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それぞれの思い
雲一つない青空を見上げ、いつもと変わらない校舎へと足を踏み入れる。
何人かの生徒と挨拶を交わして着いた先は会議室。
私は少し笑うと、ガラッと勢いよく扉を開けた。教室の中には男子が一人机に座り、こちらを向いている。
「友哉、おっはよー!」
言いながら私は、思いっきり手を振る。
「真夜、おはよう」
小さく微笑んで返事を返す、渡辺友哉は私の幼なじみの三人の内の一人であり、彼氏。
顔は整っていてよくモテる。
慣れていない人には感情の変化がないように思われる事が多々あるけど、わずかに変わる表情に心が高鳴る。
「真夜、入るか入らないかどちらかにして。今日も、たくさん依頼が来てるわよ」
友哉に見とれていると背後から声がかかった。
振り向くとそこには幼なじみの一人、入江ななが立っていた。
ななは私の胸あたりまでしかなく、私を見上げていた。