「エミール」とは
ようやく本文に入っていきたいと思っていたのだが、まだ本文には入らせてもらえないようである。
そもそも「エミール」という本には、どんなことが書かれているのか。
それを簡単に紹介したい。
前回、私はルソーが自身で教育をしなかった後悔から、『父親として子どもをこの様に育てたかった』と懺悔や願望で書いたのではないかと予想した。
その点もあってか、「エミール」自体の内容は、ルソーが『エミールという名前の架空の男の子』を教育していくという内容である。
その教育は、エミールが生まれてから結婚するまでのおよそ20数年であり、その間、エミールの発達段階に合わせて、5つの期間を分けている。
なお、その5つの期間とは、現在の子どもの期間に分けるとこのような感じになる。
1、乳幼児の頃 2、小学生 3、中学生 4、高校生頃 5、青年期
(私が所持している岩波文庫では、上巻が乳幼児から中学生まで、中巻が高校生、下巻が青年期の感じになっている。)
ふと疑問に思う人もいるかもしれない。
なぜ、ルソーはこうも現在の子どもの教育期間にピッタリと合うように分けていたのか。
それは、この「エミール」に影響を受けた、ペスタロッチー、オーウェン、フレーベルの存在もあろう。
(ペスタロッチーは今でいう小学校を、オーウェンは保育園、フレーベルは幼稚園を始めた人物とされている。)
そして、現在の日本の教育もフレーベルやペスタロッチーからの幼稚園、小学校教育を受け継いでいることから、現在の子どもの発達段階を初めて分けた人物はルソーなのかもしれないと、私は考えている。
(ルソーが生きていたころは、心理学がそれほど研究されていたとは聞かないし、エリクソン、ピアジェ、マズローなどの心理学的に発達段階を分けた人物もまだ生まれていない。)
余談であるが、最近は中高一貫の学校も出てきているが、それらの学校でも発達段階に分けた教育をしているではあろうが、それらの学校は中高の6年間を勉強について時間を持たせようとする動きでもあり、子どもの発達段階ではなく、大学受験に向けた学校作りの結果であろうと感じている。
(たしかに、現在の教育自体が進学(偏差値)に縛られた形になっている面もあり、そいうい面に特化した学校の形なのだろう)
話を戻そう。
前述したと通り、「エミール」は男の子の教育について書かれている内容になっているが、一部違う内容のことが書かれている。
それは「エミール」の第5編(岩波文庫では下巻)に当たるところである。
第5編の半分近くを使い、ルソーは『女子(女性)教育』について書いている。
本文には、エミールの妻になる女性の『ソフィー』という人物が登場してくる。
ルソーは、自身が教育してきたエミールにふさわしい女性として彼女を扱うが、いかに彼女が育ったかを示しているのが、『女子(女性)教育』の肝になっているのである。
ということで、次回は「エミール」に書かれている『女子(女性)教育』について書いていきたいと思います。
今後は、のんびりと書いていきたいので、更新は遅くなるかもしれませんが、気長にお待ちくださいませ。