29. 第2章その20 カミングアウト
(しまった口が滑ってしまった。)
エミリアの顔を見つめたまま、将が口ごもる。
(そこまで話すべきかどうか、、、いや、仲間になるんだから話そう。)
意を決して話し始める。
「俺は、別の世界から、この世界にやってきたんだ。」
カゼールに説明した元の世界の話、カゼールとの生活の事、それらをなるべく丁寧に二人に説明した。
そして帽子を取る。
カゼールと別れてから手入れをしていなかったため、伸びた黒髪が零れ落ちる。
それを見たシルフィが。
「黒髪か、初めて見る。」
エミリアは黙ったままだ。
「二人には申し訳なかったが、俺は魔法に関しては全属性を使う事が出来るんだ。
でも、師匠から秘密にしないと色々面倒だと言われて、俺もそう思って隠していた。
2属性しか使えないと嘘を言っていた。申し訳ない。」
二人とも首を振り、エミリアが答える。
「それは、あなたのお師匠が言っている事は正しいと思う。
あまり大きくないこの町で全属性の魔法使いが現れたなんて事になったら、すごく目立つし、面倒事があったと思うわ。
私たちにだって、正式にパーティを組んでいたわけではなかったのだから、言わなくてもしかたがないし。
今日はその事を話すつもりだったのでしょ?」
「さっしてくれてありがとう。まさか異世界から来た事まで話すとは考えていなかったが、属性に関してはこれから協力するうえで必要な情報だと思ったから、話すつもりだった。」
シルフィが珍しく話をつなぐ。
「ショウ、話をしてくれてありがとう。正直なところ異世界から来た事などは理解の範疇を超えているからコメントができないが、ショウが私達に不利益になる様な秘密を持つまいという気持ちは良くわかった。
ただ、お互いにどうしても話をしたくない事だってあると思う。
だから無理はしないでいい。私達もそうするから。」
「あら、珍しい、シルフェディアお嬢様がこんなにお話になるなんて。
ショウ、光栄に思いなさい。」
エミリアが茶化すと、将もふざけて
「光栄の至り。お嬢様の仰せのままに。」
と言うと。
みんなで顔を見て笑いあった。
「まあ、冗談はともかく、そういう事であまり気を張りすぎず仲良くやっていきましょう。
それと、さすがにショウは髪切った方が良いわね。後で私がやってあげるわ。」
エミリアが将に提案した。
「ありがとう、お願いするよ。」
「さて、俺が話したい事はほとんど話したつもりだけど、他に何か質問ある?」
二人は少し考えるそぶりをみせる。
「さすがに、色々聞きすぎて今はないわ、ねぇシルフィ?」
「うん。」
エミリアが話を続ける。
「質問はないけど、ちょっとだけ意見はあるわ。」
「なに?」
「方針に関してだけど、この町でパーティの連携に慣れるために後2,3回は依頼をするのは良いと思うのだけど、その後は王都に行った方が良いと思うの。」
「どうして?」
「一つは、単純に依頼の種類や質、報酬なんかも王都の方が圧倒的に良いし。その国の文化を一番反映しているのは王都だと思うの。
ランクを上げるのにもショウの目的のためにも、いいと思うんだけどどうかな?」
「ああ、それは面白そうだね。この街も良いけど、確かに他の場所も見てみたいな。」
「じゃあ、決まりね。
あ、そうだ。ショウ、宿はこっちに移らない?
その方が連絡取るのに楽だと思うんだけど。」
「うーん。この街にいる間は今の宿でいるよ。
それほど長期間にはならないし、お互いの宿の場所も知っているからそれほど困らないだろ。」
「確かにそうね。私たちが移動する方法もあるけど、この宿の居心地が良いからちょっと移動したくないしね。」
「じゃあ、明日の朝ギルド集合という事で!!」




