失われし緑の森⑧日々進歩
ポイズンクリスタルを撃破した現実世界での翌日の月曜日は、学校に通い授業を受けていた。今日の4限目は体育、内容はサッカーだ。ルールはクラスを2チームに分けて3点を先に決めたほうの勝ち。負けたチームは授業の後片付け。勝ったチームはそのまま教室に戻ってよし。
現在2-2、あとどちらかのチームが1点決めれば試合終了。クラスメイトからパスをもらった僕がゴール近くを見ると、真二がマークを振り切り走り込んでいた。
(決めろよ、真二)
僕はそのまま真二が向かうであろう場所にボールを蹴り込む。僕が蹴ったボールは多少の誤差はあったがうまく真二にわたり、そのままゴールに撃ち込まれた。
「試合終了、勝者Bチーム。負けたチームは後片付けだ」
試合に負けたAチームはぶつぶつ言いながら後片付けを始める。僕は体操服をパタパタしながら体を冷やしていると
「ナイスパス!険人」
真二が片手を上げながら近づいてくる。僕はすぐに真二の考えを読み片手を上げてハイタッチにこたえる。そのまま僕と真二は着替えるために教室に戻った。そして昼休み僕、美冬、智秋、真二、春香と共に食事をとっていると話題は先日のポイズンクリスタル戦の話に
「昨日の戦闘はきつかったよな」
「序盤全く攻撃が効かなかったもの」
「確かにギミックを探すのに時間がかかったよな」
「でもよく険人はあんなイベント見つけたよな?」
「いや、アーシャがいなくちゃイベントは見つからなかったよ、絶対。僕のスキルも万能じゃないし。早く公式イベントで使えた仕様までレベルあげたいけど、全然キーアイテムが見つからないんだよ」
「確か公式イベントではおおまかなイベントの種類が分かったんですよね?」
僕は智秋の質問に頷く。公式イベントではおおまかなイベントの発生条件(モンスターを○○倒す、キーアイテムが必要など)までわかっていた。おそらくこれは【開拓者】のジョブレベルを上げれば習得できるスキルのはず。ただ【開拓者】はシークレットユニークジョブなので戦闘を行う、生産するなどではレベルが上がらず、キーアイテムを発見する必要があるのだが、まだ一個も見つからない。
「今日も帰ったら土運びか。まさかゲームで土木作業するなんて思わなかった」
「でもいい強化になってるんだろ?」
「ああ。HP、アタック、ガード、スピードが上がってるんだ。最近はランク2のモンスターをたくさん倒さないと上がらなかったんだけど」
「他のプレイヤーも上がってるって言っていたからイベントの仕様かもな。美冬や春香も喜んでたよな?」
「ええ。私達後衛はHPとかは上がりにくいから」
あの土運びなどの土木作業だけど一定時間作業を続けるといくつかのステータスが伸びるようだ。その他に攻略に関係するアイテムを作るとスキルレベルやジョブレベルの経験値が上がりやすいみたい。
「そろそろチャイムが鳴るわね」
僕達はそれぞれの席に戻り授業の準備をする。
僕は学校から帰ると早速『WMMP』にログインする。僕が学校に行っている間つまりログアウトしている時だがヒミコ達は拠点に戻されており、拠点がある街でしか移動できないため今回のイベントには参加できていない。僕はヒミコ達を連れて『失われし緑の森』に入るとすでにたくさんのプレイヤーが活動していた。
「あら、ケン君ログインしたのね」
「今ってどんな感じですか?」
「そうね。毒の土地でこのイベントの流れはわかったからとりあえず一つずつエリアをクリアすることにしたわ。まず灼熱の大地からね。素材収集班にはアクアラグナの近くの洞窟で水の魔石を集めてもらっているわ。ポーション班には引き続き回復ポーションを作ってもらって、料理班には『耐熱』バフ付きの調理、あとは作業ね。人数の振り分けだけど、土の浄化については水魔法が使えるプレイヤーを各班から集めてるわ」
「だったらシズクはどうしましょう?」
「そうね。料理班にお願いしていい?『耐熱』付きの料理を作れるプレイヤーは少ないから」
僕達は早速それぞれの場所に移動して作業を進めた。すると調査班のケイロンさんが近付いてきて
「ケン君、聖霊草を持っていないかね?」
「え?持ってますけどどうしたんですか?」
詳しく話を聞くと、瘴気の土地を浄化するのにケイロンさんやマリーさんが情報を探したところ、『浄化ポーション』が必要だということが分かった。『浄化ポーション』を作るには聖霊草、水、光の魔石が必要で、光の魔石はアクアラグナ周辺の洞窟で採取できるが、聖霊草については公式ベントの報酬で手に入れた聖霊草を栽培するしか方法がないらしい。さらに一定以上の【調合】か【錬金術】のレベルが無くては成功率が低い為、『浄化ポーション』の作成には苦労しているそうだ。
「だったら譲りますよ」
僕は手持ちの聖霊草を渡すと少し用事ができたので別の場所に向かった。




