03
顔を向けると、辺りは暗いが手から出ている光が見えた。辛うじて男の人だとわかる。
「おい。大丈夫か?」
「それは、、、私に聞いている?」
「そうだが?他に誰も居ないだろう?」
「大丈夫。でも本が読めない。」
「、、、普通この状況で本を読もうとしないだろう。君はこの状況を理解していないな?」
どういうことだろうか、、私は今日中にこの本を読みきりたいだけなのだ。
はぁー。という長いため息の後に
「今は閉館時間がとっくに過ぎているんだ。どうやら今日は職員が見回りをちゃんとせずに閉館しまったらしい。」
「それは本が読めないということ?」
「そう。この図書館は全て魔力で管理してるから閉館するとランプは消えるし扉は厳重に鍵がかけられるんだ。本を読むどころか、ここから出れない。」
それは困ったな。明日の講義はどうしたものかと考えていると再び上から声がした。
「昨日、ぶつかってきた時も変なやつだとは思ってはいたが今何を考えてる?」
昨日?あぁ、聞いたような声だと思ったがぶつかった人だったのか。とりあえずは謝った方がいいだろうか。いいよな、きっと。なんだか怒ってるような感じだし。
「明日の講義は行けるのかと。。あと、昨日はぶつかって、、、すいません。」
「ふっ、はははは。謝るなら昨日、謝れよ。いきなり素直だな。まぁ、今日中には出れるだろう。夜には俺の友達が気づくだろうから探しにここにも来るだろう。時間はかかるかもしれないがな。
一応、館内を一回りしたがここには俺と君だけだ。助けが来るまで大人しくしてるのが一番だと思うが、、、」
謝ったのに、笑われるってなんだ?怒っているように感じたのだが。よくわからないけど、、、まぁいいか。
それより、出るのに時間がかかるならそれまではここにいて本を読めるということか。良かった。もう少しで読み終わるのだ。
「ならその明かりを貸してくれないか?もう少しで読み終わるんだ。」
「は?この状況でか!?
変わってる奴だと思ったけど、肝が据わってるというほうが正しいのかもしれないな。」
ほら、と差し出された手から出ている光で本を読むことにした。