失われし緑の森①
僕たちは幾度かフィオナの森を進んだが『表裏薬毒の花園』で結局状態異常に陥って全滅していった。花園が厄介なのは状態異常のランクが上がっており麻痺は強麻痺、毒は劇毒、睡眠は爆睡、さらに新しい状態異常として混乱(味方が魔物に見えて襲ってくる幻覚が見える)、出血(徐々にHPが低下する)やステータス減少なども追加されている。
これらの状態異常だが各状態異常回復ポーションや各状態異常回復魔法⦅アンチ○○⦆や状態異常回復魔法⦅クリア⦆、そして僕が持っている【素材収集家】の⦅万能手袋⦆では無効化できないため対処の仕様がない。
いくつか強力な状態異常に陥らせる植物も全滅しながら回収できたが、それらの素材だけではアイテムは生産できないようで完全にお手上げだ。そこで僕たちはフィオナの森の攻略を後回しにして惑星『ファースト』の攻略を進めていくことにした。
翌日拠点のベッドで目覚めた僕は今日の予定を思い浮かべながら、日課の水やりをするために畑に向かった。今日は『セカンド』の先のエリアでまだ行っていない場所を探索する予定だ。メンバーはナツ、ウィン、ヴィオラだ。
早速庭に出てみると
ブーン ブーン
何かが羽音を鳴らして近づいてくる。音のする方を向くとそこには数体の蜂型の魔物に、ピンクの蜂、黒い蜂がこちらに近づいてくる。あのピンクと黒い蜂って以前助けたロイヤル・ピンク・ビー、オブシディアン・ビーだよな。
彼女らは僕の目の前で止まるとそのまま地面に降りこちらを見ている。
『ロイヤル・ピンク・ビー、オブシディアン・ビー、ハニー・ワーク・ビーと友好関係を結びますか?』
よし、これで魔物牧場のジョブイベントクリアだ。僕が『はい』を選択すると、ロイヤル・ピンク・ビーたちは畑の片隅で作業を始めた。彼女たちが仲間になったのも紅葉が手伝ってくれたおかげだな。お礼にあのスキルロールを上げよう。僕は早速紅葉と連絡を取る。
「ケン、来たぞ」
「お邪魔します」
「お邪魔するでござる」
30分後僕らの拠点に紅葉、アゲハ、ムサシが訪ねてきた。
「いらっしゃい、みんな」
「まさかこんなところに拠点があるとは思わなかったでござる」
「ええ、最近ここまではいれたプレイヤーはいなかったものね」
彼女らは興味深そうに拠点やその周辺を観察している。確かにそうだろうな。僕達が拠点としているこの場所は本当は魔物牧場のエリアで、普通のプレイヤーは入り口のお店しか入れずに魔物が多数いる牧場には入れない。この牧場に入る方法は2つ、一つは【魔物牧場の主】になること。するとこのエリア内の一角に牧場を持つことができる。ただし最初はいける範囲、牧場の大きさも制限されており、ジョブクエスト、商業ギルドの信用を得ることで少しずつ広がっていく。2つ目は牧場の所有者から了承を得ることで誰でも入ることができる。ただしアイテムの持ち出しは所有者の許可が必要となる。
「で、今日はどうしたの?」
「紅葉に見てもらいたい光景があってね」
僕は紅葉達を庭に案内しロイヤル・ピンク・ビーたちの姿を見せる。
「あれって前に助けた魔物じゃん。え?どうしてここにいるの?」
僕は【魔物牧場の主】について話す。そして紅葉に空歩のスキルロールを渡す。
「これ、紅葉にあげる。あの時のお礼」
「え?いいの?一体何だろう・・・本当にくれるの?」
「ああ、僕は使わないから」
「ありがとう。すごくうれしい」
紅葉は早速空歩のスキルロールを使用する。そしてこれからどうするか紅葉たちがきいてきたので『セカンド』から先まだ行ったことのないエリアに行ってみることを伝えると一緒に来てくれるそうだ。
僕達は『セカンド』に転移した後、外のフィールドに出る。僕達が行っていないこの先のフィールドは2つ、1つ目はオロス湿地。だけどこのフィールドは紅葉たちがエリアボス討伐まで攻略を進めているので今回はもう一つのフィールド失われし緑の森に向かう。
「ここって魔物もわかないし、アイテムも何もないし、地形ダメージを受けるから全く人気がないんだよね」
失われし緑の森に着くとアゲハが目の前の光景を見ながら話す。失われし緑の森は中心の枯れた大樹を中心に毒の土地、氷の土地、炎の土地、瘴気の土地の4つの土地に分かれている。その4つの土地はそれぞれ歩くと毒、極寒、灼熱、瘴気の地形ダメージを受ける。それぞれの土地の境界には人3人が通れるぐらいの普通の土地で区切られている。
とりあえず僕達は中央の枯れた大樹に向かった。なぜなら僕の⦅発見⦆スキルが先ほどから枯れた大樹のところで反応しているからだ。




