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0.序章 巨きな樹の下で

R15ほかは保険です。基本的には全年齢対象で記載予定です。

それでは、よろしくお願い申し上げます。

ご神木。そんな形容が似合う巨大な木の前に年老いた男が一人立っていた。


 彼は、自分の死期が近づいている、という事がわかってしまっている。

「やはり少し残念だよ。」

 目の前の大きな木に語りかけてみる。当然返事は無い。

無言のまま少しいたずらめいた笑みを浮かべながら、その樹皮に手をついた。


 すると・・・・


-----------------------------


…結局、こんな事になってしまうのか。

「はぁー  。」

 彼の名前は久我将、某大手電機メーカーに勤める中堅研究員だった。


 先日、会議室に呼び出され「君は営業職に移る気があるか?」と迂遠な質問を上司にされ、その後ごちゃごちゃと移動理由を語ってきた。10年以上研究開発部門の彼にそんな話をするという事は、要するにリストラに近い話だった。

今年度の8000億円という見込みの超巨大赤字が原因なのだろう。彼は、つい「なんで自分に」と怒りが湧き起こり、やってしまった。


「関わった新規開発は製品化しないでPJ中止だったし、管理職一歩手前の半ブラブラ社員は、人件費圧縮に最適ですよね。」


 と言ってその場で退職届けを書いて出してしまったのだ。


「まあ、両親も5年前にいなくなり、兄弟もいないし、結婚もまだだし。」

 独り言が、ほぼ自虐ネタだが、要するに誰も困らないし、体裁もどうでも良い状況だった。

「それなりに貯金もあるし、しばらく生活には困らない。どこかアジアの企業にでも転職するかぁ。」


 将は次の日、昼間から近所の神社の境内でフラフラしていた。さすがに公園だと、あまりにそれっぽいので人気の少ないところを選んでいた。アパートの中に居るのも気がめいるばかりだし、数十年ぶりの散歩だった。

「しかし、39にもなって無職か。さすがにへこむ。大学院まで出ておいて。」

 なんだか、独り言も支離滅裂になってきていた。

 境内近くのご神木に手をつき、さらに大きな独り言を言ってみる。

「どこか遠くに行って、もう一度人生やりなおしたいよ。」

 心の中では、「できれば高校受験ぐらいから。」も加えていた。

(あの頃は、体力もあったし夢もあったなぁ。)と思った刹那。


 巨木に突いた右手の平にかかる抵抗が無くなる。

「え・・・、なんだこれ。。。ちょっと」


 瞬間的に、プラネタリウムで見たような星の煌きが見えたかと思うとグニャリという感覚が体を通り抜け、ごっそりと体から何かが削ぎ落ちたようだった。

 そして、直後に、、、目の前におじいさん。


「あれ、どうしたんだろ、すいません。」

 おじいさんに声をかけると。

「XXXXX、XXXXX、XXXXX」

 知らない言葉で返事を返された。

「すいません、外人さんでしたか、英語わかります? Could you speak in English?」

「XXXX XXXX XXXX。」

「英語が何かは知らんが、お前さんなんで裸なんだ?」

 と二重音声の様な日本語で指摘され体をみると。


 素っ裸でした。


「○×・・・」と、とりあえず手で大事なところを隠して。

「すいません、良く分からないけど、すいません。」

「まあ、ええよ。これでも着とれ。」

 と自分がつけていたマントらしき物を投げてもらった。

「あ、ありがとうございます。」

「ところでお主は、樹の精霊か?」

「いえ、ただの人間です。久我 将と申します。えーショウ クガ です。」

 相手が外人さんっぽいので西洋風に言い直してみる。

「ほう違うのか、わしはカズィールガマナサンだ。長いからの、カゼールで良い。

「では、質問を変えるが何で裸で樹から出てきたんじゃ?」

「分かりません。」

 ここで自分でも混乱から若干回復し不思議な事が。

「あの、日本語お上手なんですね。」

「日本語なんぞ話とらんよ。精神感応で意思疎通できているだけじゃ。」

「え、それは超能力的な何かですか?」

「ふむ、よく分からんが、たぶんそんなもんじゃ。」

 それで二重音声放送の様に感じたのか。さらに、ちょっとだけ落ち着いてきたので周りを見ると。

 うっそうとした森の中である事にやっと気づく。

「あの・・・、ここ どこでしょうか?」


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