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プロローグその3 いざ、テライアへ

今回も短いですが、第3話を投稿します。

プロローグは今回で終了し、次回から本編に突入します。


2015/8/26 ステータスの数値に誤りがあったため訂正

 200年に1度魔王が復活し、それを倒す為に異世界から勇者が召喚される。それが智樹が異世界テライアを転生先に選んだ最大の理由だった。

 勇者という存在に憧れを抱かない男はいない。叶うならば自分が勇者となって魔王を倒したい。しかし、普通に転生した所で次に魔王が現れるのは3年後。とても戦える歳ではない。

 普通ならばここで諦めるところだが、智樹は諦めない。アキバ系と呼ばれる程ではないが、多少は知識のあったゲームやアニメ、ライトノベルの知識を総動員して、必死に考える。


「考えろ、考えろ…何かある筈だ…」 


 考えて考えて、古典的な表現をするならば、頭から煙が出るくらい考えて…


「そうだ…この方法なら」


 1つの方法を思いついた。それは。



「成長した状態で、異世界に転生する。こんな方法考え付くなんて、流石は日本人…と言うべきなんでしょうか?」


 どこか呆れたような顔で、神様に問うアリエル。


「たしかに最近の日本人は、こういう類の想像力が著しく発達していますね。まぁ、転生には生まれ変わるという意味だけでなく、環境や生活そのものを一変させるという意味もあります。これもまた、立派な転生ですよ」


 アリエルの問いに微笑みながらそう答え、右手を掲げる神様。己が持つ力、その極一部を解放して智樹の新たな肉体を作り出す。


「容姿はそのまま、年齢だけ5歳ほど若返らせるというリクエストでしたが…如何です?」

「か、完璧、です…」

 

 目の前に立っている自分と全く同じ、正確には20歳頃の自分と全く同じ容姿の新たな肉体を見て、呆然と呟くのがやっとの智樹。

 

「それはよかった。では、魂を肉体に同化させますよ」

「お、お願いします」


 再び右手を掲げ、力の一部を解放する神様。智樹の魂が肉体へゆっくりと近づいていき、やがて1つになる。


「同化完了。気分は如何ですか?」

「…違和感は全くありません」


 手足を動かし、新しい体の使い勝手を確認しながら、神様の問いに答える智樹。


「その肉体は私の力を使って作り出しましたが、まだ何の力も付与していません。即ち、ただの人間という事です」

「そうみたい、ですね。何らかの力が付与してあるなら、違和感が全くないという事は有り得ない」

「聡明ですね。では、スキルについて話し合いましょう」


 神様に促され、再度椅子に座る智樹。スキル付与についての話し合いが始まった。


 

「沖田さんはテライアの勇者として召喚されるわけですが、能力のタイプとしては万能型になりますね」 

「万能型ですか」

「力、技、そして魔法。3つのバランスが取れています。それぞれの能力では特化型に劣りますが、どんな状況にも対応できるのが強みです」

「なるほど…総合力で勝負するタイプですか」

「そういう事になります。その点を考慮すると、オススメのスキルは…この2つですね」


 次の瞬間、大型のスクリーンが出現し、情報が次々と表示されていく。



 長剣術 ランク3


 長剣の扱いに関わるスキル。習熟度に応じて、筋力と器用さにプラス補正。


 魔力操作 ランク3


 魔力の扱いに関わるスキル。習熟度に応じて、魔力、MPにプラス補正。


 

「長剣の扱いと魔力上昇のスキルですね。横についているランクというのは?」

「習熟度を示すものです。1から始まり、最高が9。ランク3は1人前の仲間入りをした辺りの腕前ですね」

「なるほど…いきなり最高ランクというのも無理がありますからね。魔王と戦う前にしっかり鍛える事にします」

「頑張ってください。さて、他に欲しいスキルはありますか? あと5つまでなら、自由に選んでくれてかまいませんよ」


 神様の言葉と共にアリエルから差し出されたファイルを受け取り、読み始める智樹。

 スキルそのものは、テライアでも入手できる。だが、ある程度習熟したスキルを入手できる機会は今回だけだ。慎重すぎるほど慎重にスキルを選んでいく智樹。

 

「よし…この5つにします」


 3時間かけて、智樹は5つのスキルを選択した。それと同時にスクリーンへスキルの情報が表示されていく。



 弓術 ランク3


 弓の扱いに関わるスキル。習熟度に応じて、器用さ、反応にプラス補正。


 打撃術 ランク3

 

 打撃系格闘技全般に関わるスキル。習熟度に応じて、筋力、敏捷性にプラス補正。


 投擲術 ランク3


 投擲系武器の扱いに関わるスキル。習熟度に応じて、敏捷性、反応にプラス補正。

  

 MP回復速度上昇 ランク3

 

 ランクに応じて、MP回復速度上昇。


 複数詠唱破棄 ランク3


 1度の詠唱で複数回の呪文発動を可能にするスキル。習熟度に応じて呪文の発動可能回数が増加し、魔力とMPにプラス補正。

 


「なるほど、あらゆる距離で対応できるよう、バランス良く強化してきましたね。一応確認しますが、これで良いですね?」

「はい、お願いします」

「では、先に上げた2つのスキルを加えた7つのスキルを、沖田さんに付与します」

 

