魂剣の使役者はいつ現れるのだろうか
※注意!これはボツ作品にしようとした作品を気紛れに投稿したという、ぇボツ作品投稿? キモい、ボツ作品投稿が許されるのは小学生までだよwwです。
それでも良いという方はゆっくりしていってね!
『名称:進化する意思ある魂剣
レベル:Ⅰ 等級:最下級
能力閲覧
能力:≪硬質≫
特殊固有能力:≪進化昇進≫≪能力獲得≫
―説明―
目立った飾り付けも意匠も無いただの普通の剣に見えるがその実態は魂を宿した意思ある進化の剣。剣の切った相手や倒した相手の《特性》《特徴》《能力》を継ぎある程度剣の意思によって形状変化し新しい能力を獲得していく』
頭の中に出てきた説明文を読んでいく。これを繰り返す事数百回。
今の俺にできる事といったら数える事すら面倒になってくるほどこの頭の中に出てくる説明文を読む事と周囲にある景色と光景を見渡して時たまに来る動物かモンスターを観察するだけしかないので暇つぶしにもう一回説明文を読んでいたが、もう退屈を紛らわす事はできそうにない。
もう自暴自棄になって何も考えずに走り回りたい、だが俺は持ち手が居ないとうんともすんとも動けれない。いったいいつまでこの退屈な時間を過ごせばいいのか、はあ~溜息が尽きない~。
“何で俺は剣になっちまったんだ”
※
唐突誰に向かって言ってるのか分からないが自己紹介をさせてほしい。何かやってないとストレス溜まってるんで。
俺の名前は無い。いや、あったのは覚えてるのだが思い出せない、これが記憶喪失というモノなのだろうか。けど名前しか覚えてないだけで他は思い出せる。
日本でしがいない一介の高校生だった俺はある日、彼女を家に連れ込んだら妹が色々と暴走して“お兄ちゃん退いて! そいつ殺せない!”と叫びながら凶器の包丁を持って俺の彼女に襲い掛かってきたのを庇ったら誤って俺の胸にブッ刺さってしまいそのまま手当ても間に合わず死んだ。
元々ブラコン度が無茶苦茶なほど半端なかった妹だったがまさか超ヤンデレ化して彼女を殺しに来るとは、しかもあいつあの華奢な身体でなんつぅー怪力なんだよ。
何処にあんだよその力、力に押し負けてさらに俺の心臓にブッ刺せるとか、いつの間にあんなに鍛えたんだよ。
昔は寧ろか弱かった方なのに、それなりに鍛えて身体はがっしりしていて力もあった俺が負けるなんて、泣けてきたシクシク。
ぐすっん。そんな事がありまして俺は死んでしまったのだが、神の悪戯か何かか俺は気付いたら剣になっていて森の中にポツンと置かれていた。
いやさ、俺も死にたくはなかったし生き返ったことは嬉しいよ! けど、贅沢言うのもなんだけど、何で剣なんだ!?
おかしいだろ! 小説とか漫画や映画でこの手のもの結構知ってるけど、人間じゃない別種の生物になっているものもあるけど生物ですらねえし! 何でよりにもよって無機物の剣だよ! 不純異性交遊とかもできなっゲフンゲフン! ……失礼気にするな。
唯一の救いは特殊能力が男のロマンを擽るようなチート能力であるのが嬉しいけど、根本的に俺が剣である時点で俺を誰かが使って何かを切ってくれなきゃ何の意味も無いよ!
はあ、悲しい現実が胸に突き刺さる、胸無いけど。剣になってからこの森に滞在を強いられてから彼此二週間ぐらいだろうか、やばい月日の感覚がドンドン麻痺していってる。
この剣になってからというもの不眠不休で寝るという概念自体が無く朝から夜までずっと起きていられる。
最初は新鮮味があって面白かったけどこれのせいで暇な時間がさらに増え暇地獄状態、おかげで月日の感覚が麻痺してきてるのを日頃感じている。
このままじゃジョジョのカーズ様のように“そして、考えるのをやめた”に成りかねん。せめて誰か人型、人間じゃなくってもいいから人型の生物がこの森に居て俺を拾って使ってくれればっ!
がさがさっ
……………来た嗚呼あああああああああああああああああああああああああああああああああァッ!!!
