終りの世界と腕の悪魔
太陽が上がりました。
ワタシは彼此10日くらいの時間をかけて、この場所に来ました。
ワタシの最終終着地点であるノイズの悪魔がいる場所です。
その場所は、とても綺麗なところでした。
美しい山です。
ワタシはまだふもとですが、山頂の景色はきっと素晴らしいでしょう。
もうすぐ、ワタシの旅は終わるのでしょうか。
紫の悪魔が言った事が確かなら、ワタシがノイズの悪魔と接触する時、世界は終わる…。
でも、そこに不安は有りませんでした。
人間が作り上げてしまった偽りの地球が終わるのです。それは即ち、元あった地球に戻るのです。
それはとても素晴らしい事じゃありませんか?
そこに彼は居ました。
ワタシを待つように。
残念ながらノイズの悪魔では有りません。
「やったきたか。この山の頂辺に、お前が求めてた悪魔がいる」
彼はワタシに気づいて話かけてきました。
彼の特徴は6本の腕です。
そして鼻と口を隠すようにはりついている白い骨のような仮面。
阿修羅、と言うものに似ていました。
腕の悪魔の彼は話を続けます。
「会う前に、お前と話がしたかった、ロボット。まぁ、そんな対それた話じゃない。彼に会う前に、お前に少々言っておきたいことがあってな」
彼はワタシがここに来るのをなぜ分かったのでしょうか?
そんな疑問をよそに彼はワタシの返事を待たずに話を続けます。
「人間と悪魔には、対した違いなんてないんだよ。ま、そりゃ外見は全く似ていないんだが。人間は言うなれば、俺達悪魔の理想系だ」
「…。理想系?」
「そうだ。俺達はこの醜い姿を好んではいない。俺達悪魔が何故誕生したのかも分からない。俺達は元々この地球の住人ではない。多分、次元が違うのだろう」
「そうなんですか」
「お前は人間に近い形だな。それはお前が人間に作られたからだ。俺はそれを嬉しく思うのと同時に、悲しく思うよ。お前は、人間が嫌いか?」
「嫌いです。ワタシは人間の勝手な都合で生まれたくはありませんでした」
「そうだろうな。勝手に都合で作られたら、嫌われるのは当然だ」
彼は悲しそうな顔をしました。
「白衣を着た悪魔が言った通り、お前は失敗作かもしれない」
「そうですか。ワタシは何故失敗作なのですか?感情を持ったからですか?」
「そうだ。お前には感情が宿った。戦争をする際に、感情と言うのは邪魔だ。俺の話は終りだ。行くといい」
「何故ワタシにそんな話を」
「お前が大切だったからだ」
彼はまた悲しそうな顔をしました。
「ノイズの悪魔に会え。彼はお前の敵でもあり、味方でもある。彼はもうすぐこの世界を終わらせる。悪いのは彼かもしれないし、人間かもしれない。それを決めるのは、お前だ」