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59. 第3章その23 久しぶりに

「今日、エミリアは訓練だったな?」

「そうよ、私はギルドに行くわね。

 ショウはどうするの? まだ、訓練の先生決めてないわよね。」

「うーん、まあ、そこは焦らず決めるよ。

 今日は、昨日勉強したレシピを使ってに久々にポーションを作ろうと思うんだ。」

「そう、シルフィはどうするの?」

「私は討伐クエストをこなそうと思う。」

「あ、じゃあ前に作った3級ポーション持っていきなよ。」

「そうだな、ソロで行くんだから気を付けないといけないな。」


 今日の行動を確認しながら朝食を終えた。

「私が片付けますから、そのままでいいですよ。」

 将が食器を片付けようとするとヤスミーンが止めて、食器を運び始めた。


「じゃあ、2人とも気を付けて。」

 将がそう言って二人を送り出す。

「ヤスミーン、俺は上の階で薬の合成をやるからね。

 危なくはないと思うけど、念のため近づかないでね。」

「はい、わかりました。

 私は、朝食の後片付けと整理整頓をした後、掃除の道具と夕食の材料を購入致しに出かけますね、その後は掃除などをしておりますので何かありましたら、いつでも声をかけてください。」


 将は調剤室兼物置に移動して、まずは道具のセッティングを行う。

 今日作るのは、ポーションと一時的に筋力が上がるポーションの予定だ。

 筋力が上がるポーションは通称ドープポーションと言われているらしい。


 まずは、蒸留水を作製しながら、乳鉢で薬草をすりつぶす。

 薬草がある程度下準備できたところで、まずはポーションの作製に入った。

 薬草を水にいれ、約70℃の温度に保ち成分を抽出する。

 この工程では温度を一定に保つ事が重要で、温度が高くなりすぎると薬効が無くなり、低すぎると成分が抽出されない。

 十分に抽出を行った後、濾過をしオイルを加えて撹拌する。

 ここでは、純度の高いオリーブオイルの様なものを使用している。

 この工程では、液中に含まれる薬効以外の不純成分をオイルに溶解させ、薬効成分の純度を高めている。

 水中の薬草濃度やオイルの品質などで、この工程は回数が異なるが、色味で終了を判断する。

 一般的には、その後濃縮をしてポーションとする。

 将は、この工程の後に木炭を少量加えて撹拌し、再度濾過をする事でさらに品質の高いポーションに仕上げる。

 これはカゼールとの修行時代に提案して実際に効能が上がる事は試していた。

 通常はブルーグリーンになるのだが、よりブルーに近い色に仕上がった。


「ふう、久しぶりだから、ちょっと疲れたな。」

 将は、下に降りて休憩をしていると、ヤスミーンが声をかけてきた。

「ご主人様、よろしければお茶を淹れましょうか?」

「ああ、いいね。お願いする。」

 椅子に腰かけてくつろいでいたが、ふと疑問に思う。

「あれ、そういえばお茶なんてあったっけ?」

「はい、エミリアさんが使って良いと渡してくれました。」

 ヤスミーンに淹れてもらったお茶を飲んで休憩を終了する。


「じゃあ、もうひと頑張りしますかね。」

 ちょっとオヤジくさいセリフを残して調剤室に戻る。


 次はドープポーションの合成に移る。

 これは昨日、図書館で仕入れたレシピを利用する。

 竜の血を取り出し、水筒に使う皮袋に入れ、勢いよく振り回す。

 しばらく振り回すと中で上層と下層に分離する。

 上層にある、少し赤味を帯びた透明な液と赤黒い液を別々にメスシリンダーへ移し替える。

 透明な液にポーションを等量加えて沸騰させる、ポーション成分は単独では70℃以上で薬効を無くすが、竜種の血液の上層部と反応すると変質し耐熱と別の薬効を得る事ができる。

 沸騰後、自然に冷却すると青白い結晶が液中に析出し、それを濾過で取り出し乾燥する。

 次は赤黒い液をポーションに入れて撹拌して良く混合する。

その後、混合液に少しずつ結晶を溶かし込むと液の色が徐々に紫色に変化する。


「ふー、どうやら上手くいった様だな。

 ちょっと試してみるかな。」

 出来上がったドープポーションを手のひらにのせて一舐めする。

「うわ、辛―い。これ飲むのつらいかも。」

 味はともかく、体の奥底から力が湧きあがってくる。

 近くにある剣を持ち上げると、いつもより軽々と持ち上げる事ができる。

「継続時間と力の制御のために少し訓練が必要だな。」


 集中して合成していたため気が付かなかったが、すでに外は暗くなり始めていた。

 今日、合成したポーションはそれぞれ10本ずつ、後片付けをしながら明日の事を考える。

(何かクエストを受けてポーションの効果を試そう。)

 下に降りると、すでにエミリアが帰っていてお風呂に行ったとの事、ヤスミーンに公衆浴場の場所を聞くと思ったより近そうで夕食前には帰れそうだったので、将もあわてて風呂に行く事にした。

「じゃあ、行ってくるね。」

「はい。いってらっしゃいませ、ご主人様。」


 その言葉を聞いて、またちょっと嬉しくなる将だった。


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