イリーガル・アシッド・スライム戦②炸裂!連携スキル
イリーガル・アシッド・スライムから切り離された触手はそのまま燃え続け消滅した。これは成功したってこと?
「マスター、危ない!」
僕が触手の状態に集中しているとヒビキの声が聞こえ慌ててその方向を向くと、機構盾を構えたヒビキの姿越しに横薙ぎで放たれるイリーガル・アシッド・スライムの触手が見えた。
「きゃあ」
「くっ」
僕とヒビキはそのまま触手に打ち付けられ飛ばされる。だがヒビキの盾のおかげでダメージは抑えられた。そこへすかさず
「⦅エリアヒール⦆なの」
光魔法の一種で範囲回復魔法⦅エリアヒール⦆をアーシャが僕たちに使ってくれた。
「ヒビキ、アーシャありがとう。ヒミコ、僕が切った触手に火属性のスキルを使ってくれ」
ヒビキ、アーシャにお礼を言った後、ヒミコに指示を飛ばし僕は近くにある触手に向けて斧をふるい触手を切り落とす。僕の指示を聞いたヒミコはすぐに⦅ヒバチ一閃⦆で僕が切った触手に攻撃すると触手はたちまち燃え上がり消滅していった。やっぱり、となると
「切り落とされた触手は火属性のスキルで攻撃すると消滅するみたい。火属性の攻撃手段がある人は切り落とされた触手を攻撃、それ以外は触手の切断を優先。シズクは僕と一緒に検証をお願い」
みんなが触手に攻撃を始めると僕はシズクを伴って切り落とされた触手に向かう。シズクを連れてきたのは僕とシズクがいれば大体の属性魔法が使えるからだ。僕達は切り落とされた触手に様々な魔法を当てていった結果、効果があったのは火属性のみだった。
僕達が触手切断組と触手焼却組に分かれてイリーガル・アシッド・スライムに対処していると少しずつイリーガル・アシッド・スライムの体が小さくなっていった。これはダメージを与えられているのでは?さらに攻略を進めるとイリーガル・アシッド・スライムの体は最初の半分ぐらいの大きさまで縮んだ。
「きゃあ」
「攻撃パターンが変わった!」
イリーガル・アシッド・スライムは触手の先を針のように尖らせナツとウィンたちを串ざしにしようと何度も地面に突き刺し、最後の一刺しは地面に突き刺さり周囲の地面から緑の針の山を出現させた。何、あの攻撃のバリエーション。さっきまでは触手をたたきつける、横から薙ぎ払う、突くの3種類だったのに!
イリーガル・アシッド・スライムの攻撃のバリエーションはさらに増えた。今度は触手を剣のように変化させ周囲を切り刻んだり、触手を網上に展開してこちらをとらえてきたり、巨大な触手をたたきつけたり
さらに
「え?増えてる」
イリーガル・アシッド・スライムはその場で体を4等分に分裂させ僕たちを攻撃してくる。この分裂が厄介なのは移動して攻撃してくることだ。先ほどの状態が固定砲台なら今の分裂体は高機動型となる。唯一の救いが一定時間で元の状態に戻ることだろう。
しかしそれでもいきなりの攻撃パターンの変化でうまく対応できず、ヒーラーの回復が間に合わずに少しずつダメージが蓄積していく。これはやばい、これじゃヒーラーのMPやスキルのクールタイムが間に合わなくなる。僕はすぐに腰のポーションパックから回復ポーション(錬金術製)を取り出すと
「錬金魔法:広域化」
広域化で効果範囲をパーティー全員に広げ全員のHPを回復する。
「ケン君、ありがとうございます」
「にぃに、ありがとうなの」
これで回復の問題は解決したはず。あとは攻撃だけど・・・
10分後、どうにかあの状態:第二段階の対処法が分かった。第二段階では一か所に固まってイリーガル・アシッド・スライムの攻撃に備えた方がいいようだ。そして反撃だが第一段階の時のように触手を切ることは難しい。触手の動きも速くなったし全体的に硬くなって武器や魔法では切れなくなった。
しかし対処法を発見した。それは分裂体だ。あの分裂体には火属性の攻撃が効き一定時間燃え続けて体の大きさが縮んでいく。ただし気を付けなければいけないのが2点、一点目は本体には今まで通り全く攻撃が効かないこと。2つ目が分裂体は体が燃えていてもこちらに攻撃してくること。
「⦅ボルケーノ⦆」
「⦅ブレイズストライク⦆」
「ぴぃぃ」
最後の分裂体に僕とアカリの火の魔法⦅ボルケーノ⦆とホムラの⦅ブレイズストライク⦆があたり分裂体は燃え尽き消滅した。さてこれで分裂体は全員倒したが次はどうなる?
