失われし緑の森⑦ポイズンクリスタル戦
総合評価2000達成
読んでる方、評価・感想・ブックマークをしてくれた方皆さんのおかげです
誤字も多いですがこれからもよろしくお願いします
時間になるとポイズンクリスタルは宙に浮かび上がる。この戦闘ではHPが0になると外の安全地帯に飛ばされ戦闘に参加できない。そして水晶の隙間から紫の霧を噴き出す。あれは毒の霧だよな。となると毒無効装備が無ければ毒に汚染されそう。
毒無効装備だが実際に毒の土地で作業したプレイヤーに優先的に渡しており、現状50個用意できている。そこで毒の土地に触れポイズンクリスタルに近づいて攻撃するプレイヤー(近接組)、毒の攻撃を受け止める盾持ち(タンク組)、体力・毒状態を回復する回復役(回復組)に毒無効装備を渡し、それ以外のプレイヤーは前に出ずに安全な木の板の上でタンク組、回復組に守ってもらい戦うことにした。
「「⦅ブレイブオーラ⦆」」
ライアさん、ゴウさん、シンタロウ、ムサシさんは【見習い勇者】の⦅ブレイブオーラ⦆を使用してポイズンクリスタルに攻撃を加える。⦅ブレイブオーラ⦆は全ステータスを1.2倍にする強化スキルで、強化される割合は他の強化スキルより低いが、今のところ唯一の全ステータスの上昇スキルかつ効果時間が長いという特徴がある。
「⦅待宵月⦆」
「⦅雷魔拳:落雷⦆」
【空歩】で上空に移動したナツ、紅葉はそれぞれスキル使用時の高さで威力が変わるスキルを使用し攻撃を加える。さらに僕がいる後方からも様々な魔法が飛んでいく。しかし・・・
ポイズンクリスタルは毒霧を出すだけで攻撃もしないで戦闘開始から2分が経つ。
「ポイズンクリスタルに全然ダメージ与えてないよね?これ」
「ええ。これってギミックでどうにかする敵なのかもしれないわ」
後方で観察していた僕とマリーさんは感想を述べる。結構攻撃してるんだけど全くダメージを与えるエフェクトが出ていない。それにポイズンクリスタル自体に反撃してくる気配がないのも怖い。確かにこれは何かギミックがありそうなんだよな。怪しいのは侵食度だよな。
するとポイズンクリスタルが動き出す。
「皆、ポイズンクリスタルが動き出したぞ。注意しろ」
ライアさんの号令でタンク組が前に出る。ポイズンクリスタルは空中に多数の魔法陣を浮かべるとその魔法陣から紫の液体の球体を前後関係なく発射してくる。この紫の球はどうやら毒の球のようで当たるとダメージと共に毒状態になるようだ。さらにこの毒の球はプレイヤーを狙うだけではなく周囲に分けて置いている浄化された土の塊にも飛んでいく。
タンクの近くに飛んできた毒の球は盾で止めることはできるが、その上の毒の球はどうしようもできずに土に飛び散っていく。すると先ほどまで土色だった土が紫色に変色していき侵食度も増えていく。近くにいたプレイヤーはすぐに解毒ポーションを振りかけて土を解毒する。
「後衛組は飛んで来る毒の球を優先的に落としていって。せっかく解毒した土が元に戻っちゃうから」
マリーさんの一声で魔法使いや弓士が毒の球を撃ち落としていく。ただ攻撃手段によって結果が変わる。有効なのは火・水・氷・雷属性の魔法で毒の球を消滅できる。しかし、風・土・樹魔法や物理スキルでは撃ち落とすことはできるが、毒が周囲に飛び散ってしまう。数人のプレイヤーが飛び散った毒に当たり毒状態に陥ってしまった。
プレイヤーもすぐに編成を変え毒の球に有効な攻撃ができるプレイヤーは毒の球の撃退、それ以外はポイズンクリスタルにどうにかダメージを与えるために攻撃を加える。
「あの魔法陣壊せるぞ」
何度か毒の球を撃退していると、あるプレイヤーが魔法陣を壊せることに気づいた。これで毒の球の攻撃の対応が少しは楽になる。ただポイズンクリスタル本体には全くダメージが与えられていないから、どうにかギミックを見つけなくちゃ。僕はポイズンクリスタルの攻撃を躱しながら汚染された土に向かって解毒ポーションを投げる。すると解毒ポーションが当たったところだけ土色に変色していく。
「ケン君、何してるの?地面に直接振りかけても徐々に元に戻るわよね」
