シンタロウ・ストーリー②竜人キキ
ソーン・トリケラトプスはHPが半分になると通常の蔦攻撃に爆発効果が付与され、地面に触れたら爆発、捕まれたら爆発、貫かれたら爆発と非常に厄介だったが倒すことができた。
それからDNEの攻略は進んでいったが現在は停滞中。東は巨大な崖に、西は一面に広がる海に、南は溶岩に、そして北はタンク役でも一撃で消される魔物の強さに。こんな時ケンがDNEにいれば何か見つかるかもしれないのに。でもケンは珍しい職業のデメリットでファーストから出られないんだって。まさか出星制限とは思わなかった。
「ふぅ」
俺は現在ソロでDNEの北エリアにある森の中を探索中。レイピアの強化素材にウインドドラゴンのレアドロップが複数必要だからだ。ウィンドドラゴン自体出現数も少ないから結構大変で今日中に終わるといいんだけど。
「きゃーー」
森の中に女性の絶叫が響く。え?プレイヤーかな?でもこんな悲鳴上げることある?俺は急いで現場に行ってみると翼竜と見たことない装備を着た女の子、その周りを囲む大量のウインドドラゴン。女の子はNPC、これは何かのイベントだろう。
「⦅ウィーク・リア―⦆」
弱点を攻撃することで威力が上がる【細剣術】のスキルでウィンドドラゴンの側面から攻撃、さらに
「⦅ライトニング・スラッシュ⦆」
電気を帯びた剣の横払いでダメージを与えつつ女の子(NPC)の前へ
「あんたは一体だれ?」
「俺はシンタロウ、最近この星に来た星渡人だ。ウィンドドラゴンの素材が欲しいから倒すぞ」
「⦅ライトニング・ブレイブ・スラッシュ⦆」
俺の一撃で最後のウィンドドラゴンは倒れる。よし、これで素材集めも終わった。さて次は後ろで警戒しているNPCだよな。
「大丈夫か?」
「あんた相当強いわね?本当に何者?星渡人って何?」
そこから説明がいるのか?どうやらDNEには伝わってないみたいだ。俺たちのことを説明しどうにか理解してもらうと今度は彼女のことを説明してくれた。彼女はキキ、DNEに住む竜人族 (よく見るとしっぽがついている)の一人。竜人族は東に住んでおり、一部のドラゴンとともに共存している。キキの隣にいるのがパートナーであるサンダードラグーンのバサル。
キキはバサルと食料を狩りに来たのだが大量のウインドドラゴンに襲われ動けなくなっていたそうだ。
「バサルは大丈夫なのか?」
「危ない状況よ。傷を回復させてあげたいけど襲撃の時にポーションは使い切ってしまったの」
「じゃあこれを使うか?」
「それはうれしいけどバサラたちは生半可なポーションじゃ傷は回復しないわよ」
キキは半信半疑で俺が渡したポーションをバサラに使ってみる。バサラがポーションを浴びるとたちまち傷はふさがっていく。
「何、これ?」
俺がキキに渡したポーションはケンが作った『世界樹の霊薬(仮)』。試作品だが現在発見されているHP回復系のポーションの中でも一番高い。ただケンいわく「すっごく成功率が低いから量産は無理。というよりこれ以降成功したことないから」らしい。ただ効果が高すぎて使う機会がなかったから倉庫番になっていた。
『世界樹の霊薬(仮)』で回復したバサラは数度翼を動かすとキキの方に顔を向ける。
「ねえ、シンタロウ。お礼もしたいから村に来てくれない?」
「え、でも崖を超えることができないんだけど?」
「それならばさらに一緒に乗ればいいのよ」
キキはバサラに乗ると俺も乗るように促す。よく見るとバサラの背中には2人分の鞍が付けられていた。
「きっちりつかんでいてね。行くよ、バサラ」
キキの一声でバサラは大きく羽ばたき東の崖へと向かう。バサラはそのまますごいスピードで東に進んでいく。ときおりバサラのスピードに追い付くドラゴンや恐竜もいるがブレスで追い返しそのまま対岸の崖にたどり着きそのまま進んでいく。すると
「シンタロウ、アレが私達竜人の村『クーロン』よ」
周囲を石壁で囲んだ村が見えてきた。
竜人の村『クーロンへの行き方』
・谷を越える
空を飛べ一定以上のスピード・戦闘力が必要。ぶっちゃけ現状ヒビキに連れて行ってもらえば谷を越えることが可能。つまりケンが来れていれば攻略可能だった
・龍人族に会う
龍人族は警戒心が強いため、ソロで冒険中特定のドラゴンを倒し続けていた場合救出イベントが発生。無事撃退することに成功し効果の高いポーションをドラゴンに使用することでクーロンに行くことができる