分裂体を倒されたイリーガル・アシッド・スライムはさらに体が小さくなっている。そして体の中心に丸い水晶のようなものが浮き出ていた。おそらくあれがコアだろう。あとはあの水晶を壊せば終了のはず。
イリーガル・アシッド・スライムは天井に飛び上がり張り付くと広がっていき天井をすべて覆い尽くす。一体何だあれ?とりあえず中央の本体を攻撃すればいいのかな?しかしさらに状況は変化する。緑色に染まった天井から大きな緑の球体が視界一面を埋めるようにたくさんゆっくり落ちてくる。
「アレって一体何?」
「とりあえず攻撃してみるね」
ナツが⦅ムーンレーザー⦆で緑の球体を打ち抜くと
「「きゃあ」」
弾けた液体が下にいた僕達に降り注ぎダメージを受けた。アレって溶解液の塊ってわけか。でもどうにかしないと次々天井から落ちて来るぞ、アレ。ここはやっぱり火属性の攻撃が正解かな?
「⦅ヒバチ一閃⦆」
ヒミコの火の斬撃が溶解液の塊を燃やし尽くす。お、やっぱり火属性の攻撃なら溶解液は飛散しないみたい。これなら中央の本体に攻撃を集中すれば勝てる。楽勝じゃん。
だが・・・
「ケン、ぜんぜんコアに攻撃できないんだけど」
「どうしよう?兄ちゃん」
さっきから本体のコアに攻撃を当てようと攻撃を集中してるのだが全然突破できない。まず本体周辺の溶解液の塊の発生率が高く次々に湧くので処理が大変だし、やっと本体が見えて攻撃をして表面を吹きとばしコアを出現させてもまた溶解液の塊が発生して邪魔をする。で、溶解液の塊が邪魔をしている間に本体は元に戻ると。それに
「マスター、周りから溶解液が迫ってきています」
そう。僕達が本体に集中攻撃している間、周りの溶解液は未対応なため地面に溶解液の塊が次々に落下していき少しずつ僕達の移動可能な場所を狭めてきている。だけど周りの溶解液に対応していると絶対中央の本体には攻撃が届かない。このままじゃこっちのMPが尽きて溶解液に飲み込まれる。
「シズク、合わせて」
「ええ」
すると突然ヒミコとシズクが何かを始める。まずシズクが人魚に変化し精霊力を開放する。そして魔法の詠唱を始める。続いてヒミコも獣人化し精霊力を開放する。そしてシズクが膨大な魔力を持った巨大な氷の鳥を生み出し天井のイリーガル・アシッド・スライムに向けて放つ。氷の鳥がイリーガル・アシッド・スライムに衝突すると周囲の溶解液の塊ごと凍らせ天井には広大な氷が一面に覆いかぶさる。
そこへヒミコが刀に精霊力を纏わせ天井に向けて一太刀入れる。
「連携秘技:氷炎鳳凰烈花」
ヒミコの刀からは巨大な火の鳥が放たれ天井の氷ごとイリーガル・アシッド・スライムを焼き尽くす。これはアーシャを従魔にした時に覚えた⦅従魔連携⦆の効果か。
改めて天井を見てみると一面を覆っていたイリーガル・アシッド・スライムは本体しかなく、その本体もコアである水晶を表面に出現させて動かないでいる。
「全員一斉攻撃」
僕の指示に従い全員で攻撃を加え、イリーガル・アシッド・スライムは消滅した。




