17. 第2章その8 強さの検証1
今日もいつも通り、朝一番でギルドに到着し、真っ先に依頼掲示に向かう。
いつもはEランクの薬草採取を中心に見るのだが、今日は魔物退治系のEランクを確認する。
昨日立てた方針に従うにも、まずは討伐に関して自分の実力がどの程度であるのか確認するために、複数の低レベルの魔物と戦う依頼をこなそうと考えたからだ。
良さそうな依頼を発見した。
依頼ランクE
【魔物討伐依頼】
内容
街の北1kmほどにある牧草地でストライクラットが巣穴を作って困っている。ストライクラットの駆除を依頼したい。5匹いるところを見ているので5匹退治で達成とします。巣穴をつぶして頂けた場合、別途追加報酬をお支払致します。
達成報酬3シュケルス
巣穴つぶしの追加報酬2シュケルス
場所に関しては依頼人より詳細な地図有。
期限:二日以内
注意:放牧中の家畜(主に牛)や牧草に必要以上の被害を与えないで下さい。
以上
この依頼を選んで受付に持って行った。いつも通りルカイヤさんがいた。
「あ、ショウさんおはようございます。
あれ、今日は討伐依頼なんですね。でも先日ストライクラットは依頼外で経験されてましたね。
はい、確かに受け付けました。こちらが地図になります、お気をつけて。」
北門から意気揚々と出かけ、すぐに依頼場所に到着する。
ミューもかばんから出て準備している。
「今日は、このあいだのネズミが5匹いるけど大丈夫か?」
『ネズミぜんぜん怖くない。平気だよ。』
と頼もしい返事。
そういえば、良く見るとミューは一回り大きくなっている様な。卵から生まれて2月以上経ったし、そんなものか。
と、ぼんやり他の事を考えていると。
『ショウ、ねずみ いっぱい出て来たよ。』
5mぐらい先の穴から5匹出て来た。
(先手必勝だな。)
将は、5匹の居る範囲より大きめの円盤をイメージし。
「シャープウィンド」
と、唱えるとキーンという超音波の様な高音とともに風がストライクラットに襲いかかった。
---ザシュッ---
という音とともに、一匹は首が、その他は胴が真っ二つになり、惨死した。
「あれ、終わりだ・・・・・。」
ネズミなので、当然なのだが、ストライクラットは突撃による攻撃と噛みつかれる事さえなければ、一般の獣であるイノシシなどよりずっと弱い魔物だった。
「これは全然検証にならないなぁ。」
将は、巣穴に近づくと中から若干物音がする。そこで、穴に向かって大きさを調節し、再度呪文を唱える。
「シャープウィンド」
音は聞こえなかったが、物音もしなくなった。
(念のため、つぶしておくか)
「ウォーターボール」
3回ほど唱えると、穴は水でいっぱいになり、中からちょっとグロイ死体が浮かんできた。
気持ち悪かったが、仕方がないので先ほど外で殺したストライクラットと合わせて魔石を取り出すと7匹いた事がわかった。
「グラウンドホール」
直径50㎝ぐらい30smぐらいの深さの穴をあけて、その中に死体をいれ土を戻し埋めた。
やはり、外に死体を置いたままだと、野犬や魔物を誘ってしまうだろうと配慮したためである。
魔物退治より、魔石の取り出しや死体を埋めるのに時間がかかり、結局ギルドに戻った頃には3時の鐘がなるぐらいの時刻になっていた。
「あ、ショウさん。もう依頼終わったんですか?いつも即日ですね。」
報告に向かうとルカイヤさんが声をかけてきた。
前に座り、魔石とカードを提出する。
「ストライクラットは7匹いたのですべて退治しました。あと、巣穴には水を満たしたので完全にいなくなったと思います。」
「はい、確認しますので少々お待ちください。巣穴の件に関しましては、本日夕刻または明日依頼者が確認すると思いますので、明日の夕方には追加報酬をお支払できると思います。」
ルカイヤさんが魔石を担当に提出し、一言二言話すとカードを何かの装置に入れて確認して取り出してすぐに戻ってきて。
「お待たせしました。確かに7匹分のストライクラットの魔石で、カードも確認しました。こちらが報酬の3シュケルスと魔石分の20セントになります。」
銀貨3枚と銅貨20枚を貰う。
「確かに、ありがとうございます。」
「明日の夕方以降に私に声をかけてくださいね。私から声をかけるかもしれませんので、邪険にしないでくださいね。」
将はあわてて。
「ぜんぜん、そんな事ないですよ。嬉しいです。」
「ふふ、そうですか。」
「では、また明日きますので、さよなら。」
「またお越しください。」
最近、ちょっとルカイヤさんにからかわれる様になった将だった。




