表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第三章 水無月学園生徒会は、隠れ最強副会長 望月日葵を育成します
19/68

19,武器屋さんで水操作を覚えました!

すみません!

番号が変わってたことに全然気が付かなかったでした。


そうして私は、一度テイルに戻ってから(なんか、ナイトが「ちょっと戻るから」と言ったから)、南に十分ほど歩いた繁華街にやってきていた。


あの後、リョウ先輩とエン先輩は一度ログアウトしていった。用事を済ませてからまた来るらしい。

シノは市場に残り、ナイトは途中まで一緒だったけどどこかへ行ってしまった。



「…………………ここ、どこ?」

「『武器屋ギリグル』。少なくとも、僕が知っている中で一番良い武器屋さんだよ。


ギーリさーん、また来たよー!」



確かに。

私の目の前に建つその木造平屋の家の中には、剣や弓矢とか槍とかが壁一面に飾られていた。


なんか、物騒。


ちょっとだけ私が後ずさりしたところで、ヒナタくんが大声で店内へ叫んだ。

すると、少し間を置いてから、店内から野太い老人の声が響き渡ってきた。



「なんじゃいっ!静かにせんかいっ!」

「僕だよー、ヒーナーター!!」



と言いながら、ヒナタ君は店内へと足を踏み入れる。

続いて、ミネト、ヒロ君、私の順番で入っていった。


すると。



ドシーン!!



きゃあっ?!

突然大きな足音が耳に飛び込んできた。



「なんじゃ、ヒナタか。久しぶりじゃのう。」

「久しぶりー、ギリ爺。」

「ギリさん、僕も来たよ。」

「おお、ミネト。ようきたの。」



そう話しながら現れたのは、お店いっぱいにその巨体を広げる大男だった。


お、お、お、大きいっ!


斜め右に立つヒロ君も、唖然としたようにその大男を見上げる。

すると、ヒナタくんが私達のほうを向いてにっこりと笑った。



「この人が、ギリグルの店主のギリ爺だよ。トロール種だからおっきいの。

ギリ爺、ちょっと新しい子が怖がってるから小さくなってあげたら?」

「お、おお。」



ギリと名乗る髭のおじいさんは、ヒナタくんの呼びかけに首を捻りながらぼそぼそとつぶやいた。


???あ、もしかして【詠唱】ってやつ?


そういえばこれは異世界ゲームだったっけ。

改めて事実を思い出した時、ギリお爺さんの体がぱあっと光り、その閃光が静かに消えると私達より若干高い背の、さっきと同じ髭の長いトロールさんが屈託のない笑顔で立っていた。



「新しい旅人か!儂はギリ。この武器屋の店主じゃ。

お主らはヒナタとミネトの知りあいかの?」

「は、はい!私はヒマリと言います!」

「同じく、ヒロです。」

「ほお、なかなかよい奴らじゃのう。ヒナタ、またいい知り合いを持ったものじゃな。」

「さすがギリ爺、お目が高いね。」



見た目とは裏腹に、ギリお爺さんはとても明るくてフレンドリーな性格みたい。

私も、その笑顔につられて思わず笑みをこぼす。



「ほぉ……………ヒナタ、とんだ上客じゃな。」

「やめときなよギリさん。ヒマリんに手ぇ出したら、うちの副会長がPVP仕掛けてくるよ。」

「あー、それ同感!」



あ、あれ?三人は何の話をしてるんだろう。



「どうしたんですか?」

「(無自覚って怖いのぉ……………)……………いいや、なんでもないんじゃ。それより今日は武器を買いに来たんか?」

「そうそう。まずは南フィールドで手慣らしを、ね。後、ヒロの武器もついでにお願い出来るかな?」

「心得た。お嬢さんは……………ヒマリと言ったな。ヒマリ、お主職業はなんじゃ?」



ギリお爺さんの目が職人の目になる。

ななな、なんか、ギラついてない?



