勉強会兼お泊り会⑩
『ビッグホーンブルを倒しました。ランダムスキルロールが与えられます』
ビッグホーンブルを倒した僕達はいくつかの素材を入手して第3の街『ブルーアクア』に入る。
「「きれい」」
ナツたちは街の中を見回りながら感想を述べる。確かに今までとコンセプトが違う街並みだ。第一の街『センター』は平原にある冒険者たちが作った街、第2の街『セカンド』は大きな時計台を中心に古風な街並み、そしてここ第3の街『ブルーアクア』のコンセプトは水を使った街だ。
街中には水路が備わっており、その水路上には大小様々な船が行き交いしている。さらに街の中央には巨大な噴水がそびえたっている。近くのNPCに聞いてみるとこの噴水は日によって地下のクリスタルにより噴水の水の色が変わるようになっているそうだ。
巨大な噴水を越え街中を進んでいくと船がたくさん停留している港に着いた。そこから遠くの海を見てみると海上には薄い透明な壁が見える。
「あんたら、あの先の海に出るつもりか?そら、無理や。いま領主さまからの命令であの結界から先は出られへんようなってる」
海を眺めていると近くで網の整備をしている漁師が話しかけてきた。詳しく話を聞くと沖に変な海流が発生して、そこから強力な海の魔物が出現し何隻もの船が沈没したからこの街の領主によってあの結界より外に出てはいけないと制限が掛けられたらしい。
「アレがマリーさん達が言っていた問題ね。ケン、何かわかる?」
「確かに『発見マーク』は出てるけど透明だから条件が足りてないな」
僕の視界では海上の結界に透明で巨大なびっくりマーク(発見マーク)が見えている。以前は白い『発見マーク』が見えるだけだったがワイヤーショットを発見したことにより⦅発見⦆スキルのレベルが上がった。それにより条件を達しているイベントなら白い発見マークが、条件未達成なら透明な発見マークが現れるようになった(ただし条件についてはなにもわからない)。
そこへ
「お、ケンじゃないか。こっちに来たんだな」
数人のプレイヤー達が来て先頭の一人が話しかけてくる。あれはカジキじゃん。久しぶりだな。よく見るとこちらに来たプレイヤーは全員釣り竿を持っていた。
「久しぶり、カジキ。こっち来てたんだ。後ろのメンバーは同じギルドの?」
「ああ。俺がギルマスの釣り好きギルド『どこでもフィッシャーズ』。やっぱり釣り好きギルドなら海のある場所にギルドの本拠地作りたいだろ?だから他のプレイヤーに頼んでここまで護衛してもらったってわけだ。ケン達はどうしたんだ?」
「ああ、僕達はさっきこの街についていろいろ見回ってるところ。大体見たからこれからどうしようかと考えていたわけ」
「だったら俺達と海で釣りしないか?」
ん?どういうことだ?詳しく話を聞くとカジキたちはこの街で拠点を作り船を作ったそうだ。そしてこの街の漁業組合からも船を海に出す権利をもらっており、これから結界手前の沖まででて船釣りをするそうだ。
「兄さん、ぜひ行きましょう」
シズクは行きたいそうなので全員に聞いてみるとうなずいてくれた。
「全員参加したいんだけど船に乗れる?」
「ああ。大丈夫だ。付いてきてくれ」
カジキたちについていくとそこには大きな船が止めてあった。船の名前は『カジキ丸』、動力は船尾に備えられている巨大なスクリューで魔力エンジン(魔力を動力とするエンジン)で動くんだって。
「じゃあ出発!」
カジキの号令でカジキ丸は出航する。そのスピードは手漕ぎより圧倒的に早く20分後には結界近くの沖にある釣りスポットに着く。そして各自糸を垂らし釣りを始める。
「そういえばあの結界を解除する方法って聞いた?」
「領主の話を聞くと、以前にも同じような状況に陥ったことがあってその時に『凪の宝玉』というアイテムで解決したそうなんだけど、その時『凪の宝玉』を無くしたそうだ。だから今最前線のプレイヤー達は『凪の宝玉』の手掛かりをあつめてるんだと」
「ふーん、だったら今日何か進展があるかもね?」
「え、どういうことだ?」
「まあ、釣りをしてたらわかるはず」
僕達が海に糸を垂らした瞬間白い『発見マーク』が現れた。釣りを始めた瞬間だから船に乗った人数がキーなのか、釣りを始めた人数がキーなのかわからないけどおそらくこれが結界の解除イベントなんじゃないかな。
そして釣りを始めること10分僕の竿に今までにない当たりがあった。しかしその当たりはすぐになくなり何かが水面から出てくる。
スタッ
それは足の部分が魚のヒレでスカートをはいており、上半身には胸元が開いたワイシャツを着ている人魚だった。その人魚はヒレの部分で船の甲板にきれいに着地すると同時に足のヒレが人の足に変化する。
「あれって人魚?」
「一体何が起こってるんだ」
みんなが驚いている間に船の甲板に着地した人魚はあたりを見てシズク、セイラを見た後、僕をじっと見て話しかけてくる。
「何か変な感じがしたから上がってみたけどあなた達の気配だったのね。初めまして、私は人魚の国『マリンキングダム』の女王セレナーデよ。よろしくね」
僕達もセレナーデに自己紹介をする。セレナーデは地上の話を聞きたいそうで交友を深めるついでに街の事を話してあげる。ある程度話すと僕達も自分たちの問題を話してみる。すると
「へえ凪の宝玉が欲しいんだ。私なら貸してあげることできるわよ」
「え?」
「でもただじゃ貸してあげられないわ。私達もあの魔物の被害で国が大変なの。だからいくつかお願いを聞いたら貸してあげる」
『イベント『人魚国の援助』が発生しました』
『イベント:人魚国の援助
人数:制限なし
期限:なし
報酬:凪の宝玉
内容:とある魔物により被害を受けた人魚の国『マリンキングダム』を救うため、セレナーデの願い事を叶えよう』
「人魚の国にはどのくらいの人数がいけるの?」
「そうね・・・ケンのように自力で行ける人には入国許可証がもらえるけど、他の人達は私の力で連れていくしかないわね、お客様扱いとして。それでも10人が限界ね」
マリンキングダムは海底深くにあり、マリンキングダムのセレナーデなどのNPC(権力者)に招待されるか自力で辿りついた者しか入ることはできないそうだ。自力で辿りついた場合マリンキングダムに入った時に検査を受けて、それで問題が無ければ入国許可証が貰えある程度自由に街を見回ることができる。ただし入国許可証は1パーティーに一度きりで、パーティーメンバーに誰か一人でも入国許可証を持っているともらうことはできない。
NPCに招待された場合、お客様専用の宿に泊まり街の中を見回るには招待したNPCか街の人の案内人が一緒でなければいけないという制限が付く。
「ちょっと相談してもいい?」
「ええ、いいわよ」
セレナーデに一言断りを入れると僕達は話し合う。
「さすがに俺達だけじゃ無理だろ?」
「うん。でも入れる人数が制限されるみたいだからメンバーは考えなくちゃ。俺達はシズクの力で自力で辿りつける」
「となると残り4人か。誰かよんだ方がいいよな?」
僕はあることを確認する為にセレナーデに聞く。
「他の人を呼びたいから一度街に戻っていい?」
「だったら2時間後ここで集合ね」
僕達は街に戻りながら相談した結果、現在ログインしているフレンドから情報兼生産職にフレンドが多いマリーさん、料理人が集まっているギルド『料理は仕込みから』のギルマス・ブリリアント、戦闘系ギルドから『空牙団』のライアさん、『白炎』の紅葉をよぶことにした。




