第一次運営イベント㉚ミステリーアイランドタートル戦⑥
「⦅プロミネンスバスター⦆」
「⦅稲妻落とし⦆」
ライアさんと紅葉のスキルが最後のミステリーパラディンに当たり消滅する。するとミステリーアイランドタートルが動き出す。先ほどまで島で隠されていた甲羅部分は巨大な岩の棘が連なっており、そのままミステリーアイランドタートルはゆっくり海流でできた壁に近づいていく。
「敵のHPも確実に減っている。踏みつぶされないように気を付けながら攻撃開始」
ライアさんの号令で再び攻撃が始まる。しかしミステリーアイランドタートルは気にせずに海流の壁に近づきそのまま顔を突っ込む。何しているんだ一体?のど元を見るとどうやら海水を飲んでいるようだ。とにかく攻撃チャンスだ。
そのまま攻撃し続けているとミステリーアイランドタートルは海流の壁から顔を戻すとそのまま甲羅の中に顔を収納した。さらに足も甲羅の中に収納する。
「全員退避」
ライアさんの号令で近接部隊は一気に甲羅の外に出る。全員が甲羅の下から出ると同時にミステリーアイランドタートルは足の支えがなくなり地面に落下する。
ド――――――ン
ミステリーアイランドタートルは巨大な音を響かせた後、今度は甲羅の足の部分から水流を噴射して空中に浮き始める。これって見たことある。ガ○ラじゃん。ってことは・・・。予想通りミステリーアイランドタートルはその場で回転を始め飛んで来る。更に背中からは巨大な棘が発射されプレイヤーを襲い始める。
「ぎゃあ―――」
「避けれないわ」
「来るな―――」
プレイヤー達は阿鼻叫喚。ミステリーアイランドタートルは水流噴射で高速で動き出し、前衛・後衛関係なく背中から発射される巨大な棘や水流で攻撃していく。攻撃の威力も高く、タンク以外は一撃で死んでいく。
少し時間が立ち、僕達はミステリーアイランドタートルが海水を補充している間に作戦会議を進める。どうやらあの状態のミステリーアイランドタートルは一定時間水流噴射で移動し攻撃した後、海水を補充するために再び海流の壁に頭を突っ込む。
「マリー、今のこっちの戦況は?」
「プレイヤーの人数は残り19人、アイテムも不思議な蘇生薬不思議な完全回復薬はなくなって不思議騎士の槍も残り5本ね。復活回数もみんなもうないわ。はっきり言って次の敵の攻撃で全滅ね」
「さて、何か打開策がある?」
ライアさんが何かアイデアがないか聞く。現在残ってるのは僕、ナツ、ウィン、ヘスト、マリー、ヴィオラ、アカリ、ライア、チヤ、シンタロウ、紅葉、アゲハ、ホーリー、ミズホ、カガリ、スワン、ケイロン、タオ、黒潮。しかし全員口をつぐむ。
その中僕は腰に下げているポーションポーチの中を覗く。そこにはこのイベント前に作った3本のポーションがある。ただこのポーションは素材の希少価値や場所にいろいろと問題があり、できれば使いたくなかったんだよな。具体的に言うと使ったら絶対質問攻めにあう。
でもイベントも終盤、ミステリーアイランドタートルもダメージを受けているようで息も荒く、最初に比べたら動きも遅く、攻撃精度も低い。もう一押しのはずだ。何もアイデアが出ない中、とうとうミステリーアイランドタートルが水流の壁から頭を出し補給を終える。そして再び甲羅の中に手足と頭を戻し始める。
僕はポーションポーチから青い薬品を取り出す。この薬品はガラス瓶にいろいろ細工が施されており、青い液体の中には一枚の羽が入っている。この薬品はヴェズルフェルニルの霊薬(試作品)だ。
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ヴェズルフェルニルの霊薬(試作品)
ランク7
品質:最高品質
効果:一定時間跳躍力上昇(大)、スピード+200、落下ダメージ無効
解説:ヴェズルフェルニルの羽や世界樹の雫を用い作られた霊薬。使用者に強大なスピード、跳躍力を与える。ただしまだ素材の力を引き出し切れていない
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ヴェズルフェルニルは世界樹に住む鷹の魔物だ。大きさは普通の鷹だがその戦闘力は恐ろしいほど高く、体がかすっただけでHPは全損する。そう、今回用意したポーションは全て妖精と精霊が住む『フェアリーガーデン』で採取できる素材で作ったものだ。
ただヴェズルフェルニルの説明で分かってもらえるように、『フェアリーガーデン』周辺のダンジョンの魔物の強さのアベレージはランク7、世界樹に至ってはランク8、現状到底戦えるレベルではない。
ではどうやって素材を入手したかというと死に戻りしながら落ちているアイテムを回収していった。ただこの方法だが⦅隠蔽⦆を使いながら回収するのだが、デスペナ中では⦅隠蔽⦆の効果が弱まり、魔物に遭遇しやすくなるためそこまで素材の回収はできなかった。まあ、そこまで楽じゃないよね。
