第4話 戦う国造
「本当に、立派な城じゃな」
こんなところに尊が住んでいるのか? 粟道の家が人の割には小屋だったから国造は疑問に思う。だが国造は城の中に入った。
「誰だお前は」
城に入ろうとしたら守備兵に止められた。
「ワシは葛城国造と言う。尊に会いに来たのだが」
「見たことないな。なぜだ」
「ワシは大屋と言うものにここを紹介された」
「大屋って聞いたことあるな」
守備兵同士は話し始めた。
「大屋さんは尊さんの知り合いだから、その縁で紹介したんだろう。通せ」
「わかった。出雲国造よ、通れ」
説明したら国造は通り抜けられた。
「おお、国さんよく来たな」
中へ入ったら尊が迎えたのだが。
「草薙の剣だな。俺に勝てば貸してやるよ」
「どうしてもか?」
「そりゃそうだな。俺に勝たないと貸せないな。俺と国さんの仲にしても、だ」
「どういう事じゃ」
「こういう事さ」
「何!?」
尊は剣を出して国造に襲い掛かってきた。国造はこれを剣で止める。
「尊、正気か」
「正気だ。でも、こうする決まりなんだよ!」
尊は国造に何度も剣を振るが国造はすべて止めた。だが、国造は剣を止めにくいと感じていた。
実はこの時、国造の青銅の剣は属性が移動していて、土になっていた。
青銅の剣は神格に合わせて剣の性質も変わるようになっている。尊の神格は海じゃなかった。尊の神格は風だったのだ。
国造が剣で殴ると尊はダメージを受けている。だが、尊の次の攻撃では逆に国造がよけきれなかった。
「うわっ!」
尊の攻撃は早くて見えない。このままだと負ける。そう思った国造は尊に向かって突っ走った。だがその方向に尊はいない。
「ここだ」
後ろに尊はいた。尊はそのまま剣を振り下げるが、国造は尊の懐に入って無事だった。
国造は尊に居直った。
「どこじゃ! ふんっ!」
国造が剣を振るうが、そこには尊はいない。尊は上に飛んで国造の攻撃をかわしたのだ。
「何じゃ!?」
「へっ!」
尊は後ろに着地して決着をつけようとした。
「おっ!」
尊が国造と剣を合わせるとそこから爆風が生じた。国造は後ろに飛んだ。
「つつつ、こ、これは」
「俺の神格を出した。これでその距離しか吹っ飛ばされないのか」
「そのようじゃな」
国造は起き上がる。尊は自分の腕の弱さを悔やんでいるようだった。そしてその方向へ突っ込むが、国造は間一髪でこれをかわす。
「ああ、危なかったのう。今のは」
「とにかく、草薙ぎの剣は誰にも渡せねえ、っていう決まりなんだ、帰ってくれ!」
と、尊は剣を振りかざしのだが、そこにひらっと殺気が舞った。
「誰だ? うわっ!?」
尊は胴体を斬り付けられた。それと同時に血反吐を吐いた。尊の口の中に強酸と鉄の味が広がる。
だが、国造らを追い返さないといけないので負傷したとしてここで退散はできない。
神と言うのは死なないが、戦いを続行してしまえばいずれ負けてしまう。
国造は現れた者を見て話を始めた。
「そなたは?」
「スセリーと申します」
「いや、全く似とらんが」
「この前映し出されたのは写像です。からくりを使って映された仮の姿」
「そんなことができるのか?」
「はい」
と言って、スセリーは武器を無限に増やし、尊を攻撃する。
「うわっ」
無数に飛ぶ苦無に苦戦する尊。
尊がその素早さによけきれず、とうとう降参した。
「分かった分かった。武器は持って行け! そのかわり、あとから絶対返せよ!」
「いいのか?」
「今回は貸してやる。そのかわり、絶対倒せよ!」
国造は草薙ぎの剣を借りた後、すぐに尊の元から去った。
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「すまない、助かったな」
「どういたしまして。あなたのためなら」
「しかし、どうしてワシを助けるんじゃ?」
「私の使命だと思っているからです」
「誰かに頼まれたのか?」
「いえ、でも、国造さんが戦っているのを見ると私にも何かできることはないかと模索してたんです」
「見てたのか?」
「私も八神さんに会いにあの街へ、いえ、やましいことではなく旧友だから」
「知り合いだったのか」
国造は何か運命めいたものを感じるが、やはりあの街へ行かなければいけない。
「ならば、また会うかもしれぬな」
国造はこれだけ言い残して城を去った。
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国造は自分から呼び出しておいて百人神の上から現れた。
「おい! そんなところから出てくるなんて卑怯だぞ!」
と百人神が言い終わると国造は剣を一振りした。
「お、新しい剣を持っているな」
と百人神は逃げながら言った。
「前の剣じゃあお主と合わんからのう」
百人神はそのまま斬り付ける。国造は何とか逃げ切った。
「危ないのう」
と言って国造は剣を持ち直した。
「国造! 行くぞ!」
「望むところよ」
夜の繁華街で二つの影が交わった。
「おおっ!」
「こ、国造が、ここまで」
二人はつばぜり合いになっていた。
「さすがに強いな」
「お前には負けねーよ」
二人は同時に押しのけた。その結果二人は同時にはねのけられた。
そしてそこから国造が一刺しし、一つの影が崩れ去った。
「くそー。国造め、武器を変えて俺に臨むとは……」
「いろいろあったが、これで終わりじゃ。あとはこれを尊に返すだけじゃ」
遠くの建物に隠れて、チラ見していたスセリーがそれを見て微笑む。
その後、草薙の剣は尊に返され、謝罪とともに返されたという。
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その後の尊の様子がこちら。尊は夏美と話をしている。
「え、国さんと戦ったの!? あんなに仲良かったのに」
「だって剣を貸してくれって言うからよ。決まりだからさ」
「もうそんな変な縛りなしにしたら?」
「いや、あの剣は草薙の剣だぜ。草を薙ぐ剣だぜ。必要がある時になかったらダメだろ。だからこうやって飾ってるんだろ?」
「十握剣で十分対応できそうな気がするけど」
「それがな。この側面に出ている刃が意外と厄介なんだ。これでよく怪我するんだ」
「意外と危ないのね。かっこいいけど」
「まあな。まあ、神様殺してもいくらでも復活するって言われたらそれまでだけどな。でも国さんと戦ったあの神様はもう死んだな」
「あ、概念!」
「あれは国さんの敵、って言う概念だから国さんが倒したら消える」
「私たちって難しいね」
「おー。俺も俺たちの事はよく分かってないからな」
そう言って二人は笑いあった。




