表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

火焔妖怪の力



店の主人を呑み込んだ山祟りは満腹になり。

地面につくほどの大きく膨らんだ腹を、ゆっくりと引きずりながら、その場から静かに立ち去ろうとした その時。



──ドスッ。


赤い閃光のような一本の鋭い矢が、山祟りの背中に突き刺さった。


その刺さった矢はまるで海の中にある血赤珊瑚のような、とても美しい色と形をしている。


カタン カタン カタン……


山祟りは、自分の後ろから近づいてくる。高下駄で歩く 誰かの足音に気がつくと、恐る恐る後ろを振り返った。


「エンエンボウ ガ……キタ」


山祟りは、一瞬 全身の血管が浮き上がりピタリと動きを止めた。


炎焔坊は片手に大きな赤い弓矢を持ち、山祟りにゆっくり近づくと

眉間に皺を寄せ 不快な物を見るような、とても冷たい目をして言った。


「山祟り……答えろ。なぜ 私の許可なく人間を襲った」


「ハラガ……ヘッタ」


「人間の代わりになる食べ物なら、今朝 僧侶たちがお前の為に山程用意したはずだ。何故それを食べなかった?」


「ナイ……ナイ クイモノ……ガ、ナイッ!」


山祟りが苦しそうな声でそう答えると、炎焔坊は山祟りの背中に刺さった矢を乱暴に引き抜いた。


矢に付着した山祟りの赤い血を見ると、炎焔坊は言った?


「お前がしたことは大罪だ。もう見過ごす事は出来ない── 」


矢は、赤から黒い色に変わり。炎焔坊が地面に投げ捨てると瞬く間に燃え、灰となって散っていった。




「──!!」



_____________________

_____________________




「あー。戻って来た」


小風丸は自分の小さな手で、眩しい朝の日差しを避けながら上空を見上げ 独り言のようにポツリと言った


「えっ?」それを聞い夏巳も、小風丸と同じ方向を見る


空は、雲ひとつ無く 目が眩むくらいに鮮やかな青い色をしている。


夏巳は遠くの空に、小さな黒い点のようなモノが見えることに気がついた。


「ん? 何だアレ? なんか……こっちに向かって来てる」


「炎焔坊さまだ。山祟りを連れて緋天山に戻って来た」


「山祟りも連れて戻って来たの……あんな危ないやつを?」


「焔の町商店街では、人間たちが暮らしてる。どんな理由があっても、街で殺生はしないと炎焔坊さまは、寺のおじいちゃんと固い約束を交わしてるから」


「殺生って──」


「近づいて来た。ここは危ない、ちょっと隠れるぞ」


「えっ、なに? 隠れるの? ちょっ……ちょっと!」


小風丸は、夏巳が着ているパジャマを背中から片手で鷲掴み。

自分の背中にある白い翼を羽ばたかせ 夏巳を抱えて風のようにふわりと飛び立つと、高い木の上へ 登った。



──次の瞬間。


緋天山に向かって、空から勢いよく山祟りが飛んで来た!


くるくると回転するサッカーボールのように、山祟りが山の木々に激しく衝突すると、木の上に隠れていた小風丸と夏巳は、驚いて同時に声を上げた。


「うわぁっ!!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