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4. 第1章その4 魔法って面白い

「魔法は、簡単に言えば体内の魔力をイメージにより体外で発現する事によってなりたっている。」

 「ふむふむ」

 「その効力は与えられた魔力そのものの大きさだけでなく、いかに効率良く発現できるかによって変わってくるのじゃ。」

 「ふむふむ?」

 「わかったか?」

 「わかりません。」


 「・・・・・・つまり魔力が強ければ強い力として出す事が出来るのは理解できるか?」

 「もちろん。」

 「魔力が同じでも体外へ出す効率が悪いと威力が弱まってしまうのじゃ。」

 「あっ、理解しました。」


 「よろしい。その効率を高めるためにはイメージであったり、体内と体外の境界でのギャップを少なくする触媒が用いられる。一般には呪文であったり、マジックアイテムじゃ。」

 カゼールはかなり噛み砕いて説明を行った。彼はこれまでの将との会話から存在しない魔法の概念を説明するには理論的な説明が必要と判断し、それが功を奏していた。

 将にしてみると、(理屈はいいから早く魔法を教えてくれ。わくわく。)という感じであった。


 その空気を感じ取ったのかカゼールは続けて。

 「それでは、まずは実践してみよう。」

 彼はそう言うと人差し指を突出してつぶやいた。

 「ファイヤーボール」

 カゼールの指先から30㎝ほど離れたところに5㎝ぐらいの火の玉が出現した。


 「今、ワシはこの大きさの火球と体内の魔力がそう変換される事をイメージし言葉をその発現トリガーとしたのだ。

 共通語で言葉を発したがもちろん意味が同じであればどんな言葉でも構わない。言葉に意志を乗せる事が大事なのじゃ。お主の日本語?でも良い。最もお主の意志がこもる言葉を使いなさい。」


 そう言葉を続けている間も火球は存在し続け、彼が話し終わると同時に消えた。

 「魔法によって生じた現象の継続時間によって当然消費する魔力も異なる。今消えたのはワシが魔力の流出を止めたからで燃え移るものがなかったので消えたのじゃ。さて、今まで訓練した魔力を操作してそれを火球にしてみよ。」


 将は、もともと理系の研究者だ。そう言われるとかなり詳細にイメージできる。

 (炎という事は、まず燃える物質、まあメタンで良いだろう。それが必要で魔力をメタンに変換する事が必要だな。それに空気中の酸素が反応する。分子量的にはメタン分子1、酸素分子2で完全だが会合確率も考えて若干酸素が多め。球状にすると酸素供給が継続的にできない。球の中心から外側に一部円錐状に空洞がある方が酸素供給に適しているだろう。発現ワードは、やっぱり日本語より英語の方がカッコいいから英語にしよう。)と長々考えて叫んだ。


 「ファイヤーボール」

 将が体から何かが抜け出るのを感じると指先から青白い球体(一部円錐状に欠けて)が現れた。

 「うわちちちち。」

 指先が物凄い熱を感じてあわてて指を引っ込めると青白い火球が消える。

 「うわー失敗したぁ。炎を出す場所を指先で考えちゃった。でも、火球が出たから成功か? ねっ成功だよね。」

 将は嬉しそうにカゼールに尋ねる。


 カゼールは驚いた顔をして

 「もちろん成功じゃが、なぜ炎の色が青色なんじゃ?」


 「えっ、それはより完全燃焼に近いから。」


 と、さっきの燃焼イメージに関してカゼールに伝えると。少し羨ましそうに。

 「どうやらお主は、前にいた世界の知識によって我々より詳細に現象をイメージする事ができるようだな。それは最初に説明した効率良く現象を発現する事に恐ろしく役立つ。ワシが感じたところ3倍ぐらいの温度差があった様じゃ。発現場所は注意しないと指が燃えてなくなるから、場所を注意しながら続けて練習しなさい。」


 将はそう言われて今度は火球の出る場所を1mぐらい離れた場所に設定して呪文を唱えると今度は火球そのものが発現しなかった。

 次は50㎝ぐらいで行うと成功。どうやら自分からある程度近くでないと成功しないことがわかり、そのまま10回ほど繰り返すと呪文を唱えても成功しなくなった。


 「今の状態が魔力切れじゃ。魔力が切れたからといって体調に変化が起こるわけではない。逆に変わらないからこそ予めどの魔法が何回使えるかを把握しておかないと、実戦で魔力切れすることによって袋叩きにあう事になる。自分の体から抜けていく魔力量のイメージ。魔法の威力と回数の関係などは練習して把握しておくようにせんとな。

 魔法の練習は魔力が切れたら終わりじゃ。時間が経てば回復するが今日のところは魔法訓練は終わりにして他の修行を続けなさい。」


 「わかりました。今日は魔法が使えるのがわかって凄い嬉しいです。本当にありがとうございます。」

 将は素直にいつものメニュー(最近は量が5割増しになっている)を行う事にした。


 将の魔力は今のところ人並み以下だが、どうやら魔法に関しては才能?というか元の世界のアドバンテージを生かす事が出来そうだった。カゼールは安心するとともに今後の修行プランを楽しそうに考え始めるのだった。


 そして次の日から水球、土玉、風玉、光玉、闇玉とひととおりの玉シリーズを習得し、1月すぎる頃にはさらに魔力も向上して75になっていた。


 数値はまだまだ一般人レベルだがカゼールは若干の違和感を感じていた。

 将はアホっぽく。

 「やたー、一般人レベルになったどー。」

 と奇声をあげて喜んでいた。


 まあ、良いか。カゼールは将の様子をみて微笑んで彼に告げる。


 「よし、生き残るためのその1、を今日から伝授する。」


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