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15. 第2章その6 お客様からの信頼が私の誇りです

 カードを見せスムーズに街の西門を通るとバックパックからミューが出てきた。


『やっぱりお外はイイね』

 そういいながら後をチョコチョコついてくる。

「危ないから離れちゃダメだぞー。」


 地図を確認しながら、目的地に進む。

 目的地と思われる丘は、周りの見晴らしは良く、街道からもそれ程離れていないので何かあれば逃げようと、逃走経路をイメージする。

 周囲の確認と、逃走経路のイメージを固めたところでミューにもお願いをする。


「何か、近くにきたら教えてくれな。」

「わかったー!」


 頼みごとをされて、少し嬉しそうだ。

 改めて、薬草を探すと、すぐに群生が見つかった。

(以外と簡単に見つかるものだな)

 将はウィルトス(カゼールの小剣)を抜き、ジーヴァニヤを根元近くから切り取る。

10株を束にして切り口に水で湿らせた布を巻き、さらに紐でずれない様固定した。こうする事でしばらく薬草が悪くなるのを防ぐためだ。こういう細かい作業が大事だと、カゼールに教え込まれていた。

 2時間ほどで30株を採取したが、自分でポーションを作製する分も確保しようと、さらに2時間作業をすると、依頼の薬草の他にも、3級毒消しの材料になる薬草なども発見して採取した。


 何事もなく、ミューも退屈でアクビをしていた。

「さて、帰るぞー。」


 そう言うと、ミューは近くに寄ってきたので歩き出す。


(何事もなくて良かった。比較的安全だし、薬草集めは得意だから、しばらく続けてみよう。)

 そんな事を考えながらギルドに向かった。


「いらっしゃいませ。」

 ギルドは、まだ夕方には早い時間だっためか、空いており、総合受付のお姉さんから挨拶があった。


「あの、依頼報告の窓口はどちらでしょうか?」

「はい、あちらの入り口近くになりますね。」

「ありがとうございます。」


 依頼報告受付に行くと、なぜかルカイヤさんを発見。

「あれ、依頼受付が担当じゃないのですか?」

「ショウさんを待ってました。」

「えっ」

 将が驚くのと顔を赤くするのを同時にするのを見ると、ルカイヤさんは笑いながら。


「冗談ですよ。夕方は報告が混むので、請負から交代で手伝うんです。」

「あー、そうですか。もう、からかわないで下さい。

 はい、これが依頼の薬草になります。確認して下さい。」

「はい、少々お待ち下さい。」


 後ろに下がり、念のため専門の担当に草を見せる。

「はい、確認できました。問題ありません。追加20株分の代金も合わせて3シュケルスです。」


 銀貨3枚を受け取ると、初任給を貰った時を少し思い出した。

「ありがとうございます。」

「いえ、とんでもない。薬草の処理が完璧だと、鑑定担当が褒めていましたよ。丁寧な対応ありがとうございました。」

 お互いにお礼を言い、顔を上げて目が合うと笑いあった。


 宿屋に戻っても時間が少しあったのでポーション作製の下準備をして、その日は夕食を食べてやすんだ。

 3日間ほど、似たような依頼を受け続け、その日も薬草採取をしていたのだが。


『ショウ、何かいる。』

 ミューが警告した。

 将は、採集の手を止め、すかさずミスリルの剣を抜き、あたりを伺う。

 すると、3m先の穴から、何かが顔を出した。

「チュ、チュッ」

 ストライクラットだ。将はすかさず剣に風の属性魔力を込める。イメージは剣の表面に小さなカマイタチを無数に発生させ、チェーンソー的な状態を思い描く。

「シャープウィンド」呪文は、風のカマイタチと同じものを使用した。


 ストライクラットは、将を発見すると一直線に突撃してきた。

 剣でそれを切り落とす。“シュン”という軽い音がして、ラットは真っ二つに。


「あっけないなあ。まあ、ネズミだしこんなものか。」

 念のため、しばらく様子を伺うが他にはいなかった。単体での行動をしていたようだ。

 ラットから魔石を取り出し、死体は穴に放り込んでギルドに戻った。

 ラットの魔石は10セントで引き取ってもらえた。


 今日も担当してくれたルカイヤさんから。

「ショウさんの薬草の処理は、依頼を頂いている薬剤師の方から好評ですよ。品質が良い状態なので、ポーション製造の歩留まりが上がったそうです。

 本日は、魔物も討伐されてすごいですね。頑張ってください。」

「はい、お客様からの信頼が私の誇りです。」

 と超サラリーマン的な答えをする、将だった。



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