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なにかが引き裂かれる様な声が響いた。

振り返るとすぐ後ろに巨大な魔物がいて、思わず目が見開く。

あぁ、これは少しやっかいな大きさだ。塔の中にいる時に戦った時はかなり怪我をした記憶がある。


「おいっ、早く逃げろ!!」

列の先頭にいるアルベルクさんの声がした。その後ろからも何人かの声がきこえたがよく聞こえなかった。

どうしようか、もう魔物は攻撃しようと右手を振り上げているから走ったところで私はともかく横にいるリンリーさんは間に合わない。ここは、、、



ーーーーキーンッ

一瞬、辺りが静まり返った。長い髪が風圧で後ろに流れる。

とりあえず、むかってくる攻撃を剣で受け止めてみただけなんだけど、、、ここから攻撃を出すと悪目立ちしてしまうかな。

「逃げよう」

リンリーさんに聞こえるくらいの声の大きさで呟いて、全力で反対方向に走った。すでに隊長やアルベルクさんがすぐそばにいてすれ違った。


その後はただ傍観者で騎士団の人達が魔物を取り囲んで討伐しているのを、カロルさん達と見ていた。あっという間に戦闘が終わって、今は私達の無事を確認している。

私の目の前にアルベルクさんがきた。

「怪我はないか?」

「はい。」

「はい。ってそんな淡々というなよ。こっちは肝が冷えたっていうのに。

とりあえず無事で良かったが、もうあんな無茶はするなよ。」

そう言って頭に一瞬、手をおくと隊に戻っていってしまった。


その後、カロルさん達から心配をされながら王都へ戻っていった。




■□■□■□■□■□■□

王都に入ると日は傾いていて他のチームの人達も戻ってきていた。

「今日はここで解散だな。予想外のこともあったが怪我もなく終わって良かった。チーム32の君たちはゆっくり休んでくれ。明日は騎士団の訓練に参加してもらうから朝、訓練場に集合してくれ。」

隊長からの声の後、それぞれ解散した。



このまま寮にかえってもやることがないので、どうしようかと思っていると後ろからリンリーさんに声をかけられた。

「シックスもう寮に帰る?まだならちょっとリンリーと散歩しない??」

「ええ、大丈夫です。」

そう返すと、笑顔のリンリーさんに手をひかれた。



ーーーーー2人で夕日が沈みそうな川沿いをゆっくりと歩いていた。

初めて歩く穏やかなその風景は塔に戻ったら見れないだろうと目に焼き付けようとした。


「そんなに夕日が綺麗に見える?」

「綺麗です。とても。」

「やっぱり、シックスって変わってるねー。今日のこともだけど、、」

「今日?」

「うん!最後に大きな魔物が背後からきたでしょ?その時、リンリー足が震えて動かなかったもん!ただ見上げることしかできなかった。あの時、シックスが攻撃を剣で受け止めた時に初めて我に返ったの。戦闘には自信があったけど、初めてみる大きさになにもできなかった。無力だって、まだまだだって感じた。

でね、その時に一瞬、シックスの顔が見えたんだけどー」

喋りながら、リンリーさんの手が顔に近づいてきた。

「やっぱり!!綺麗なグレー!それに無表情だけど綺麗な顔ーー!変かもしれないけど、シックスが無表情で魔物の攻撃を受け止めるのを一瞬見えて安心したの。怯えて震えてるリンリーの横に立ち向かってる人がいるって!!遅くなっちゃたけど助けてくれてありがとうー!」

目がそらせないくらいリンリーさんに見つめられて固まってしまう。初めてだった。目を見つめられることも、綺麗だと言われることも感謝されるのも、、、


「そんなに固まらないでよーー。それに前髪で顔、隠さなくてもいいんじゃないの??綺麗な髪だけど邪魔じゃない?」

「いや、このままで大丈夫。」

「もったいないってばー!綺麗なんだからぁー」

「大丈夫。」

「えぇーーー!まぁリンリーだけが知ってるってのもレア感があっていいか!!」

よくわからないがようやく納得してくれたようで、とっくに沈んだ夕日を確認した。

「そろそろ帰ろうかぁー。ねぇねぇ、私ってまだまだだなぁって感じたの!今まで以上に頑張らないとって!」

横でくるくる表情が変わりながら喋るリンリーさんの話を聞きながら寮にむかって歩いていった。

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