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04

その後、彼との会話はしばらくなかった。

私は彼の光を頼りに読みかけの歴史書に夢中になっていた。初めて本を読み初めた時は辞書頼りに読んでいたが、少しずつ単語を理解出来るようになってようやく歴史書を読めるようになった。


歴史書を読めば読むほど、幾度もの災害や魔物の襲撃、国との戦争があるのにこの国は存在し続けている。私がいかに無知かを知らされる。



1日の内容を手紙に書いて博士に送るのはもう日課に近い。返事はないが博士に会ったその時は褒めてくれるだろうか。博士の求めるものに答えられているだろうか。。。








「読み終わったか?」

本を閉じた瞬間に横から声がした。


「あ、えっと、はい。」

「なら、そろそろ出よう。もう夜も遅い。」

「でも出れないって。」

「どうやら俺の友達が気づいて迎えにきてくれたようだ。さぁ、行くぞ。」

そう言って先に立ち上がった彼は私に手を突き出した。


どういうことだろうか?差し出された手を眺めていると

「その反応は少し傷付くな。手、ほら手掴め。暗いからはぐれるといけないだろ。」

そう言いながらぐいっと手を引っ張られて自然に立ち上がった。その後は彼の手にひかれながら歩いた。掴まれた手は暖かくて大きかった。所々、手のひらが硬いということは騎士かと考えていたらあっという間に図書館の出入り口の前に着いていた。



「マルス!待たせたな!開けてくれ。」

その一言で扉がゆっくりと開いていった。外はもう夜のはずなのに眩しく感じて思わず目を擦った。それと同時に繋がれていた手が離れてしまった。

外には何人かの人が立っていた。

「待ちすぎて寝てしまいそうでしたよ。」

「ああ、悪い。悪い。今度なにか奢るよ。」




「ア、アア、、アルベルク殿!!大変申し訳ありませんでした!全てこちらの不備でございます。ただちに今日の管理人を解雇し、「いいさ。今日のことは始末書でも書いてくれれば。もう遅いから俺はこいつを送って帰るよ。じゃあ。」



彼が早口でそう言ったかと思うと、再び手を引っ張られ今度はどこに向かうのかと思ったら寮の方向へ向かっていた。

後ろから「おい、アル!!!」という声が響いていたけど彼は聞こえてないふりをしていた。

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