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38. 第3章その2 教会堂と神殿

 久しぶりの柔らかいベッドのおかげで、3人とも爽やかな朝を迎えた。

 あまりにも気持ちが良かったので“もう1泊しよう”という意見に反対する人は誰もいなかった。


「ショウ、シルフィ」

「なに?」

「私、今日はちょっと教会堂に顔を出して挨拶をしておきたいの。」

「神殿じゃないの?」

 将が素朴な疑問をぶつける。


「まあ、神殿と似たような物だけど、神殿は神が住まうところという意味があるから、私達『エレメンタル統一教団』の教義には少しそぐわないの。」

「?」

「もしかして、『エレメンタル統一教団』を知らないの?」

「はい。」

「しょうがないわね、それなのに神聖魔法が使えるなんてどうかと思うわ。

 ものすごーく短く説明すると、

 エレメンタル統一教団は、他の神々の様に具体的な名を持つ神ではなく、世界に存在するマナを与えている神、およびその力の媒介者としての精霊に感謝と崇拝を奉るのが本義よ。

 だから、神聖魔法を行使する際は必ずマナへの感謝を通して神に感謝するの。」

「端的な説明ありがとう。」


「どういたしまして、だから神はどこかに住まう存在ではないから神殿ではなく、祈りを捧げる場所として教会堂があるの。

 ちなみに貴族のほとんどは教団に入っているわ。

 まあ、神聖魔法っていう恩恵にあずかれるからだけど。」

「ほかの神様の神官さんとかは神聖魔法使えないの?」

「使える人もいるけど、神の存在に対してマナの存在に疑問を持ってしまうと使えないらしいわ。」

「そんなものなんだねぇ。」

「あなたはどうなのよ。」

「俺は、万物には神が宿ると思っているから、神とマナってそれほど違いを感じないね。

 それが良かったのかな。」


「神様談義はそのくらいでいいか?

 でかけるなら、そろそろ行かないか。」

 シルフィが話に飽きた様で横槍をいれる。

「そうね、約束もしていないから早めに行かないと。

 シルフィ達は、ギルドに行って依頼の目星をつけて、終わったら街中を見物でもしてきたら。」

「ああ、そうするよ。」


 それぞれ別行動となり、シルフィの先導で将は冒険者ギルドに向かう。

「やっぱり、冒険者ギルドも大きいのか?」

「まあ、大きいな。依頼の種類も豊富だし、ランクも上から下まで色々揃っていたな。

 冒険者の数そのものが多いから、大きめじゃないと受付も報告もさばけないだろ。」

「そりゃそうだ。」

 到着すると、ウスマールのギルドの3倍ほどの大きさの建物に5倍ほどの人がいる様な感じだった。

 受付も報告も窓口がいくつもあるが、受付は待ちの列ができている状況だった。


「ちょっと遅い時間になったからな、ちょうど依頼を選び終えて受付をしているんだろ。」

 シルフィがコメントする。

「あそこが依頼の掲示板みたいだな、見てみようよ。」

「ああ、そうだな。」


 二人で掲示板の前まで移動し依頼を物色する。

 ウスマールで見かけなかったものとしては、Eランクのストライクラット退治は常時依頼になっている事やAランクの依頼がある事などだった。

 とりあえず、Cランクの依頼で良さそうな物はないかなと探していると。

「なあ、ショウ。これなんてどうだろう?」

 シルフィがひとつの依頼書を指さす。

 それは、単純な依頼ではなく、王都から少しはなれた人外魔境近辺の開拓地での魔物討伐D~Bランク相当という物で、倒した魔物の種類や数によって報酬が決まるタイプだった。


「なんでこれが良いと思うんだ?」

「そうだな、今までの依頼は自分の力をつけるという意味では、少し安全すぎる物が多かった気がするんだ。

 かといって、遺跡探索の様に明らかに高レベルな魔物が出現する依頼を受けるには私達は力が足りない。

 この依頼は、力をつけるのに適切なレベルで、もし危なそうな魔物がでたら逃げても依頼未達にならないから良いかなと感じたんだ。」

 どうやら魔物がいなくなるまでの常時依頼みたいだったので、エミリアとも相談して明日改めて受けるか決める事にした。


 ギルドから出て、いずれにせよ必要になるだろうからと保存食を買って、しばらく街中を歩きながら、シルフィの知っている店などを教えてもらっていた。


 そして、しばらくすると、大通りの脇に将が今まで見た事がない物があった。


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