みんなでゲリラ君
以前、徴兵制について国民皆兵でゲリラとして戦うのだ、と仰る人がいたから、それをネタに書いてみた。
書きながら、なんでこんなにもアホなことを書いているんだろうと心底不思議になってきた。
20XX年、日本は長年政権与党だった政党への国民の不満が頂点に達し、政権交代が実現した。
しかし、交代した政権にも不満が溜まり、また別の政党へ政権交代が行われ、その政党への不満が溜まり、を繰り返し続けた。
その結果、とんでもない政党が政権与党となった。
政党名『日本を絶対に守りたい党』略称が『守る党』という政党であった。
政策は安全保障が最優先で、安全保障のためなら経済や国民生活なども犠牲にしたものであった。
財源を確保するため社会保障を諦め、年金などの既に納めている分についても返金しない、というとんでも政策で確保した。
まず、着手したのが食の安全保障を守るため、都市部にいる住民を強制的に地方に振り分け、自給自足が体制の確立であった。
さらに戦略資源の安全保障では、石油などの資源がほとんど産出しないという問題への解決策の一つとして完全配給制と移動の制限が実施された。
企業は国営化されていき、多国籍企業は設備を放棄して国外に拠点を移した。
鉄道各社も国営化され、鉄道庁として一本化された。
移動の自由が無かったため、旅客輸送は兵員輸送や要人輸送などに限定され、貨物輸送が主流となった。
自由な移動が禁止されたため、国民は車などの動力付き車両の保有も基本的に禁止された。
これにより、高速道路や主要道は全て放棄され、後述するが安全保障のために転用された。
これらの諸政策で、石油などの日本が自給自足困難な戦略資源の節約と効率的な使用を行った。
守る党が公約に掲げた日本は食糧や資源の安全保障の実現を達成して、公約を守ったとして国民から支持を集めた。
マスコミなどは資源の無駄として完全に解体されていたため、この達成の報告は政府広報で行われた。
政府広報も資源節約のためペーパーレスで全て口答で行われ、国民からはその徹底振りと政府や与党が率先して公約を実現する姿勢に感動していた。
守る党は公約の安全保障と自主防衛の実現のため、その前提だった食料や資源という命綱を他国から自国に取り戻すことに成功したことを受け、第2段階に進んだ。
既に学校は、公立学校のみとなっており、身分や出身、性別、信仰を問わず小学校に全員が通い、そこで最低限の語学の知識と適性検査を行い、それぞれにあった学校に進学となる。
国民の大多数は農家となることが義務付けられる。
この学校に軍事教練を追加し、卒業後も定期的な軍事教練を義務付け、完全な国民皆兵制度に移行した。
完全な皆兵制度では軍事教練を受ける段階で兵役に就き、生涯にわたって予備役として登録されることとなる。
守る党は日本の自主防衛に適した国内に豊富になる資源だけを使った完全国産の小銃と対戦車地雷を開発して、量産して全国民に配布した。
この小銃と対戦車地雷は農村の設備でも作れること、量産性に極めて優れること、極めて安価であることを条件に開発されている。
全国民に小銃と対戦車地雷を配布し、山の中や街中など各地に大量に備蓄されることとなった。
しかし、弾丸の原料の確保が問題視され、黒色火薬なども使われたが、国会では最重要問題として集中論議が行われた。
火薬の用途として、弾丸よりも対戦車地雷などが優先された。
このため、軍事教練では資源不足の日本に適した方式として、竹槍やお手製の弓矢、ブービートラップを主眼に教育が施された。
経済を犠牲にしたことと、敵からの攻撃への脆弱性が問題だったため航空自衛隊と海上自衛隊は解体された。
また、離島も国家リソースと安全保障から放棄された。
陸上自衛隊も解体され、新たに全国民を予備役とした国民防衛軍が組織された。
国民防衛軍は安価で携帯性、秘匿性に優れ、完全国産の装備のみとしたため、戦車や装甲車、ヘリコプターといった高額で外国に頼る必要がある兵器は破棄された。
日本周辺には隙間無く機雷を敷設して、機雷敷設のための船舶や小型艇だけは国民防衛軍に改変された後でも現有する海上戦力であった。
機雷は安価で作るために肥料を用いた肥料火薬で機雷を量産して、生産された機雷は順次敷設された。
日本中の海岸線にも地雷を敷設していき、かつての主要道にも障害物とともに地雷が敷設された。
日本周辺には隙間無く機雷を敷設しても、既に日本は全ての資源を自給自足できる体制になっていたため、問題は無かった。
敵が攻めてきても、海と敷設した機雷で敵揚陸部隊を迎え撃ち、上陸した敵部隊は地雷でお迎えする。
それでも、進軍してくる敵も進軍ルートに敷設した障害物や地雷が行く手を塞ぎ、全国民が最後の一人になっても戦う国民総ゲリラとして敵軍に挑む。
ゲリラとなり、敵後方や側面を奇襲し、少数に別れたところを奇襲し、油断したところを奇襲し、昼夜を問わず奇襲し、敵の戦力と士気を削っていく。
戦車などの重量物が相手でも、対戦車地雷を両手に持って肉弾攻撃で、即席爆弾で撃破していく。
例え、小銃の弾薬が尽きたとしても、竹槍と日本中に仕掛けられたブービートラップによって戦いは続く。
敵は度重なる命を捨てたゲリラ攻撃に、どんな国のどんな軍隊でも日本占領を諦め、退却する。
これが日本を絶対守る党の公約である防衛戦略の趣旨であった。
軍事訓練を施され、戦う術を身につけ、武器を持った国民たち。
守る党のぶっ飛んだ政策に急激に苦しむ生活、例え震災が起きても、インフラがボロボロになることで障害物となり、日本を占領する価値が下落し、国家リソースの節約になる、として復興などせずに放置された。
ついに武器を手を立ち上がる民衆たちに守る党も鎮圧に日本で唯一重装備を維持している党軍を出すが、政府の政策でゲリラ戦の訓練をされた反政府ゲリラ相手に苦戦する。
反政府ゲリラと党軍との戦闘に一般民衆は反政府側を様々な形で支援する。
物資や兵員の提供、安全な隠れ家、情報の秘匿や提供など支援は積極的か消極的かの違いはあったが、反政府ゲリラからしたら見てみぬ振りをして政府に通報しないだけでも大きな支援であった。
首都東京を反政府ゲリラが占領したことで、反政府ゲリラが政府となった。
しかし、新政府も長続きしなかった。
新政府の政策に不満を抱いた一派や地方に逃れた旧政府が各地で武装蜂起を起こした。
旧政府の政策で国民は残らず戦う術と武器を持っていたため、政府の政策に武力で立ち向かうことが容易であった。
日本は再び戦乱の時代になり、各地の勢力同士は相手よりも優位に立つべく、諸外国からの援助を積極的に受け入れていった。
諸外国も、戦乱で疲弊し、衰えたところを現地の手引きで楽に占領していった。
守る党の国家防衛戦略は皮肉にも、外国からの防衛ではなく、自ら外国の占領を招くこととなった。
本文中の内容はアホくさくてここの部分は検討もしていない。
こんなアホ設定にそこまで調べる気力が起きなかった。
こんなゲリラなんて無理だし、これで守ることなんて出来ないのは分かっていることだし、ここの部分を詳細に調べて検討する必要なんて無いよね。
そもそもゲリラ戦で支援をどこから確保するかも定かでは無いアホ話が元ネタだしね。