さてこのヴェズルフェルニルの霊薬(試作品)だが説明の通り完成品じゃない。どうにか⦅錬金術⦆の力で形にはなったがまだまだ改良の点はたくさんある。僕はこれをナツに渡す。
「兄ちゃん、これ何?・・・え?」
「ナツ、それ飲んだら⦅月光脚⦆の準備を。みんなは総攻撃の準備を。奴は僕が動けなくします」
みんなに指示した後、今まさに回転を始めたミステリーアイランドタートルへと駆け出す。そして腰のポーチからポーションを取り出す。このポーションもガラス瓶が細工されており内部は緑の液体が詰まっていて、少量の土がついた樹の芽が浮かんでいる。これは急速成長・世界樹爆弾(試作品)だ。
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急速成長・世界樹爆弾(試作品)
ランク8
品質:最高品質
効果:一本の巨大な木が生える
解説:割れた地点に巨大な世界樹の若木をはやすポーション。樹は一定時間で消える。ただしまだ素材の力は引き出し切れていない
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僕はスナイプスローでちょうど回転を始めたミステリーアイランドタートルの真下で割れるように急速成長・世界樹爆弾(試作品)を投げる。ミステリーアイランドタートルもダメージが蓄積されているようで毎回水分補給の時間や回転から攻撃への移行の時間が長くなっていた。
ミステリーアイランドタートルの真下で割れた急速成長・世界樹爆弾(試作品)は中身の土と世界樹の若葉が地面に落ちると同時に急激に成長し一本の巨大な樹に成長する。真上にいたミステリーアイランドタートルは樹の成長による突撃を受け吹き飛ばされ何回転かした後仰向けになり4本の足をじたばたさせている。
『なんじゃあれーーーー』
あまりの光景に他のプレイヤーは動けずにいる。まあいきなりこの場面見たらそうなるよね。そして僕は腰のポーチから最後の一本を取り出す。はっきり言ってこれが今回持ってきたポーションで最もすごい。先に使用したポーションは支援系だがこれは完全なる攻撃系、その名もデスブロッサムX(試作品)だ
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デスブロッサムX(試作品)
ランク8
品質:最高品質
効果:対象にダメージ
解説:デスリリーの花片、エクスプロージョンブロッサムの種子などの素材で作られた爆発ポーション。その威力は絶大。ただしまだ素材の力は引き出し切れていない
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この薬品は余りにも威力・範囲が広すぎて使うのをためらっていた。ミステリーパラディン戦でも間違いなく爆破に巻き込まれて全滅していただろう。だが今なら大丈夫。
僕は薬品の全ての性能を5倍に上げる錬金魔法:濃縮に、投擲物の威力を1.5倍に上げるパワースロー、さらに復活の錬金術師と⦅中級投擲術⦆のスキルも組み合わさって効果マシマシになったデスブロッサムX(試作品)を投げる。
シュ――――― パリン
ボ―――――――――――ン
プレイヤーの前に今まで見たことが無いほどの爆発と爆音が響き、耳をふさぐものもあらわれる。爆発は島ほどの大きさのあるミステリーアイランドタートルをすべて包み込み巨大な真紅の桜の花の煙を生み出した。その煙が晴れるとそこには甲羅や皮膚に亀裂やひびが生じ動けないでいるミステリーアイランドタートルがいた。
そこへ
「ドルフィン・サイクロン」
⦅開放(精霊力)⦆⦅変化(人魚化)⦆⦅オーバーブースト⦆で強化されたシズクが放った水で作られた大量のイルカにより生み出された竜巻、中級精霊魔法:水ドルフィン・サイクロンが
「クリムゾンフィスト」
⦅開放(精霊力)⦆⦅獣人化⦆で強化されたヒミコが放った炎で作られた巨大な拳、中級精霊魔法:火クリムゾンフィストが
「ブラックボルテッカー」
⦅開放(精霊力)⦆で強化されたヒビキが放った黒い雷、中級精霊魔法:雷ブラックボルテッカーがミステリーアイランドタートルを襲っていく。
他のプレイヤーも続々と攻撃を加えていく。しかし
「どんだけHPあるんだよ」
シンタロウの叫び声が響く。全員がスキルを放ち終わるがまだミステリーアイランドタートルは倒れない。そこへ・・・
私は兄ちゃんからもらったヴェズルフェルニルの霊薬(試作品)を飲む。すると今まで感じたことが無いほど体が軽くなる。すると今度はミステリーアイランドタートルの近くに巨大な樹が生える。
私は⦅ムーンフォース⦆⦅月兎⦆などの強化を行った後、すぐに樹に向かって走り出し⦅立体軌道⦆で樹の表面を足場にして駆け上がる。そして⦅空渡⦆の効果で空中を足場にさらに駆け上がる。
