ルームメイトに魔法陣で召喚されてしまったけど、まさか男装バレちゃった?
「なぜ、お前が出てくる、ルーグ」
(突然召喚しておいて、その言い草はない)
状況を把握するのに一拍。
足元にある魔方陣と周りを見て、自分の立つ場所が同級生エバンの公爵家だと認識すると、ルーグことルミィはイケメンすぎる相手を見た。
「俺は、婚約相手のルミィを召んだはず……」
呟く朴念仁に、どう抗議したものかと思案する。
婚約者として彼と会ったのは数回ほど。
おかげでこうして男装して学園に通い、あげく寮で同室なのにも関わらず、未だルームメイトのルーグが、ルミィ本人だと気づいてない。
勿論バレないよう必死の回避があってこそと自認しているが。
「……前触れなく、婚約者を部屋に呼び出す奴だとは思わなかった」
ルーグは不機嫌な声で、エバンを見据える。
「相手が着替えや入浴中だったら、どうするつもりだったんだ」
指摘に、エバンはグッと息を詰まらせた。
「い、いや、しかしこうでもしないと、俺は彼女と話も出来ないんだ」
「それはエバンが会いに行かない上に、令嬢の手紙を無視するからだろ。冷めた仲だと有名だぞ」
「! お前に俺たちのことは関係ない!」
「まず召喚陣で僕を巻き込んだ非礼を謝れ」
いまは伯爵家の長女ルミィではなく、仮の身分、男爵家子息ルーグとして彼の前に立っている。
学生間での身分差は不問。堂々と非難すると、エバンは慌てて謝罪した。
「そ、それは、すまない。手違いがあったみたいだ。それに」
続く言葉はルーグを驚かせた。
「恥ずかしい話だが、ルミィから手紙を貰ったことはない。俺が行っても、いつも会って貰えないんだ」
「……は?」
(そんな訳ない。私は折につけ手紙を書いたし、彼がうちに来てくれたことなんて──)
「伯爵邸では彼女の義母君や義妹君が応対してくれて、ルミィは遊びに行って留守だって……。朝帰りして寝ているというケースも多い」
「はああ?」
「っ! 彼女を責めないでくれ。きっと何か事情があるんだ。幼い頃、ルミィは真面目な努力家だった。伯爵が後妻を迎え、環境が変わったから。俺は相談に乗りたくて、それで今日、強硬手段に出たわけで──」
「なるほど。だから召喚陣」
「以前預かっていたルミィの私物から、持ち主を呼び出したんだ。出てきたのは何故かお前だったけど」
「ニブさが天然級」
「何っ!」
「ごめん、エバン。怒らせるつもりはなくて。ただ、そう、"私に"気づいて?」
「──?」
義母たちの妨害を暴き、円満なカップルが誕生するのは、すぐ先の未来の話。
お読みいただき有難うございました!
こちら『なろうラジオ大賞』参加作品のため……。
1000文字! きっつい1000文字! 1000文字制限でやっちゃいけない題材だった(ノД`)・゜・。
でもいつかやってみたかった男装もの。とりあえず"なろラジ"開幕初日に投稿したくて、10時から書き始め…。11時に投稿したかったくせに、書き始める時間も遅いわぁぁぁ!_| ̄|○;
えっと、1000文字を楽しんでいただけましたら幸いです。(∀`*ゞ)テヘッ
たぶんルミィからは会いに行けないんですよ。女の子から行くなんてはしたないとか何とかあって。
でも、はしたないどころか家飛び出てしまってますが。仮の身分はお小遣いを投資して、密かに稼いだお金で買ったというか借りたというか。きっとそんな感じ。
あああ、1000文字と言わず、もう少し丁寧に書きたい…!かも。