「せ、精霊術師、です………………」

「タッグ済みかの?」

「い、いえ………通常?の契約です………」

「ほう……………じゃあ、精霊水晶を見せてくれるかの?」

「は、はい………………」



私は、ウィルとララに貰った右手首にかけられたブレスレットをギリお爺さんに渡す。

すると、耳元でかすかにララの声がする。



『ひ、ヒマリ様ぁ…………なんか、あの人怖いよぉ……………』

『あんな簡単に、精霊水晶を渡して大丈夫なのですか?』



びくびくと震える二匹の精霊達。


か、可愛いっカワ(・∀・)イイ!!

っていうか、こんなところでいたんだね、二人とも。


私の藍色のロングヘアの後ろで、二人の宝石のような双眼はギリお爺さんを見つめていた。



「ふふ、大丈夫だよ。優しい方みたいだから。」

『『で、でもぉ………………』』



ひょこひょこと、また二人は髪の後ろへ隠れてしまった。

すると、今度はギリお爺さんの野太いしわがれた声が聞こえてきた。



「ヒマリや。」

「は、はいっ!」

「お主…………水精霊と光精霊と契約しておるのか?」

「……………はい。」



一瞬どうやって答えればいいのか分からなかったけど、無難に答えた。

すると、ギリお爺さんは割物に触るかのように、大切に精霊水晶を私の手にのせてくれた。



「八大精霊と契約を交わすとは、珍しい精霊術師じゃの。」



八大精霊…………そう言えば、リョウ先輩もそんなこと言ってたっけ。



「あの、ギリお爺さん。八大精霊ってなんですか?」

「おや、お主知らんのか?


八大精霊っていうのは、炎精霊サラマンダー水精霊ウィンディーネ草精霊ノーム風精霊シルフ花精霊フラウィア光精霊ライテイリア闇精霊ダークロナー氷精霊アイスバレッティの、八つの属性を持つ八匹の精霊のことじゃよ。稀に、こやつらの力をもってやってくる旅人もいるのじゃが。


確か、ヒナタは草精霊ノームで、ミネトは闇精霊ダークロナーだったと思うのじゃが。」



んんん?

そーいえば、この前ステータス見たときにそんなこと書いてあったっけ。



「それなら、私のステータスにもそんなこと書いてあったような…………確か、水精霊ウィンディーネ?」

「な、なんじゃと!?」



おおっ?

ギリお爺さんの声が店内に響く。



「そう言えばそーだったねー、ヒマリん。」

「水精霊かの……………そうじゃな、少し説明しようかの。

ヒマリ、まずは頭の中で小さな水の塊を思い浮かべてみよ。」

「はい……………」



いきなり始まったギリお爺さんの講義。

私は言われたとおりに頭の中で水の塊を思い浮かべる。


お水……………お水…………お水の塊……………


すると。



ぽょんっ!




「おおっ、すごいですねっ!」

「一発で成功させちゃったよ……………」

「さっすがぁ!」

「ふむ…………………」



わわっ!

私の目の前に、ふよふよと回転しながら浮く水の泡が突然現れた。


す、すごいっ!



「これが【特殊スキル】というものじゃ。コマンドなしで発動できる特殊攻撃での、精霊族の者と特定の旅人に宿るといわれておる。」

「へぇー…………」



その時、私はあることを思いついた。


もしかして、思い浮かべる形を変えると、この球体の水も変わるかも!


私は、水の球体を保ちつつ、その球体から三角を思い浮かべる。

すると、目の前の水の塊も三角に変わる。


四角にすれば四角に変わって、ちょっと複雑なイルカの形にすればイルカの形に変わる。



『す、すごいです……………素晴らしい気の操作ですっ……………』



耳元で、ウィルの声が聞こえる。

きっとキラキラとした目をしてるんだろうなぁ。


私は夢中になって遊び始めた。




ピロリン♪

CPUギリの協力のもと、特殊スキル 【水操作】 を解放しました





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