「はい。だけどこのエリアのギミックって侵食度じゃないですか?だったら少しでも侵食度を減らしていけば何かが起こるかもしれないですし。それにこのままだと進捗がないですし」
「確かにそうね。まだ解毒ポーションには余裕があるものね」
「それにあの毒の球の対策もできてますし」
僕の提案にマリーさん達は賛成してくれて数人のプレイヤーで解毒ポーションを投げていき、他のプレイヤーは毒玉を撃ち落とすか魔法陣を消滅させ援護してくれる。そしてぐんぐん侵食度が下がっていく。するとポイズンクリスタルは前線のプレイヤーや後方の解毒していた土には目をくれず、僕達に向けて集中的に攻撃を加えてきた。これって効いてるんじゃないの?ただし今の人数では完全に毒の球に対応できず侵食度が変化しなくなってきた。しかし
「全員一度退却してケン君の援護を」
前線で攻撃していたライアさん達近接組が合流して毒の球の撃退に参加すると、土地の解毒スピードは上がっていき侵食度は残り10%まで減少していく。すると
「あれ何?」
僕達の上に複数の魔法陣が出現する。まさかアレから毒の球が出てくるの?しかし僕の予想は当たらなかった。その魔法陣からは
「え?雨?」
「みんな早くあの魔法陣を壊して!この雨は毒の雨よ」
この雨はヤバい。広範囲だから毒の侵食度も早いし、毒無効の装備がないプレイヤーは毒状態になっちゃう。それから毒の雨に対応しながら侵食度を減らしていくが
「あとちょっとなのに」
「どうにかならないの?兄ちゃん?」
そう。侵食度が残り4%からなかなか減らない。残りの解毒ポーションの数だが、解毒ポーションの効果範囲もわかり無駄が無く使えているが少なくなっている。今の状態だと足りなくなるだろう。これはさっき考えた作戦を遂行すべきだろう。しかしまだ条件を満たしていない。
「みんな、どうにか3%まで減らして」
「何か手があるのか?ケン君?」
僕はライアさんの質問に頷きで答える。
「僕の合図で残りの解毒ポーションを投げて」
「だけどさっき一斉に投げたけどあまり減らないわよ。それに解毒ポーションの数からしてチャンスは1回よ」
先ほど【投擲】のアイテムの効果範囲を広げる⦅ワイドスロー⦆持ちのプレイヤーで20人で一斉に解毒ポーションを投げたが侵食度は2%しか減らなかった。今回では1%足りない。ではどうするかというと
「よし、残り3%」
「皆、一斉投擲」
僕の合図で一斉に解毒ポーションを投げるプレイヤー。しかし
「やっぱりあと1%足りない」
「⦅錬金魔法:拡散⦆」
僕は新しい錬金魔法:拡散を解毒ポーションに付与して⦅ワイドスロー⦆を使用して投げる。⦅錬金魔法:拡散⦆は効果範囲を10倍にする代わりに威力を下げるスキルだ。この威力を下げる効果だがいろいろ試した結果、爆発ポーションなどのダメージを与えるアイテムや回復ポーションなどのHP,MPを回復するアイテムだと威力は下がるが、解毒ポーションなどの状態異常を回復するアイテムだと効果は変化しなかった。
つまり今手元に持っている解毒ポーションは⦅ワイドスロー⦆(範囲1.5倍)×⦅錬金魔法:拡散⦆(範囲10倍)=解毒ポーション15倍の範囲を持ってることになる。だから
パリン
『毒の土地:侵食度が0%に下がりました。フィオナの大樹の精霊の効果により毒の侵食が抑えられ、ポイズンクリスタルの毒の霧の効果は失われます。ただし制限時間は5分。5分の間に元凶であるポイズンクリスタルを倒してください』
このアナウンスと共にポイズンクリスタルから毒の霧が失われる。あれがあらゆる攻撃を弾いていたんだな。これでダメージを与えられるはず。ただし
『ポイズンクリスタルの波動が発動。毒無効の効果が無効化。さらに毒によるダメージ増加』
まさかの毒無効の封印。戦闘は厳しくなるが今までダメージを与えられなかった鬱憤を晴らすように攻撃を加えていく。そして
「連携秘技:サザンベルガウス」
ヒビキとシズクが連携で生み出した雷を纏った多数の槍がポイズンクリスタルに刺さり、その後放電した結果
『ポイズンクリスタルを撃破しました。元凶を撃破したことにより毒の大地が完全に浄化されました』
よし、まずは毒の土地クリア。




