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61. 第3章その25 もしもし亀よ

 受付で受託を済まし、地図を受け取ると早速現場に向かった。

 将は、以前であれば5kmも歩くなんて聞いただけでゲッソリだったが、こちらに来てからは鍛えたおかげもあり、たいして苦にならなかった。


 道中は特に異変も無く、湖に近づくにつれ緑が濃くなり、雄大な景色を見せる。

 1時間ほどの移動で湖近くに付いた。

 湖はジュネーブのレマン湖程度の大きさで、湖尻での川に流れ出す水量はたっぷりあり、思ったより流れも速い。

 受付でもらった地図を再度取り出し位置を確認し、目撃位置はもっと北の湖畔であるため、湖沿いを注意しながら移動した。

 しばらく移動すると前方に動く物体が見えた。

(あれかな?)

 良く視ると、小山の様な甲羅がのそのそと動いている。

 ただし、前情報からジャイアントタートルは口からアイスニードルを撃ってくると聞いているので、気づかれない様に注意しながら近づいた。


 魔法が届く程度まで近づくと、2体いて、1体は動かず、もう1体が警戒する様に周囲を徘徊していた。

(まずは、けん制も兼ねて魔法を撃って、その後近接戦だな)

 2体とも頭が反対を向いている事を確認して攻撃に移る。


「サンダーストライク!!」

 2体に攻撃をする。

 甲羅の表面が焦げるが、周囲を徘徊していた1体は意にも介さずこちらに頭を向けようとうごめいている。

「グラウンドバインド!!」

 2体ともに土の束縛をかける、1体はじっと動かないため、あまり意味がなかったが、もう1体の動きは明らかに悪くなる。

 剣にシャープウィンドを纏わせ、切れ味を上げて切りかかった。

『ドスッ』という音と伴に若干甲羅に傷が付くがそれ以上は刃が通らない。

「うわっ、硬っ」

 思わずうなり、一度距離を取りドープポーションを飲み込む。

 辛さに思わず涙がでるが、かまわず飲み干した。

 昨日と同じく、飲むと同時に体に力がみなぎる。


 再度後ろから切りかかると、今度は甲羅を切り裂き内部まで刃が通った。

「キシャァァァァーーーー!!!」

 ジャイアントタートルは叫びをあげて、あらぬ方向に氷の矢を放つ。

 体の位置に気をつけながら甲羅が外れた部分に魔法を撃つ

「サンダーストライク!!」

 距離の近さもあり、狙いをあやまたず雷が落ちる。

 すると一度、“びくっ”と頭を上に上げて、そのまま動かなくなった。

 念のため、横に慎重にまわり、首を一刀で切り落とした。

 切り口から大量の血が流れ出て、さすがに事切れたようだ。

 

 もう1体の方は相変わらず動かない。

 1体目と同じように、剣で甲羅をはがし電撃を加えるという、攻撃というより作業をして2体目も倒した。


「うーん、こいつ何だったんだろう。」

 2体目の方を倒した後、魔石の採取に移る前に、周囲に他のジャイアントタートルが残っていないかしばらく捜索した。

 他にはいない事が確認できたので、魔石などの剥ぎ取り作業に入った。

 とにかく甲羅が硬いので、ひっくり返しておなかの方から解体することにした。

 ドープポーションの効果が継続しているので、簡単にひっくり返す。

 魔石を取り出し、肉も部位に切り分け、甲羅も一緒に袋に入れる。

 2体目もひっくり返すと、なぜこいつが動かなかったかがわかった。


 お腹の下に卵が20個ほどあった。

 ジャイアントタートルの大きさが5mほどだったのだが、卵は以外に小さく鶏の卵を一回り大きくした程度だ。

 ちょっと悪いなと思いつつ、ひとつを割るとまだ黄身がある状態なので産んでそれほど時間が経っていない様だ。

 全部割って処分してしまっても良いとは思ったのだが、食材として使うのもありと考えて残りは全部袋にしまうことにした。


 2体目の解体が終わる頃には、とっくにお昼は過ぎていたので、そのまま街に帰った。

 ギルドに到着する頃には日が傾き夕方一歩手前という時間だった。

 報告をして、魔石以外の採集品を見せると、甲羅は防具屋、肉は肉屋で売れるがギルドでも引き取れるという事だったので、面倒くさかったのでそのまま引き取ってもらうと甲羅が1体10シュケルス、肉は全部で3シュケルスになった。

 亀の肉は美味しいのだが、それほど人気があるわけではないとの事。

 肉屋に行けば交渉次第だが倍の値段になることもあるという話しだったが面倒なので自分たちで食べる分だけ残して売り払った。

 最後に卵だが、これも少し自分で食べようと思ったのだが、全て提出する様に指示された。

 やはり魔物の卵なので、特別の場合を除き廃棄処分にするのが適切なのだそうだ。

 19個あったがまとめて10シュケルスを報酬として支払われたので、よしとすることにした。

 報酬は全てで43シュケルス、一日の稼ぎとしては十分だったので、ほくほくしながら家路についた。


 亀の肉は、一瞬ヤスミーンにぎょっとされたが、美味しく料理してもらい、みんなで満足して食べきった。


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