⦅空渡⦆の効果が切れる瞬間大ジャンプをする。私はヴェズルフェルニルの霊薬(試作品)の効果で今まで来たことが無いほど高くまで上がった。そして眼下で小さくなっているミステリーアイランドタートルに向けてスキルを放つ。
「⦅月光脚⦆」
空から一筋の青い星が降ってくる。アレはナツの⦅月光脚⦆だ。ヴェズルフェルニルの霊薬(試作品)の効果でより高くまで上がり⦅空襲⦆の効果でより威力が増したみたい。ナツはそのまま満身創痍のミステリーアイランドタートルに直撃し、ミステリーアイランドタートルは消滅する。
『ミステリーアイランドタートル撃破おめでとうございます。それではミステリーアイランドタートル戦pt発表に移ります』
アナウンスが流れると僕達は別の空間に飛ばされる。そこには途中から死亡回数が限界に達して戦闘に戻れなかったプレイヤーがいた。僕達は囲まれ
「おつかれ」
「おめでとう」
「いやー、最後の一撃には興奮したぜ」
「もうクリアできないと思ってた」
「あのポーションってどこで手に入れたの?」
「まだあるなら売ってくれ」
いろいろ感想を言ってくれたり、健闘をたたえあった。特に最後のポーションについてはいろいろ聞かれたが
「はいはい、さっきのポーションについては詮索しないの。さっき聞いたけどあのポーションは偶然見つけてもうないんだって?ねえ?」
マリーさんがウインクをしながら聞いてくる。なるほど、そういうこと
「ああ、そうなんだ。偶然森の奥で見つけたからこのイベントに持って来たんだけど貴重だから使うのを渋ってたんだ。だけど皆の奮戦を見て僕ももったいないと考えるのは止めて使ったんだ。さすがにあの威力になるとは思わなかったけど」
僕の話を聞いて「まあそれならしょうがないか」「確かにあのアイテムが無かったら倒せなかっただろうし」とみんな納得してくれる。
『さて、みんな改めておめでとう。まさか倒されるとは思わなかったよ。さてイベントptについてだけどこのフィールドから元の場所に戻った時にわかるけど、参加したプレイヤーには討伐報酬ptを与えるよ。次に与えたダメージ、回復や支援に関する貢献度などからD~Sの5段階評価でptを与えるよ。でここからは個別ランキング、これは上位5名順位ごとにptを与える』
そこまで話し終えると空中に文字が浮かび上がる。
『まずは総被ダメージランキング。これは受けたダメージ量のランキングだ。では・・・』
すると順位と名前が空中に出てくる。あ、タツヤさんが1位だ。うーん、どうやら従魔(例えばヒビキ)については計算に入れないみたい。もし従魔もカウントされるならヒビキもいいとこいってると思ったんだけど。
『次に支援ランキング。これは味方を回復した量、バフ、デバフをかけた時間を総合的にランキングしたものだ』
次に支援ランキング。まあ、これは⦅僧侶⦆⦅黒魔導士⦆⦅白魔導士⦆の独壇場だろ。ランキングを見ると1位の所に僕の名が載っている。え、どういう事?時々ポーションを投げて味方を回復していたけど、それならアカリの方が多い気がするんだけど
『さてこのランキングには疑問を持つ者もいるでしょう?だから少し説明しとこう。一位のケンだが彼はぶっちぎりで支援ptが高かった。何故かというと不思議な自動蘇生薬と⦅錬金魔法:広域化⦆だな』
なるほど、⦅自動蘇生⦆もカウントするなら納得できる。⦅自動蘇生⦆は他のバフ、デバフに比べて時間制限もないし、⦅広域化⦆でほとんどのプレイヤーに効果を与えていたから
『次はダメージランキング。これは単純に今回のミステリーアイランドタートル戦で与えたダメージに関するランキングだ。ちなみに途中であった魔物戦も含まれているから』
そしてランキングが発表される。5位はアカリ。これは魔物討伐で稼いだのかな。4位はライア、3位はケイロン、2位は紅葉。そして1位はナツ
「やったよ。兄ちゃん」
「おめでとう、ナツ」
『最後は一撃ダメージランキング。これはわかるとおもうけど一撃のスキル、アイテムの威力のランキングだ』
ランキングを見てみると2位にはナツ。確かに最後の⦅月光脚⦆はすごかったからな。そして1位にはケン、僕の名前があった。
「確かに最後の薬品の威力は尋常じゃなかったからな」「広域化で効果範囲も上げてたんだろうし」とそこら辺から納得している声が聞こえる。
『さて個別ランキングも終わったけどこのイベント最後の発表、MVPだ。今回のMVPはミステリーアイランドタートルを転ばして妨害、『デス・ブロッサムX』による最大ダメージを与え、⦅自動蘇生⦆による全体支援を行ったプレイヤーケンだ』
その宣言と共に僕の頭上からスポットライトが照らされる。。その様子を見たみんなから拍手がなされ「マジで⦅自動蘇生⦆は助かった」「今度イベント手伝って」「次回のイベントも頑張ろうぜ」などなど様々な言葉をかけられる。




