ワールドイベント『戦艦ホエールとの激闘』⑬戦艦ホエール、飛びます
「ということがあったんだ」
「やっぱりバリア発生装置を壊してくれたのは兄ちゃんだったんだ」
「あれってそんな装置だったの?」
よくわからずに壊していたが正解だったようだ。詳しく話を聞くと戦艦ホエールは『鎧』と『バリア』に守られており、それを解除するには戦艦内にある鎖の封具と体内にあるバリア発生装置を壊すしかないらしい。鎖の封具に関してはナツたちで壊して、それからすぐに僕がバリア発生装置を壊したみたい。
「なるほど、だからみんなあんな感じなんだね」
僕が戦艦ホエールの方を見てみると
「全員上陸する人数は考えろ。でないと潜水されて死ぬぞ」
「MPが尽きた者はすぐにそれぞれの船に戻りスペース(搭乗人数)を開けるんだ。いつ何が起こるかわからないぞ」
「遠距離攻撃部隊はなるべく上陸したプレイヤーのいない場所を狙って」
それぞれの船から声が発せられ戦艦ホエールに攻撃を加えていく。攻撃は激しく今までの鬱憤を晴らすかのようだ。潜水の仕組みも解明したらしく、一定人数のプレイヤーが戦艦ホエールに上陸すると潜水するそうだ。
そこでプレイヤーたちはその一定人数を割り出し、MPが尽きると別のプレイヤーが上陸して攻撃するようにローテーションを組んでいた。はじめは我先にと上陸しようとするプレイヤーが多かったがすぐに戦艦ホエールに潜水され海の藻屑となった。
それから20分後
ぼええええええええぇぇぇっぇぇぇぇぇ
戦艦ホエールは突然巨大な咆哮を上げる。この時上陸していたプレイヤーは全員海に落とされる。戦艦ホエールはゆっくりと泳ぎだしそして
「え?飛んでる?」
空を泳ぐように浮上した。さらに浮遊している戦艦ホエールの周りに三つの水柱が現れその中から巨大なカニ鋏、8本の銃と槍と剣そしてモリの付いた大量の大砲が現れる。これらは中ボスが使っていた武器で戦艦ホエールに吸収されていきその姿を変えていく。
ユカリは頭上を見ながら一言
「なんかすごいわね」
「うん、そうだね」
「でもさ、アレって遠距離しか攻撃できないよね?ユカリのポーションって届きそう?」
「さすがに届かないよ」
「私もホムラとベルしか届かないわね」
そう。現状、近接メインのプレイヤーは攻撃できないんだよね。どうにか上陸したいんだけどどうすればいいんだ?
「全員、攻撃準備」
ケイロンさんの緊迫した声が響く。ケイロンさんの指さした方向を見てみると頭上から鎖に繋がれた巨大なカニ鋏が伸びてくる。急いで攻撃を加えカニ鋏の軌道をずらし近くの海に落とす。
「遠距離防御部隊、展開」
船の前面に⦅ショックプロテクト⦆が展開される。そこへ
ズドドン ズドドン ズドドン ズドドン ズドドン
巨大なモリが突き刺さり⦅ショックプロテクト⦆が割られる。
「タンク隊前に」
さらに鎖が繋がれた巨大な剣と槍が船を襲う。そこへ【盾使い】【大盾使い】【守護者】などの防御特化のプレイヤーが防ぐ。
「さっきより周りの被害がすごいわよ。どうにかしたいわね」
「やっぱり兵器を壊すことだけど、遠距離攻撃で壊せるかな」
「それには数の力がいりそうだけど」
僕達は海を見る。そこにはたくさんのプレイヤーが浮かんでいる。彼らは先ほどの攻撃を受けて大破した船に乗っていたプレイヤーだ。このままじゃ攻撃の余波でリタイヤしちゃうからどうにかしてあげたいけど
「ケン君、見て」
へストは戦艦ホエールに戻っているカニ鋏を指さす。そこには何人かのプレイヤーが乗っており上陸しようとしている。戦艦ホエールも気づいており他の武装で撃退しているが何人かのプレイヤーが乗り込むことに成功している。
よし、これで上陸する人数さえ気を付ければダメージは与えられそう。しかし1分後、戦艦ホエールは海に飛び込み再び浮上する。嘘、そこまで上陸してないはずなんだけど。それから少し観察したがどうやら上陸して1分経つと戦艦ホエールは潜水するみたい。
「兄ちゃん、私達もそろそろ戦いに行っていい?」
「ああ、ごめん。もう行っていいよ」
「ヒビキ、運んで!」
「私もお願いしていいかしら」
「いいですよ」
ナツはスキルで、ヒミコ・へストはヒビキに手をつないで戦艦ホエールに上陸しようと近づいていく。
「ケンはどうするの?」
「とりあえずあの海に放り出されたプレイヤーをどうにかしないと。ケイロンさん少しいいですか?」




