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平熱

作者: タマネギ

今日も咳が出るから、

やわらかいマスクをして、

ノンシュガーの飴を舐めて、

一人で仕事を始めた。


他の人たちは休みとか、

会議とか、研修とかで、

周りにいなかったから、

好都合だった。


周りに人がいると、

咳き込むには気が引ける。

大きくは咳き込まないが、

咳は一人が良い。


元来、一人が性に合う。

ずっとそう思ってきた。

大きな咳やくしゃみを

当たり前にする人ではない。


その代わりブツブツと、

物憂げに何か書いている。

ただただ、書き込むだけで、

もうすぐここは千になる。


他のも合わせたら、

どれだけかは見えない。

どれもこれも一人の静かな咳。

抱きしめてほしいだけの詩。


さてこれからどうしよう。

どうもしなくてもいい、

慌てて叫び初めてもいい、

自分を生きなさいと言われた。


周りの迷惑を考えながら、

言葉に咳き込みながら、

一人で考えて一人で書く。

一人で書いて、たまに届ける。


それで良いではないか。

何を望んでも自分の望みが

そこになければ意味がない。

自分の可能性を求めなければ。


それにしても治らない。

咳こむのにも疲れた。

色々なことに疲れたのに、

それを捨てないからか。


望みと疲れが交わって、

今日は少し熱っぽい。

計っても、平熱だから、

仕事というか、何かはした。


何かはしたけれど、

森の中に忘れてきたような、

自分も置いてきたような。

咳だけ、傍にある。

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