第一次運営イベント㉓作戦会議②
「私はマリーよ。ギルド『インフォ・プロダクト』のギルマスでメインジョブは【薬師】【裁縫師】戦闘では【槍術士】よ」
「儂はガイウス。同じく『インフォ・プロダクト』所属じゃ。メインは【中級鍛冶師】戦闘では【大槌使い】じゃ」
「俺はバイロン。『インフォ・プロダクト』所属で、メインは【木工技師】戦闘では【土魔法使い】だ」
「私はカオリ、『インフォ・プロダクト』所属の【中級裁縫士】よ。戦闘では【細剣使い】よ」
「ヴィオラです。メインは【スピリットテイマー】で従魔であるホムラ達と共に戦います」
ヴィオラは自己紹介とともにホムラを召喚する。事前に僕とヴィオラにはマリーさんから最初従魔は控えさせといて、自己紹介の時に召還してと言われていた。
「やっぱり、あなたがヴィオラさんなんですね?ギルド発足時あなたともう一人の【スピリットテイマー】に声をかけようと思ったのですが、今まで会えなくてやきもきしてました」
ヴィオラの自己紹介を聞いた『夢色テイマーズ』のギルマス ミズホさんはヴィオラに近づいていく。どうやらこの場で勧誘するみたい。しかしヴィオラとミズホさんの間にマリーさんが入り込み
「ミズホ、今はギルド勧誘はやめて。話が先に進まないわ。自己紹介と大まかな作戦が決まったらしてもいいから?でも無理強いはだめよ」
「ええ、そうね。今はミステリーアイランドタートル戦のことを相談しないと。ヴィオラさん、後で話しましょう」
ミズホは元の場所に引き下がった。よかった、どうやらこの会議中は勧誘はなさそう。だってミズホさんが言っていたもう一人の【スピリットテイマー】(ジョブ名は違うけど)は僕だろうから。自己紹介は続く。
「私はアカリといいます。メインジョブは【見習い錬金術師】で、戦闘では【盾使い】として戦ってます」
アカリが【見習い錬金術師】だと説明すると周りがざわざわと騒ぎ始める。どうやら最近出回り始めた見習い錬金術製の薬品について話してるみたい。
現在Shopでは大きく分けて3種類の薬品が売られている。一つ目が【薬師】系の職業が作った薬品。この薬品はアップデート直後から売られており、NPC、プレイヤー様々な人が売買している。
次に出てきたのが錬金術で作られた薬品。この薬品は普通の薬品より効果が高いが本数が制限されており高価だったため、レアアイテム扱いとして売買されていた。この薬品が出回り始めてから、どこかに【錬金術士】のジョブか【錬金術】の習得ができるのではないのかと様々なプレイヤーや掲示板で捜索や討論がなされたそうだ。
僕がこのことを知ったのはマリーさんからなんだけどね。マリーさんとも相談したけど【???の錬金術師】の取得条件もわからなかったし(今もわからないけど)、僕が質問攻めに会うかもしれないから、この時は情報を秘匿したんだ。
3つ目が見習い錬金術によって作られた薬品。これは【見習い錬金術師】が作った薬品で効果としては錬金術製の薬品より少し劣るが値段はちょっと高価な薬品程度。ある日突然職を変えた【継承の錬金術師】のマイラが連れた【見習い錬金術師】により作られた薬品で、一気に市場に出回った。
プレイヤーたちもこれで【錬金術師】の職に就けるとマイラに対して様々なアプローチをかけたが誰も【見習い錬金術師】になることはできなかった。これに関して一部のプレイヤーが運営に「これはバグなのでは?」とメールを送ったが
『正当な手順を踏めば【見習い錬金術師】になることはできます』
と言われたそうだ。
このように錬金術に関しては『WMMP』内でジョブの名前はわかっているが就き方がわからない一種の謎として存在していた。そう。今日この時までは。
「すこしいいかな?アカリさん?」
深い緑色のローブを着込んだおじいちゃんがアカリに話しかける。あのおじいさんは『マジックアカデミー』のギルマス、ケイロンさんだ。アカリがうなずくとケイロンさんは続きを話し出す。
「詮索は失礼だと重々わかっているんじゃがどうやって【見習い錬金術師】になったのか教えてくれんか?わしらもいろいろ探してみたんじゃが全く分からなかったんじゃ」
ケイロンさんだけでなく、先ほど騒いでいたプレイヤー全員も静まり返っている。アカリはマリーさんの方を向くと、マリーさんが一つ頷き話し出す。
「安心していいわよ。アカリちゃんと相談した結果イベントが終わったら【見習い錬金術師】については情報を解禁するつもりだったし。じゃあアカリちゃん説明してあげて」
マリーがアカリにふるとアカリは【見習い錬金術師】になった時の話をする。それを聞いたケイロンさん達は
「なるほど、聞いた感じ【見習い錬金術師】になるには【薬師】だけではなく戦闘技術やいろいろと必要そうじゃな。これは研究しがいがある」
「研究もいいですけどイベントの後にしてくださいね、ケイロン。じゃあ自己紹介の続きね。あ、ケン君は最後ね。じゃあナツちゃんお願い」
え?飛ばされたんだけど。なんで?