 神様の言葉と共に、智樹の体が光に包まれる。同時にスクリーンから文字が飛び出し、智樹の体に吸収されていく。


「7つのスキル全ての付与が終わりました。気分はどうですか?」

「何とも言いようのない違和感がありますね…無視できる程度ですが」

「3時間もすれば、違和感は消えますよ。さて、1度沖田さんのステータスを見ておきましょうか」


 すぐさま智樹のステータスがスクリーンに表示される。



 【名 前】沖田智樹

 【性 別】男

 【年 齢】20歳

 【種 族】人間 


 【レベル】1

 

 【H P】12(12+0)

 【M P】55(25+30)


 【筋 力】24(12+12)

 【耐久力】11(11+0)

 【器用さ】24(12+12)

 【敏捷性】23(11+12)

 【反 応】23(11+12)

 【知 力】13(13+0)

 【魔 力】23(11+12)

 【加 護】13(13+0)



 【各種補正】


  格闘攻撃ダメージ+8

  近接攻撃ダメージ+8

  射撃攻撃ダメージ+8

  魔法攻撃ダメージ+7


  格闘攻撃命中率+4%

  近接攻撃命中率+4%

  射撃攻撃命中率+4%

  魔法攻撃命中率+4%


  防御成功確率+4%

  回避成功確率+4%


  物理防御力+3

  魔法防御力+3



 【スキル一覧】


 長剣術 ランク3(筋力+6 器用さ+6)


 弓術 ランク3(器用さ+6 反応+6)


 打撃術 ランク3(筋力+6 敏捷性+6)

 

 投擲術 ランク3(敏捷性+6 反応+6)


 魔力操作 ランク3(魔力+6 MP+15)


 MP回復速度上昇 ランク3(MP回復速度30%上昇)

 

 複数詠唱破棄 ランク3(1度の詠唱で低級魔法を4回まで同時発動可能。魔力+6 MP+15)



「うん、バランスよく強化されていますね。レベル1でこの数値はかなりのものですよ」

「具体的にはどのくらいなんでしょうか?」 

「そうですね…町のゴロツキやチンケな盗賊程度なら、複数相手でも負けない…といったところですね」


 神様からの例えを聞き、自分の今の実力を理解する智樹。右手を軽く握っては開くのを繰り返し、薄く微笑む。


「あと、こちらで貴方が習得した知識や技能は、テライアに行っても覚えています。こちらの知識がテライアで役立つ事も多いでしょう」 

「ご厚情痛み入ります」

「いえいえ、そもそもの原因はこちらの不手際ですから、このくらい大した事はありませんよ。さて、そろそろ時間のようですね」


 神様の言葉と共に、7色の光が智樹を包んでいく。


「テライアへの旅立ちです。神である私が言うのも変ですが……勇者智樹、貴方の大願が成就する事、そして2度目の人生が幸多き事を祈っていますよ」 

「問題が発生した時は、神殿で祈りを捧げてください。短時間ですが、私と会話できるように調整しておきますので」

「はい、必ず! 神様、アリエルさん、ありがとうございました!」

 

 神様とアリエルへ一礼した直後、智樹の体は完全に光に包まれ、彼の体は天界から姿を消した。


「…無事に転生できたようですね」

「はい、あとは手筈どおり、人間族女王の行う勇者召喚の儀式に導かれ、テライアに降り立ちます」

「アリエル、可能な限り沖田さんのサポートを」

「全力を尽くします」


 神様の言葉に深々と一礼し、仕事へ戻っていくアリエル。部下の天使達にテキパキと指示を下し、智樹のサポート体制を整えていく。


「彼がテライアにどのような変化をもたらすのか…楽しみですね」


 微笑と共に下界を見つめながら、静かに呟く神様。

 今回の事態は完全なイレギュラー。だが、イレギュラーであるが故に、この先の展開は神であっても予想しきれない。

 不謹慎である事は承知の上。だが、予想できない未来など1000年に1度あるかないかなのだ。ワクワクを抑えきれずにいる事を神様は自覚していた。



 神様がそんな事を考えていた頃、智樹は無事に異世界テライアの地に降り立っていた。


「我が呼びかけによくぞお応えくださいました! 勇者様!」


 智樹の目の前に立つのは、ピンクと白を基調とした豪奢なドレス姿の女性。年齢は18歳前後だろうか、優しげだがどこか芯の強さを感じさせる美しい女性だ。

 彼女の背後を見てみれば、多くの兵士や騎士達が直立不動で控え、宰相らしき人もいる。そして、目の前の女性に似た雰囲気の妙齢の女性の姿も。


「私、ロートファルケン王国第8代女王、アリシア=ロートファルケンと申します。お名前をお聞かせ願えますか? 勇者様」


 アリシアと名乗る女性が女王。という事は背後に立つ女性は女王の母親、即ち王太后か。

 そんな事を頭の隅で考えながらも、無礼にならないよう挨拶の文言をまとめた智樹は女王様へ跪き


「女王陛下からのご丁寧な挨拶、痛み入ります。私、姓を沖田、名を智樹と申します」


 はっきりとした口調で名乗りをあげた。


 ここに沖田智樹の勇者としての新たな人生が幕を上げた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

続きも極力早く投稿したいと思います。


ご意見、ご感想、誤字脱字の指摘、お待ちしております。

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