30. 第2章その21 女難
その後、一週間で再度のオーク討伐、ワーウルフの討伐をこなし、路銀と連携の経験を積み、次の依頼で護衛依頼を受けて王都に行く事として、その日の夜は3人で夕食をとっていた。
「ショウ、でもあなたの火属性の魔法はちょっと反則ね。
まさかワーウルフ3体がファイアウォールで消炭になるとは思わなかったわ。」
「しかも炎の色が青なんて見た事ないぞ。」
「うーん、たぶん鍛冶師の人なら知ってると思うんだけど高温の炎は青から透明に近い色になるんだよ。」
「それを再現できるのが、反則なのよ。
魔法ギルドの人達に見られたら、根掘り葉掘り聞かれて大変な事になると思うわよ。」
「なるべくお近づきになりたくないねぇ。」
そんな、与太話をしていて、将が一息ついてちょっと周りをみると相変わらずの混雑だったが、バーカウンターで飲んでいるとんでもない美人を見つけて、ちょっと見入ってしまった。
「ショウ、何見ているのよ。。。ああ、あの人エルフの女性ね。
私達と飲んでいるのに他の女の人を気にするなんて良い度胸ね。」
「あの人エルフなんだ。
初めて見た。別に一般の人と違いが判らないね。」
「え?判らないの? 全然雰囲気が違うじゃない。
耳の形も少し違うし。」
将は感じられなかったが、この世界ではエルフと人間との違いは外見よりオーラの質によって感じられるものだった。
「とにかく、シルフィと私がいるのに、他の女の人を見るなんて失礼よ。」
シルフィも頷く。
「ああ、そうだな。ごめんなさい。」
将は素直に謝った。
そんな会話を聞いたかわからないが、その女性が将達の席に近づいてきた。
「3人でお食事中申し訳ないのですが、少しお話をしてもよろしいでしょうか?」
シルフィとエミリアは将の方を見る。
「ええ、良いですよ。」
将は空気を読まずに女性に答えると、空いていた将の横に座る。
「私は、フィオナと申します。不躾にお話に加えさせて頂いたのは少々あなたに興味がわきまして。」
と将の方を見る。
横からのシルフィとエミリアの視線が氷点下以下に下がっている。
「えーと、見ての通り連れもおりますので、手短にお願いできると助かるのですが。」
「ああ、すいません。
へんな意味ではなくて、あなたの魔力が少々変わっているようで、先ほどから精霊たちが私に話しかけてくるんです。」
「精霊?」
「そうですよ、あなたも魔法使いでいらっしゃるでしょ?
精霊が『あなたは面白い、楽しい』って囁くので、どういった方なのか興味が湧いて、申し訳ないのですが声をかけさせて頂きました。」
「ショウ、話が長くなるみたいだし、私達はもう食事がすんだから宿に帰るわ。
御代はよろしくね。」
そう言い捨てると、エミリアとシルフィは帰ってしまった。
「ああ、お連れの方を怒らせてしまった様ですわね。ごめんなさい。
でも、人間の女性は感情の起伏が大きくて怖いわ。」
正直なところ、美人に話しかけられて嬉しくはあるのだが困惑を隠せない将が話をする。
「すいません。あの二人は大事な仲間で関係を悪くしたくないんです。もし、特に用が無いのでしたら、追いかけたいのですが。」
「そうね。今すぐでなくても機会があると思いますので、追いかけて下さいな、ショウさん。」
彼女が笑ってそう言うと、周りが光に包まれる様に見え、逆に離れたくない衝動にかられたが、お金をテーブルに少し多めの4シュケルス置いて、マスターに。
「御代は、ここに置いたから。」
そう言って二人を追いかけた。
残されたフィオナは、つぶやく。
「私の魅了の精霊魔法がきかなかったわ。
ふふ、ますます面白い。
精霊たちも彼を捕まえて欲しいとせがむし、次に機会があったら逃がさないわ。」
二人に追いついた将は、懸命に機嫌をなだめると、追いかけた甲斐あって少しすると機嫌を直してくれ、遺恨を残さずに済んだ。




