08
3人に追いつくとすでにルル先生に報告をしていた。
「はいはーい!お疲れ様ー。大きな怪我は特になそうね!魔物討伐の確認が取れたからここに順番にサインしてねー。」
「あ!シックスちゃん早くー!!後、シックスちゃんがサイン書くだけだよー」
リンリーさんに呼ばれて報告に慌てて、名前を書いた。初めての作業で少し緊張する。
「おっけー!これで報告は完了ね!今日はこれで解散にしていいわよー。明日も頑張ってねー」
意外と早く終わったので、図書館にでも行こうかな。と考えているうちに
「じゃあ、俺この後バイトがあるからこれで。」
「リンリーもバイトー!じゃあねー」
「私も研究があるので、行きますね。」
と、次々に言ってみんな居なくなってしまった。
ぽつんと1人、森の入り口に立って考える。
カロルさんとリンリーさんが言っていた【バイト】とはなんだろうか??
カロルさんが「バイトがある」という言い方をしていたから、課題かなにかなのかな?でも今日は課題はないはず、、、
まだ日が沈む前だから、図書館もやっているはずだし、ちょっと調べに行こう。
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図書館に着くと、昨日の事があったからか受付の人に謝られた。
とりあえずお辞儀をしてその場を去った。未だに対応の仕方がわからない。
足早にいつもの場所に行くと、今まで人なんて居たことのないその場所に先客が居た。あの見覚えのある短い黒髪は、、、
あ、えーと。アルベルクさんだ。昨日、本を読み終わるまで待ってくれた人。なんだか真剣そうに本を見ている。邪魔をしないほうがいいかと思って、アルベルクさんを避けて通ろうとした
「昨日ぶりだな。」
私の真正面にすらりとした体が現れた。これはきっと私にかけられた言葉だと思い
「はい。」
と少し、上を向いて言葉を返すと
「ふふっ、良かった。今日はすぐに反応してくれたな。」なんて言って口元に手を置いて笑っていた。なにが面白いのかわからない。
「なんか理解出来ない。って顔してるな。まぁ、顔は見えないけど。それより、シックスが真剣に読んでいた歴史書が気になって、見てたんだけどやぱっり只の歴史書だな。なにが面白いんだ?」
「なにが、と言われても。この国のことを覚えるため?」
「この国って。やっぱり変わってるなー。やっぱり他国からきた留学生はこの国のことを知りたいか。で、今日も読むのか?」
「本はこの前読み終わった。今日は【バイト】ってなにか知りたくて。」
言って瞬間にキョトンとし顔が見えた。
「おい。【バイト】の意味知らないのか??どうやって生きてきたんだよ。【バイト】ってのは【アルバイト】の略語だよ。店で働いたり憲兵の仕事とかもあるな。それにしてもなんでいきなりバイトの意味なんか知りたかったんだ?」
「カロルさんとリンリーさんがバイトがあるって言ってたから。(教えてくれて)ありがとう。」
「カロルさんとリンリーさん?友達か?まぁ、どちらにせよ意味がわかってよかったな。なぁ、今度からわからないことがあったら俺が教えてやろうか?暇な時だけど。」
「いいの?読みたい本はたくさんあるんだけどわからない言葉が多くて。」
「いいさ。来れる日は少ないと思うけどな。意外と俺、忙しいから。ここを待ち合わせにしよう。読みたい本を持って待っていてくれ。来れる日は午後3時に居るようにする。」
「わかった。」
「おい。こう言う時は、よろしくお願いします。って言うんだよ。言葉遣いもちょっと覚えたほうがいいな。教えてやるから。」
「はい。ーよろしくお願いしますー」
合ってるだろうか?言われた言葉を繰り返すように言ってみた。
「意外と素直だな。じゃあそろそろ俺、行かないと。じゃあまた。ここで。」
言うだけ言って、行ってしまった。私の頭の上をぐしゃぐしゃにして。頭を触られるは初めてでなにが起きたのかわからなかったが、ぐしゃぐしゃになった髪を整えながら小さくなる背中を目で追った。