45. 第3章その9 泉とトカゲ
しばらく歩いていくと、少し先に、またゴブリンの集団が見えた。
「あっ、あのゴブリンは杖を持っているわ。
ゴブリンメイジの可能性が高いから魔法に気を付けて。」
連戦で疲れもあったが、エミリアの注意で意識を引き締める。
(なんか、サンダーストライク一択になってきたな。)
そんな事を考えながら、威力が通りそうな距離まで体を隠しながら近づく。
5体のゴブリンの集団で、3体が木の槍、1体が剣、1体が杖を持っていた。
「サンダーストライク」
なんとかの一つ覚えの様に片手から雷撃を落とすと木の槍を持った3体は、その場で動けなくなっていたが、剣を持った1体はこちらに突撃、メイジらしき1体は呪文を唱えている。
ファイアーボールがシルフィに放たれたが、避けてそのままゴブリンメイジに切りかかった。
近接戦になれば、シルフィの敵ではなく、あっさりと切り伏せられた。
ショウは、ミスリルソードに炎をまとわせてゴブリンと対峙する。
どうやら上位種のゴブリンウォーリアの様だった。
体格差もあり、数合打ち合うと将が優勢となり、最後は袈裟懸けに切り捨てた。
エミリアは、2人の様子を確認しながら気絶している3体にトドメを刺した。
「ふう、どうやら魔物の出現率が格段に上がってきたな。
しばらく、この周辺で探索して、魔物のレベルなどを良く確認して、さらに奥に行くかを決めよう。」
将がそう提案すると。
「そうね、それがいい。」
と、エミリアもシルフィも同意した。
3人で周辺の状況を確認していると、近くに泉を発見する事ができた。
泉の周辺は一部開けて、獣道にとつながっている事から、どうやら水飲み場になっている事が推測できた。
「うーん、どうしようか?
ここで見張っていれば魔物が現れると思うんだが。」
「そうね、やたら歩き回るより効率的ね。」
「あのあたりに身を隠していれば、この辺の様子を伺いながら隠れられそうだぞ。」
シルフィが指さす方向には、木が数本群生していて、その後ろには大きな岩があって背後から襲われる心配もなさそうな場所だった。
「いいね。あそこなら安全に見張りができそうだ。
じゃあ、早速移動しよう。」
将がそう言うと、3人で移動を始めた。
木の陰に隠れると、今日はずっとバックパックの中にいたミューを出した。
「いいか、この場所なら襲われる心配もないから、ちょっとじっとしててくれ。」
ショウがそういうと、ミューは首を縦に振って頷いた。
1時間ほど様子を見ていると、2m近い体格をした、ワニとも蛇とも似つかない爬虫類が3体ほど現れた。
「あれは、ジャイアントリザードね。
単体の危険性はさほど高くないわ。魔石もワーウルフぐらいの価格ね。
自分からはあまり攻撃してこないけど、刺激すると反撃してくるし、鳴き声で仲間を集めたりするわ。
まあ、3体なら問題なく倒せると思うけどどうする?」
「そうだな。
ちょっと朝方から連戦が続いているし、見逃してもっとレベルの高い魔物が来るかを観察しよう。」
将がそう判断すると、二人は反対しなかった。
しばらくするとジャイアントリザードは、水を飲んだ後ごそごそと森に帰って行った。
その後、しばらく何も現れなかったので、交代で見張りをする事にした。
日が傾き、そろそろ野営も考えないと、と思い出したその時。
ドシュ、ドシュという鈍い足音と伴にさきほどのジャイアントリザードの3倍はあろうかという体躯の魔物が現れた。
「ショウ、まずいわ。」
エミリーの顔色が青ざめている。
「あれは、レッサードラゴンよ。」