草陰からの物音、この絶好のタイミングは、まさか神に願いが届いたのか! よっしゃこの際美女美少女美幼女なんて贅沢なんて願わん!
むさいゴリマッチョ男だろうとキモい人型生物だろうと俺を拾ってくれる奴ならばそんな些細な問題ないノープロベレル! さあ来てくれ我が救世主!
そして草陰から現れたのは……人型の生物ではなくこの森でよく見かける猪だった。
体長は成人男性の腰元くらいまで、牙の変わりにサイの角のようなのを額に生やし、猛禽類のような、けど鳥より太く大きい三日月形の鉤爪が四本ある赤茶色の猪モドキ。
……ですよねー。なんか、もう、分かってました、うん。落胆するがこれも今回初めての事ではない。期待して上げては落として上げては落としの連続を剣になってからこの二週間存分に経験しましたとも。
希望の光を持ったらすぐ闇に消される。
もしかして俺は将来永劫ずっとただポツンと森の中に捨てられた剣のような存在になるのだろうか等と暗い気持ちが俺の心を、
「プピギィイイイイイッッッ!!」
などと中二的精神モードに入ろうとした時にそれは起きた。
なんと猪モドキの身体に細長い枝、いや、飛来した弓矢が三本も刺さり奇声の悲鳴を上げてるではないか! これはもしやと期待をもってしまう、いや期待してもいいだろう。
弓矢を飛ばすという事は少なくとも人工的に意図的に弓を作らないとできない筈、つまりは手先の器用な生物じゃなければ弓矢は存在しない! そんな奴が居るのならば俺を使ってくれるかもしれない!
そして木の裏から何者かが飛び出してきて猪モドキの喉元に刃を突き刺した!
「ぷピ……ブギィッ!」
動脈らしきものに刺さったのだろうか勢いよく鮮血が噴出する猪モドキ。グロイ、けどこの二週間この森で弱肉強食の光景など嫌というほど見てきたせいで免疫とか耐性とか付いてるので問題ない、と言いたいところだけどやっぱまだ慣れてなく少し気持ち悪い、吐きそう。剣だから吐かないけど気分的に。
とにかく、いったい何者が奇襲を仕掛けてきたのかと、俺はそいつを視認した。この二週間出会った事も無いモンスター、犬のような頭部に灰色の体毛を全身から生やした生物。というか犬だ、二足歩行している犬だ。
これはもしやネット小説とかでも良く出てくる有名な“コボルト”ではないだろうか?
「グルルルッ!」
「プッギィイイイッ!」
コボルトは喉元という明らかに重要器官を刃物で傷つけたがまだ動けるようで猪モドキが必死に足掻き襲ってきた奇襲者のコボルドを角と鉤爪で反撃しようとするが、
「ガウゥウッ!」
別の新たなるコボルトが猪モドキの振り上げた足を刈り取る! 猪モドキはそれに怯んでしまい大きな隙を作ってしまった。最初に襲ってきたコボルトがチャンスとばかりに刃物、今分かったが短剣を抜き猪モドキの目に深く突き刺した!
「プ…ギ……ィ……」
致命的な一撃を受け、猪は倒れた。コボルト達の勝利である。群れで獲物を狩るのは何度か見かけたがやはり数は力なりか、改めて納得。
「がうがうっしゅァアア!」
「ボアトんを狩ったぞぉおおお!」
「ガウガウッ!」
喋れるのこいつ等!? 喋れる生物とか今まであった事のなかったぞ、俺の期待がマックスまで跳ね上がる、これは俺を拾ってくれるのを期待できるぞぉおおおッ!!
