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12. 第2章その3 買い物に行こう

部屋に行き荷物を降ろすとミューがでてきた。

『街、人いっぱい こわい。』

「ごめんなぁ、明日は街の外行くから。」

『わかった。』


 バックパックの容量は意外と大きい(これもカゼールの作品で10倍ほどの容量が入れられる)ため中で狭いということは無いらしい。

 袋の容量は、さらに大きいが生物は入らないため、このバックパックが後日役立つ事になる。


 将はベッドに横になり、午後どうするかを考える。

(うーん、とりあえず小剣だけだと、ちょっと心もとないから剣を買いに行くかな。

 薬の調合道具も欲しいところだよな、あれば薬が自作出来るし。)


「よし、買い物に行こう。」


 ベッドから起きあがり、素早く準備し、ドアに鍵をかけて下に降り、ズバイダに声をかける。


「出かけるのでカギを預かって下さい。あと、近くに武器屋と道具屋はありませんか?」

「武器屋はハーリッドの店が良いって聞くよ、道具屋ってぇのはないねぇ。

 ヤルムーク通りに色々出店があるから、そこで探すといいんじゃないかい?

 紙はある?」

 紙を渡すと簡単な地図を書いてくれた。

「はい、これで大丈夫だろ。夕食には帰ってくるんだよ。」


 将はまず武器屋に向かった。

 地図のおかげで、すぐに見つかり店の中に入る。

 中には色々な武器が陳列されていた。


「いらっしゃい。」

 店員が声をかけてきた。

「どの様な武器をお探しですか?

 剣、槍、弓、棍棒、杖など色々取り揃えております。」


「両手でも片手でも扱える剣が良いです。1mぐらいの長さのものは有りませんか?」

「はい、これと、これと、これなんかどうですか?」


 慣れたもので将の希望した剣を素早く3種類見繕う。どうやら、刃の幅で重さが大きく変化するため3種類持ってきた様だ。

 それぞれ持って感触を確かめる。

 一番細いものが片手で扱うには良さそうだった。

「コレがいいかな。」

 と指さすと。


「では、それと形がだいたい同じで素材違いの剣と重さがほぼ同じで形が違うものをお持ちしますので、そちらに座ってお待ちになるか、他の商品を見てお待ち下さい。」


 そう言って店員は奥に行ってしまった。

 手持ち無沙汰に色々な武器を眺めていると、少し高い場所にみるから立派な剣が飾られていた。

 少し近くから眺めていると、突然後ろから。


「良い剣だろぅ。ハッターブ作の逸品だ。ミスリルの素材で炎の属性が魔術師により強化された魔石で付与されている。魔法が使えなくても魔力さえ持っていれば火の属性魔法と同じ効果で攻撃できるのさ。500シュケルスだぜ、まからないからな。」


 そう、髭面のゴツイおっさんが良い笑顔で解説してくれた。


「あっ親方、ダメですよ。お客さんにからんじゃ。」

「からんじゃいねぇよ。説明してやったんだ。なぁ、ぼうず。」

 そう言って、帽子の上から頭をぐりぐり撫でた。


「はい、でもぼうずじゃなくて、ショウです。」

「わかったよ、ぼうず。おいアラン、それよりお薦めは持ってきてやったのか?」


 実は、さっき説明された剣でも買えない事はなかったが、お薦めを見る。

 鉄の剣、鋼の剣、ミスリルの剣、少し幅広い剣などだった。

 ミスリルの剣は魔法付与はされていないが使い手が魔法を使えれば、先ほどの剣同様属性攻撃が可能になる。

 値段を聞くと鉄が10、鋼が50、ミスリルが100シュケルスとかなり値段に差はあったがミスリルの剣が思ったより安い気がした。


「あの飾られていた剣に比べて、同じ素材なのにずいぶん値段が違うのですね?」

「それはですね、ちょっと中途半端だからです。

 素材として、ミスリルは鋼より軽いですが硬度はほぼ同じです。

 ですが鋼は、重い分威力が高いんです。

 属性付与は、魔法使いでないとできませんし、魔法使いは近接戦は嫌いますし、変換効率の高い杖を使う方が多いです。」


「つまり、使い手があまりいないと。」


「その分、素材のわりにお買得にしています。この店に1本しかありません。というか、ずっと売れずに残っています。」

 将は、(正直だなぁ)と感心した。


「おう、ぼうず。どうするんだ?」


 ちょっと悩むが自分の特性も考え。

「ミスリルの剣を買います。」

「おっ、てぇことは魔法を使えるんだな。ぼうず。」

 店員が、『じゃましないで下さい。』という感じで親方の脇を肘で突つく。


「それでは、代金の100シュケルスと身分証明カードをお願いします。武器販売の際、確認が義務なので。」


 金貨一枚とカードを出す。


「なんでぇ、ぼうず。駆け出しじゃねえか。いきなりミスリルの剣なんて金持ちのボンボンか?、」

 親方がカードの色を見て騒ぐ。


 ちょっと不愉快げに将は言い返した。

「命が懸かっていますから。確かに、少し張込みました。でも、私は魔法も使えますので。」


「金があるなら、確かにお前さんの言い分が正しいな。

 おい、アラン、それよこせ。」


 親方は剣を受け取ると、持ち手の部分に丁寧に皮紐を巻きだした。

「こうすると、滑って剣を落とす事が少なくなる。こいつは、魔法伝導効率が良い魔物の皮だから効率もほんの少しだが上がるぜ。」

 そう話ながら手早く仕上げる。

「ホレ、俺からのサービスだ。修理もやってやるが、自分で手入れしろよ。」

 鞘に入れて将に手渡した。


「ありがとうございます。」

「何を言ってやがる。こっちこそ、『ショウ様、お買上げありがとうございました。』だ。

 これからもよろしくな。」



 将が出て行くと親方はつぶやいた。

「俺が作った魔法剣士用の剣を選んだやつは10年ぶりか、上手く使いこなすんだぞ。」


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