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マキとマサキの物語   作者: 森嶋直斗
9/10

マキとマサキの物語⑨September rain pain Chain 次回最終回 帰省し帰ってきたマキ。マサキの様子が変わった。日焼けして、キャバイ女の助手席に・・マキの心も濡れる。

帰省し、結婚の報告をしようとしたただ一人の肉親、父が他界。マサキのもとへ、帰ってきたが、様子がおかしい。日焼けし、浅黒くなった顔、朝から流れってくるBGMは、湘南乃風。帰りも毎日遅い。不安になるマキ。早朝マキを迎えに来た。ケバケバの黒いジェルネイルの女・・・マキのこころも9月の雨に濡れる。♪September rain pain Chain♫♬ 次回最終回!



第9曲 September rain pain Chain


しばらく見ないだけで、マサキが、精悍に日焼けし、少しやせた。海にでも行った

のだろうか。聞く音楽も変わって、湘南乃風が、流れている。少し言葉遣いも荒っ

ぽくなったような・・・

(Line)

マキ:マサキ、明日は、早い?

マサキ:バイト

マキ:了解


マキが、帰ってきてから話は何度かして、見上げを渡したり、父が亡くなった話も

した。だが、ゆっくり家で話したり、飲みに出たことは無い。もう、2週間ほど

経つだろうか。マキも一人で飲みに行く気にもならず、家でけな気に待っている。

マサキは、このところ毎晩遅く帰ってくる。

(Line)

マキ:今日も遅い?

マサキの返事はない。


気が付くと、一人で、ボナペティーの階段の下・・・

ギー、バタっ

田:いらっしゃいませ。おっ、おはよう!・・ん・浮かぬ顔・・

マキ:ジン、ボンベイ、・・・

田:ロックですね。ビール・・飛ばしちゃう・・

ゆり:田さん私たちは、ビールからにしよう。

ゆりが手酌で、飲み始めた。


マキ:なんか、よそよそしいんだよね。

田:少しづつ大人になってるだけじゃないの。

ゆり:ちょうどいいじゃない。別れちゃえば!無職の男じゃ苦労するわよ。

マキ:もう、こっちがその気になって、田舎で報告してきたのに・・今更ですか・

田:押したり引いたり波のように女心は、揺れ動くのです。

マキ:また、他人事だと思って!氷!追加!

田:今日は、2本でも足りませんよ・・

ゆり:私も付き合うわよ!人の破局は、わくわくするんだわ・・はは。

田:人が悪いですよ。

ゆり:もうこの年になると、自分のことで、わくわくなんてしないのよ。

   人の幸せの話は、あーそう、ってなっちゃうし、人生の刺激は、人の破局・

   ・・相談に乗ってるようで、こっちが、興味津々・・

田:本音はそうかもしれませんね。

ゆり:お客さんの前じゃ絶対言えないけどね。


マキ:私も一応、客なんですけど・・・

田:ちょっと、ほっといたら・・ほんとにマキちゃんが好きなら帰ってきますよ。

マキ:帰って来なかったら!

田:・・・だいじょうぶ・・です・・・・マキちゃんキレイだか・・

マキ:じゃあさ、イギリスのダイアナさんとカメラさん!どっちが綺麗よ!

田:・・・・

ゆり:・・・・・

マキ:ほらぁ、きれいーなんて人それぞれじゃん! カラン、グビグビ

ボンベイサファイヤが、砂時計のように減っていく・・

ゆりは、そっと、もう一本ビールを開けた。スポン!

マキ:もー、本気で喜んでるでしょ。

ゆり:喜んでは無い。

田:       無い・・

マキ:湘南の風っ、朝から爆音!聞こえてるのわかってて・・意味わかんない!

   まさか、日焼けサロンじゃないわ、キモイわ、小太りの日サロ通い!

                          ゆり:  がははぁ・・

田:マサキ君だって、日焼けしたい時も・・・

ゆり:田さん日焼けサロン行ったこと・・? マサキと、があは!ないわ・・

             マキ・・・がはははあ!    がはっないない・・

田:そりゃ、無いですよ・・・

ゆり:なんか心境の変化は、有ったわよね。浮気か、他の彼女か知らないけど・・

マキ:グビグビグビ・・プファぁ・・でしょ・・

ゆり:  グウイーッ・プファあ!   だね!

田:       ぐびっ フッ・・・・・・なるほど・・

                   マキ: もおー、楽しんでる!(怒)

マキ:プレイバック、パート2!入れて!

田:・・・入りまーす。

マキ:(目つきが恐ろしい!)♪バカにしないでよ!♬そっちのせいよ♬♫

田:気迫が違いますね。

ゆり:私も歌うわ!

田:えーーーーーーーーー100年に1度が!今ですか・・

  入りまーすっ

ゆり:(優しい目で、マキを見て)♪いい日 旅立ち 幸福をさがしに♬♫

                   ♫子供の頃に歌った歌を道連れに♫♬♩

マキ:えーっ、もうやだーママ、嬉しそうだもん!

マキ:もう一本開けて!氷も!


朝焼けに、朱色に染まり、ゴミだらけの街をゆーっくりと・・歩いていった。


バーニーコート201とバニーコート2 201。二軒のバニーコートは静かだ。

氷川神社の参道にカッコウの声が響く。バーニーコート2の前に、

ピンクのミラココアが止まった。

”カチャッ”鍵の音・・

マキ:う!・・出かけた!