「がうがう久しぶりの肉ダァ、ジュルリ!」
「んだぁガルガガ。だがちゃんと分けるべわう!」
「ガウ!」
最初に奇襲したコボルトと足を刈り取ったコボルトと弓を放った本人だろうコボルト計三名の勝利したコボルド達は何処か嬉しそうな感じでその猪を食べていく。
猪の肉か、剣だから勿論飲まず喰わずとか一切無縁になっていておかげで二週間飢えの苦しむとか無かったから良かったけど、こう目の前で食われると久しぶりに何か食べてみたいなあと思ってしまう。
日本でも猪肉あったけど食べた事ないしどんな味がするのだろうか、つかコボルト達は肉焼かないの? 人間より胃はモンスターだから丈夫だろうけどちゃんと血抜きして健康の為に焼いて食おうぜ? その方が美味しいしな。
そんな俺の思考は届くはずも無くコボルト達はバリバリムシャムシャと食べていく。しかし、おぅ、なんっつうスプラッタ、此処まで近くで捕食しているは初めてなんですけど、少しは慣れたけどやっぱり俺の芯は平和な国の日本人的精神です。おぇ、見たくなくても目が逸らせないだって剣だし。
というか何処に視認する機能がこの剣にあるのだろうか、などと考えてる間にコボルト達は猪モドキの肉を平らげ骨だけなる。お粗末さまで。
「がうが美味かったー。んでこの骨どうするヨォ」
「んがぁここからだと巣から遠いしいつも通り放棄でイイだろんが」
「ガオッ」
「がうがう。いやあ初めでボアト狩ったし久しぶりの肉で旨かっただお、それんに、えーとなんつーんだっけ? きね…きね……そうが記念! なんとなく記念として残して起きたいだがお」
「んがお。わぅ~じゃが、あ、んじゃ頭骨を被ればいいんがねぇわう?」
「ガオガオガォ!」
「がうがうぅ! グッドアイデア! さっそく被るわう!」
コボルト達が何やら話し合ってるけど、なんか分かり難い方言というか犬語というか知能はありそうだけど、約一犬喋ってないし頷いてるだけだし。
まあそんなのは些細な問題だ、とりあえず俺を拾ってくれれば良いだ! がうがうと必ず最初に喋るコボルトが額に生えた角が特徴的の猪モドキの頭骨を拾い自分の頭に被った。
いや頭骨とかいいからジャストフィットしてるから、どうだ、カッコイイだろって見せつけなくてもいいから。その頭骨まず洗ってから被れよ汚いぞ臭いぞ。鼻無いけど。
「んがう。んじゃ帰るば」
「「がうがう」」
うおいいいいいいいいいいい!? 帰るじゃねえよ! 俺を拾えよ! お前らの目は節穴か! すぐそばに新品ピッカピカの使えそうな剣あるじゃん!
お願いしますから行かないで! もう一人でいるの嫌なの寂しいの暇なの嫌なんだよ退屈すぎて!こっち向いてくれええええええええええっ!!
「がうがう。けどいいのか? あの剣置いていって新品ぽいっわうから使えそうだわうけど」
アレ? もしかして最初から気付いてたの!?
「んがぁ使えそうだけど、何であんな所にあんな新品なのがう? わうがい罠っぽくて取りに行きたくないわうがう」
「がうがうがお」
え、えぇええええええええええええええ!? 確かに不自然にこんな場所に置かれてると罠っぽい理解できるけど納得できねぇええええええええええ!!
「がうがう。まあいいわう、新品だけど普通だしダサいし。行くわう」
そして自分達の住居に戻るのか離れていくクソ犬共。
お前等ァ次見つけたらぶっ殺してやるからなチクショオオオオォッ!!!
――結局、幾ら呪詛を吐こうと拾って貰えず置いてかれる。いつになったら俺を拾って使ってくれる使役者が現れるのだろうか、ハア。
虚しき溜息はそのまま空気に溶け込み消えたように見えた。
もし犬が拾おうと使役者にはさせん呪い殺す。
・登場人物(剣、モンスター)紹介?
★進化する意思ある魂剣
この度何故か成長チート剣にされ森の中に哀れに置かれた剣。その後、十年も森の中で拾う者を寂しく待つ事を、彼は知らない。
☆猪モドキ(正確名称・ボアルボフー)
実は森の食物連鎖第四位の実力を持つモンスター……本当はそう易々と狩れる固体ではないのだがまだ成体クラスではなかった事とご都合運命により美味しく頂かれました。
☆三頭のコボルトコンビ
その内群れの最強の一角となるが森の食物連鎖第一位の怒りを買い群れを命かけて逃がす事になる未来を彼等は想像もしないだろう。
チャンチャン♪(終わる的なBGn)
ご覧頂ありがとうございましたー♪