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1.乙女ゲーム開始

悪役令嬢リスティルはヘザーズ公爵家の令嬢。

彼女は幼い頃、母親を病気で亡くした。そんな彼女を憐れんだ父親は彼女を溺愛し、彼女が望むものはどんなものでも与えた。その結果、我儘で傲慢な令嬢が出来上がった。

見た目は美しいのに性格は苛烈で残虐。内に猛毒を孕んだ徒花と言われている。

そんな彼女にも婚約者がいた。

ハロルド・アグリオス。彼女と同じ公爵家の子息であり祖父は英雄として称えられている。

彼自身も剣の才能があり血筋に関係なく次期騎士団長も夢ではないと言われているほどだった。

そんな彼は婚約者であるリスティルのことが嫌いだった。祖父母同士が仲が良く、口約束で始まった婚約だったが婚約してしまった以上は簡単に破棄できるものではなかった。

そんなある日、王宮に一人の王女が迎え入れられた。

メロディという少女だった。彼女は平民として育ったが実は王が若い頃にお忍びの際に出会った女性との間にできた妾腹だったのだ。

女性は王の身分を知り、更に子供を身籠ってしまったことを知り身を隠す。王はずっと彼女の行方を捜していた。見つかった時、彼女は病で命を落としていた。

王はメロディを自分の娘として王宮に迎え入れ、溺愛をした。王妃との間に子供はなくメロディが唯一の後継者となる。

メロディは慣れない王宮暮らしながらも懸命に努力をしていた。そんなメロディの姿にハロルドは心惹かれ、次第に二人は想いあうようになった。

当然だが婚約者であるリスティルがそんなことを許すわけがない。

いくら王女とは言え半分は平民の血が流れ、しかも最近まで平民として暮らしていたのだ。つまりリスティルにとってメロディは格下という位置づけになっていた。

リスティルは証拠が出ないように巧妙な技でメロディを虐めぬく。時には陰口を言って精神的に追い詰めて行った。そんなリスティルが遂に一線を越えた事件を起こす。

それはハロルドとの婚約破棄、そしてハロルドとメロディの婚約が成立したことがきっかけだった。

リスティルはハロルドのことが好きだったのだ。だからこそ許せなかった。

彼を奪われたことが、しかも自分より格下だと思っていた相手に。彼女のプライドは大いに傷つき、リスティルは衝動的に果物ナイフでメロディを殺そうとした。

果物ナイフの刃の長さでは内臓には到達せず、殺すことなどできないが貴族令嬢であるリスティルがそんなこと知るわけもなくまた衝動的だった為そこまで考えが及ばなかった。

結果、メロディはナイフで刺されたが致命傷にはならず医師の手厚い治療と周囲の看護によりすぐに回復した。

リスティルは王女殺害未遂で処刑。ヘザーズ公爵家は取り潰しになった。


‥‥…で、そんなお先真っ暗な悪役令嬢リスティルに転生してしまったのは音宮凛、二十五歳。

仕事の帰り事故に合い死亡。気が付いたら乙女ゲーム『私を愛して』の悪役令嬢リスティルに転生していた。

「義姉さん、何をしているの早く行かないと遅刻するよ」

転生して十八年。

赤ん坊の頃から前世の記憶があったせいで我儘で傲慢な令嬢にならずにすんだ。

鏡を見ると夜空色の髪に琥珀の瞳をした絶世の美少女が映っていた。紛れもなく悪役令嬢リスティルだ。

そして私の隣にいるのは金髪に青い目をしためちゃくちゃイケメンな私の義弟レオンだ。

ハロルドとの婚約は回避できずに、現在も婚約中。

私は結婚したらハロルドとの家に嫁入りする為、レオンは分家から養子にもらったのだ。私の三つ下で現在は十五歳。

ちょっと笑っただけで全ての女性が失神するんじゃないかと思うぐらいちょっと甘めの顔をしているが、彼は女性嫌いで有名だ。

ゲームにも登場していたけど、ゲームの彼は義姉のリスティルが大嫌いだった。嫌悪していた。リスティルは元子爵家の子息であった彼を馬鹿にして、苛め抜いていた。だからレオンは女嫌いになったのだけど私は当然だけど虐めていない。

なのに成長過程で順調に女嫌いになってしまった。

「できれば欠席したい」

「無理に決まってるでしょう。俺もこんなに綺麗に着飾った義姉さんを他人に見せたくないけど王家主催なんだから」

女嫌いになってしまったけど苛めたりはしなかった。寧ろ構い倒した。だからちょっと重度のシスコンになってしまった。

「それでは腹を決めて、行きますか」

今日のパーティーが乙女ゲームの始まりだ。

長年王が探し続けた平民女性、その子供が見つかり王家へ迎え入れた。そのお披露目パーティーなのだ。

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