メガネを探したが見つからない。カーテンをずらし、

道路を見ると、助手席のドアをジェルネイルの指が押し開けた!顔はぼやけて・・

マサキが、助手席に乗り込んだ!

マキ:ンギャ!女と出かける!?・・・クーっ、ここまで迎えに来させるとわ・・

   いい度胸だ!この喧嘩!受けたるわ!・・

と、言ったが、布団を被った・・・

ここまで、へこむと・・ちょっと、同情する。


寝たふりで、布団を被ると熱い・・携帯をもってLineを打った・・

(Line)

マキ:出かけるの見えた

   かわいい車だね。

送信・・・


押せずに消した。


小雨が、降り出した。


カッコウも泣き止んで、車もこない。




マキ:行こっ!

歯ブラシを口に1往復、乾いたタオルでぐちゅぐちゅっと、顔を拭いて。

下駄箱の中から、昔買って、使ってないレインコートを引きづりだし、

犬のシャンプーの時にはく長靴を履いて外に出た。


日曜の朝、京浜東北線はすいている。レインコートのまま、窓際に立ったまま・・

横浜方面に行こうとしたが山手線に乗り換えた。雨が激しくなって、景色が滲む。

雨か、涙か、ちょうどいいのか・・・


何週したのだろう、何しに来たのだろう、雨も止んだ。新都心に帰ってきて歩く。


     ♩ ♩ ♩ ♩ September rain pain Chain ♩♪ ♩♪ ♩♪ ♩


氷川神社の参道には、鳥が鳴き、風がそよぎ、髪が流れる。涙もいつしか乾いた。


マキ:お腹空いたな・・・時間を見た。2時過ぎか・・

カレーラーメンの店、マキが入ろうとしたら、おばちゃんが出てきて、のれんを

しまおうとして、マキに気づいた。

おばちゃん:珍しいね。こんな時間に。良いよ!

マキ:すいません。

おばちゃん:カレーラーメンで良い?

マキ:はい。お願いします。


客はいない。

おばちゃん:はいどうぞ!

マキ:いただきます。

いつもと同じ味なのに、少し塩辛い気がする。全部食べたが、スープは残した。

 

部屋に戻ると、BGMは、Fendy鈴のバラードベスト。こんな日には心に刺さる。

  ♪風鈴

     ♪September rain pain Chain

            ♪静波に浮かぶ月に

              ♪美しい空と黒い海

                 ♪Charry Road

気が付くと空が赤く染まっていた。雨も上がり西の空には夕日が漏れている。

”キコーン”携帯が鳴った。

マキ:マサキ!

(Line)

マサキ:家にいる?もうすぐ帰る。

マキ:いるよ。

マサキ:着いたら下に出てきて。合わせたい人がいる。

マキは、覚悟した。お腹もいっぱいだし、元気も出た。

悲しい時のFendy鈴は、落ちるところまで落としてくれて、吹っ切れる!


ピンクのミラココアが家の前に泊まってマサキとケバい黒ギャルが下りてきた。

朝は、ぼやけて見えにくかった悪魔のようなジェルネイルが、黒光りしている。

マキが降りて行って、黒ギャルを睨みつけると!

梨々花:マーキちゃん!梨々花!初めまして!マサキがいつもお世話になってま

    す。メロンごめんなさい。でも、それで始まっちゃったみたいだから、

    ある意味、梨々花が恋のキューピットか!マンゴウは、間違えたんじゃ

    なくて、マキちゃんに食べて欲しくて送ったんだよ。マンゴウも良い

    仕事したんじゃない!マサキも良い男になったでしょ!今後もよろしく!

    じゃあね!バイバイ!”ガチャン””ギュイーン”

あっという間にいなくなった。

マキ:梨々花・・・姉ちゃん・・黒かった・・

マサキ:海ばっか行って撮影助手してるから真っ黒けでしょ。伊良湖とか宮崎とか

    サーフィンの撮影が多いんだって。・入ろうよ。マキちゃんとこで良い。

部屋に入って、マサキがソファーに座ると、

マサキ:マキちゃんここに座って。

マキ:どうした?

マサキ:マキさん俺と結婚してください。

と、指輪のケースを開けて見せた。

マキ:えっ・・どうしたの?

マサキ:どうしたのって、買ってきたにきまってるじゃん・・

マキ:私に・!?

マサキ:誰に?

マキ:ピンクのミラココアは、梨々花・・姉ちゃんか・・

マサキ:28で、ピンクは無いよね。・・これ、つけて良い!

と、マサキが、マキの薬指に婚約指輪をはめた。

マキの瞳から朝とは違う色の涙がドバーッとあふれ出て、マサキにブチューッと、

かぶりついた!

マサキ:ンゴッ、ママ・・マキ・・っちゃん・・んがープフォ、、苦しいって

    息できない・・なんの練習?

マキ:ごめん・・疑ってた・・ピンクのやつと・・

マサキ:えっ、なんで?

マキ:伊良湖から帰ってきたらそっけなくて、彼女できたのかなって、そしたら

   ピンクが来たから・・てっきり・・

マサキ:ごめんごめん、アルバイト増やしたいって、姉ちゃんに相談したら、

    海の家、紹介してくれて、夜、JoyJoyで、昼、海で、がんばっちゃった。

    そんなに高くないけど、俺の限界です。このぐらいでご勘弁を!

マキ:ありがとー!だい好きーい!ブチューベロベロぶちゅー!


     ”アウォーっ””アヲーッ”珍しく野犬も活気づいている。・・・







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