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『父親としての教育』への注目


今回は話の内容に入っていく前に、1つ明らかにしておかなければならないことがあろう。


あらすじにも書いた通り、「エミール」から家庭教育と父親としての教育について書いていくわけであるが、なぜ、父親としての教育を含めたかを書いておきたいと思う。


まず「エミール」の序盤には、ルソー自身も「エミール」は家庭教育について書いたという点や良き母に贈るとも書いている。

その文を見る限りは、『やはり家庭教育を書いていくには母親が必要』と思ってしまう。

(ちなみに、良き母という表現は、一説には、ルソーがお世話になったある女性を差しているとも考えられている。)



私はこの表現から、家庭教育(母親重視)の視点で、「エミール」を読んでいったが、第4編(岩波文庫でいうと中巻)に入っていくと、理解に苦しむ点が多くなり、一時いっとき読むのを離れてしまった。



普段の私なら、この時点で「エミール」から離れていくはずであったが、この時に私はある疑問を思い出した。


それは、『なぜ、ルソーは「エミール」を書いたのか』という点である。


中学校や高等学校では、ルソーは「社会契約論」を記し、後のフランス革命に影響を与えた思想家であると習うだろう。


そんな社会派とも思える思想家が、教育についても本を記しているのはいささかではあるが、腑に落ちない部分もあった。


そこで私は、ルソーの生い立ちを調べてみることにしたのである。



ただ、ここではそのルソーの生涯を事細かく書くことは避けたいと思う。


しかし、その生涯からルソーが教育について考えるようになったと思われるポイントを3つ挙げたい。


1つ目は、ルソー自身が両親から満足に愛情を受けられなかったと考えたのではないか。


ルソーの母親は、ルソーが生まれて間もなく亡くなったとされている。

また、父親については、ひとり親で兄とルソーを育てていくが、街の権力者とのいざこざで、街から追い出されてしまう。


そこからルソーは、知り合いや教会などを頼るしかなくなるのである。



2つ目は、ルソー自身は子育てをしていないということである。


成長したルソーは、女性と結婚し、何人か子どもを授かるのだが、そのすべての子どもを教会等(施設)に入れてしまうのである。

この理由には、諸説ある。

ルソー自身が金銭的に困窮していたという点。

または、ルソー自身が妻の両親の教育に良い印象を持っていなかった為に、子どもへ母方の教育を受けさせたくなかったという点。


いずれにせよ、ルソーは自分で子どもを育てることはしなかった。



3つ目は、歳を取ったルソーは、子育てをしなかったことに後悔した点である。


子育てをしなかったことに後悔したルソーは、教会や施設に預けた子どもがどうなったかを知りたくなり、教会などを訪れたが、子どもには出会えなく、どこに行ったかも分からなかった。


なお、「エミール」もこの頃のルソーが書いた本とされている。



この3つから、私は、ルソーが「エミール」を書いた本来の目的は、当時のヨーロッパの子育て状況に警鐘を鳴らすためではなく、ただ純粋に、ルソー自身の『父親として子どもをこういう様に育てたかった』という気持ちなのだろうと考えたのである。

つまり、ルソーの懺悔、後悔の面がでた作品なのだろう。



そう結論に達した私は、再び「エミール」の第4篇を読むと、すんなりと先へ読めて行ったのである。



だからこそ私は、ルソーの「エミール」には『父親としての教育』がテーマの1つになっていると考えたからこそ、家庭教育=母親の教育だけはなく、父親としての教育についても、「エミール」から読み解きたいのである。



では、次回こそ本文に入れたらいいかな・・・

まだ、本文以外で何か書くことになるかな・・・




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