「私はナツ、ケン兄ちゃんの実の妹で、メインジョブは【月の戦士】だよ、サブには【曲芸師】【戦士】。よろしく」
「私はウィン、ケンたちと一緒のパーティーよ。メインジョブは【ぬいぐるみマスター】サブは【シューター】【裁縫師】です。戦闘ではメイ達を召喚して戦います」
「私はヘストといいます。ケン君と同じパーティーでメインジョブは【魔闘家】サブとして【僧侶】【陰陽師】についています。戦闘では基本ヒーラー役ですが、場合によっては接近戦もします」
「初めて聞く職業がたくさんあるんだけど」「まさか全部ユニーク職?」など先ほどと同様にざわざわプレイヤーたちが騒ぎます。
パン
するとマリーさんが一拍手をたたいて注目を集めると
「言いたいこともあると思うけど、詳しい職業の説明については最後の彼の自己紹介が終わったら説明するから。じゃあケン君お願い」
マリーさんに促され僕は1歩前に出て自己紹介を始める。
「僕はケン、メインジョブは【開拓者】サブとして【異質なテイマー】【復活の錬金術師】です。戦闘ではヒミコたちと一緒に遠・中・近すべての距離で戦えます」
僕はヴィオラと同じくヒミコを召喚して自己紹介を終えた。すると僕のジョブを知っている一部の人以外顔がポカーンとしている。
「作戦のこともあるからナツちゃんから順番に大まかなジョブの説明をするわね。・・・」
全員が口をつぐむ中、マリーさんが僕たちのジョブの大まかな説明をする。
皆がこれまでより集中して耳を傾け始めた。
「で、ケン君のジョブなんだけど、まずは【復活の錬金術師】からね。これはシークレットユニーク職の1つで、簡単に言うと『WMMP』内でNPCも含めて初めての錬金術師がケン君なの。一時期市場に流れていた錬金術製の薬品は彼の作品よ。詳しく知りたかったらあとで彼に聞いて。ちなみにジョブの習得方法は全く分かっていないわ」
「次に【異質なテイマー】ね。これは結構有名よね。【ビーストテイマー】や【バードテイマー】と同じようにある条件の従魔を多数仲間にしていると就ける職業で、【異質なテイマー】の場合、異質な従魔を仲間にしなくちゃいけないみたい。で、異質な従魔って何?と思うわよね。ケン君の話やほかの従魔の話を聞いてみてわかったんだけど、異質=ユニークではなく、何か特殊な条件、イベントで仲間にできる従魔みたい」
「最後に【開拓者】ね。これは知っている人もいるかもしれないけど⦅アイネの日記⦆の主人公アイネがついていた職業よ。今のところケン君のみのシークレットユニーク職ね。このジョブは戦闘系ではなく冒険に特化したスキルを覚えるみたい。みんなも一度は聞いたことがあるでしょ?『イベントゲッター』の話。彼がそのイベントゲッターよ」
「『開拓者』の就き方はわからないんですか?」
「おそらくという条件は目途がついてるわ。ただ再現は無理そうね。私たち情報ギルド『インフォ・プロダクト』が集めた情報では、【開拓者】はおそらくアップデート時、最もアイネの島を攻略していたプレイヤーがつく職業みたい。ちなみにケン君は通称大毒蜘蛛、岩猪、咆哮熊の討伐さらに海底の洞窟まで見つけていたわ」




