》
・10000G
・精霊の石 100個
・涙の石 50個
・オークの木材 5個
・白樺の木材 5個
・鉱石〈ルビー・サファイア・エメラルド・トパーズ・ガーネット〉 各3個
・治癒ポーション 3個
・解毒ポーション 2個
・採集セット
・絆の石 5個
計10個
私は総受け取りを選択して、すべてを受け取る。
そして、
「じゃあ、1000Gをお渡ししますね。ええっと………ギリお爺さんに1000Gをトレードっと………」
私は、画面を操作してギリお爺さんに1000Gを渡す。
「よし、確かに1000G受け取った。じゃあ、これは儂からのプレゼントじゃ。」
ピロリン♪
CPUギリから、【精霊の杖】と【彗星バッチ】のトレードを申し込まれています。
受け取りますか?
???
彗星バッチ?
聞き覚えのないアイテム名に、私は首をかしげる。
「あの、ギリお爺さん。【彗星バッチ】ってなんですか?」
「ふふふ……………それは鑑定してからのお楽しみじゃ。」
えええー、ずーるーいー!
ぷくぅっと頬を膨らませつつも、私はトレードを受けた。
ピロリン♪
初心者クエスト3をクリアしました
"10000G"をプレゼントボックスに贈ります
テロップを急いで見てから、急いで二つの品を鑑定をする。
【精霊の杖】
効果 ATK+200、DEF+200
評価 S+
備考
プレイヤー ヒマリのために作られた特注品。
八大精霊の水精霊と光精霊の加護がかけられている。
この二匹と契約をしている者にしか扱えず、炎・闇属性には効果二倍。
【彗星バッチ】
効果 幸運になる(運+50)
評価 A+
備考
七夕フェスティバルで特別に配布されたバッチ。
限定50個の物で、持っているものは数少ない。
な、な、な…………
「何このチート杖っ!」
「ちょっとヒマリん、スクショ送って。」
私は急いでミネトに杖のスクショを送る。
そして、それを見たミネトが声を上げた。
「ちょっ、何このチート杖……………」
「み、見せて見せて!」
「僕にも!」
なんか男子三人が集まってこそこそとしているのは、たぶん私が送ったスクショを回してるんだろうなぁ。
その間に私は……………
「あの、ギリお爺さん。評価S+とか、効果のとか、どういう意味ですか!?」
「ぬ?いや、いつも通り作っただけじゃが……………まさかS+の物が出来るとは思わんかったわい。
評価は、D、C、B、A、A+、S、SA+、S+、SS+の9段階での。SS+が一番高いんじゃ。武器も装備も、やはり使うものを選ぶからのぉ。」
「……………杖は魔法使いを選ぶっていう、あの某有名映画シリーズ第一話みたいな感じですか?」
「そうじゃ。」
私はギリお爺さんの話を聞いて、主人公が杖を持つと風が巻き起こるあのシーンを咄嗟に思い出していた。
「まあ、よいではないか。杖も喜んでおるようじゃしの。」
「……………はあ………………」
それで済ませていいのかなぁ……………
私は思案顔で思う。
すると、スクショでの談義が終わったのか、そうそうヒナタ君の怒号?が飛んできた。
「ちょっギリ爺!なんてもの作ってるの?!+200の効果って!」
「ギリさん!すごいですけど、ヒマリさんのためにある武器は武器でも、二倍になるのはひどいです!」
「同意するよ、ヒナタ君、ヒロ君。」
ぶーぶーと非難が飛ぶ中、ギリお爺さんは「そんなの知らんわ」という顔で私に話しかけてきた。
「ヒマリよ。近くに服のいい店があるんじゃ。行ってきたらどうだ?」
「本当ですか!じゃあ行ってみたいと思います!」
わあっ、服かあ…………可愛いのあるかなぁ?
もうルンルン気分の私に、ギリお爺さんは言った。
「儂の紹介と言えば、少し安くなるじゃろう。これをリユに見せれば分かるじゃろうて。」
ギリお爺さんになにやら金色の徽章を渡された。
なにこれ?
ひし形のような………でも、8辺あるし………だけど、そのうちの4辺は短いし………しかも、長いほうの辺四つの中間には三角の出っ張りがあるし……………なんだろ?
とにかく、私はギリお爺さんにお礼を言って店の外に出た。
さっき、ギリお爺さんが【リユ】という単語が聞こえてきたから、たぶん名前だよね。
私は検索機能で「リユ 装備 服」と検索して、そのお店へと向かった。
次はまた掲示板回になります。
ヒマリよ、早く討伐クエスト行こう?(泣)




