表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Wonderful Mystery Marvel Planet』  作者: アマテン
AI(アイリ・アイランド)編
15/723

角兎と初めての料理

 僕は『WMMP』の世界から現実の部屋へ戻ると、VRギアを頭から外し軽く体をほぐす。VRゲーム直後は身体がこわばって動きにくくなるから、体をほぐすのは大事なんだ。時計を確認すると午後7時、母さんの言う通りそろそろ晩御飯だろう。部屋の扉を開けてリビングに行くと



「あ、父さん帰ってたんだ」

「ああ、ただいま、険人」



 リビングでは父さんがテーブルでいかの一夜干しをつまみに、ビールを飲みながらTVを見ていた。父さんの名は御剣雅也(みつるぎまさや)。ゲーム関連の大手出版会社で働いている今年39歳になるおじさんである。ちなみに母さんは御剣明日香(みつるぎあすか)。ゲーム関連のプログラマーだったが結婚と同時に寿退社、基本専業主婦だがたまに元の職場に手伝いに行っている。


「険人は『WMMP』してたんだって?発売発表からずっと楽しみにしてたもんな。どうだった?」

「私も気になるわ。聞かせて?」


 僕が冷蔵庫から飲み物を取り戻ってくると父さんが『WMMP』のプレイ感想を聞いてきた。すると母さんも晩ご飯をテーブルに並べながら便乗してくる。今夜の夕食は鳥の照り焼きだ。おいしそう。


 僕が『WMMP』の感想を話していると父さんと母さんは面白そうに聞いてくれる。2人共ゲーム関連の仕事をしているから、父さんからは公表されている様々な情報を教えてくれたり製作の裏話を教えてくれたり、母さんはプログラマーの観点からゲームの話を聞いている。一応言っとくけど、ゲーム攻略やイベント情報など聞いてはいけないことは聞いていないし、外で話すときはインターネット上で話されているかどうかを確認して伝えているから。


 父さんもたまにゲームを持ってきてプレイ感想を聞いてきたり、ゲームの記事を持ってきて感想を聞いてきたり、母さんはゲームのテストプレイを頼んできたりしてくるからね。


 父さん達と晩ご飯を食べた後、お風呂やその他もろもろの用事を済ませた午後9時、僕は再度『WMMP』の世界にログインした。



 朝、ベッドから起きた僕は早速外に出て、外に放置している皿とツボを確認しに行く。うまくひび割れず乾燥していたらいいけど。

 これは・・・・あちゃー、ツボの方はだめっぽい。皿は表面が少しひび割れているけど使えないことは無いが、ツボの方は底や外壁がひび割れてこのまま水を入れたら漏れそうだ。うーん、何が悪かったんだろう?粘土の練り具合かな?もっと厚く作ったほうがよかったのか?これは色々試してみよう。


 僕はツボの割れ目に粘土を刷り込み修復すると再び外に放置する。乾燥時間を見て見ると前回より短くなっている。やっぱり大きさや乾かす量で時間が変わるみたい。これなら夕方には乾いているはず。


 壺・皿の確認は終わったので森の探索を進めよう。現在小屋を中心に東に泉、西にウルフに遭遇した場所があり、南に漂着した砂浜がある。今日は西方面に進もう。ウルフに遭遇した場所からさらに西に進むと基本的に森が広がっていた。30分ほど歩くと森を抜け、足首の高さまで伸びる草が広がる草原にたどり着いた。その草原を歩いていると


キュー


 草から何かが飛び出てきた。飛び出してきたのは角が生えた兎で、僕に気づくと角を突き出し威嚇してくる。鑑定してみると


---------------------

角兎

ランク1

解説:角の生えた兎。敵を見つけると頭の角で攻撃する。頭の角は折れても数日で生えてくる

----------------------


 角兎という魔物らしい。大きさは小学校で見た兎に比べて1,5倍ほど。よくRPGの序盤で見る魔物だが2Dで見るのと実際に見るのでは迫力が違う。


 角兎は頭の角を突き出しながらこちらに向かって突進をしてくる。僕は牙のナイフを右手でとりだし構える。前回のウルフ戦では石しかなかったけど、今回は武器がある。ここでナイフの扱いに慣れよう。最初の突進は余裕をもって横に躱す。うん、ナイフがあっても動きに問題はないね。それに角兎の動きも見える。次は反撃だ。また角兎が突進してきたのでさっきと同様に右に躱し、今度は角兎の右わき腹を切り付ける。ダメージエフェクトが発生し角兎にダメージを与える。着地した角兎はたたらを踏んで動きを止めたが、すぐにまた突進してくる。序盤の魔物だからAIはそこまで複雑ではないみたい。

 

 危なげなくそれを何度か繰り返すと角兎は地面に倒れポリゴン化し素材を落とした。


---------------------

角兎の肉

ランク1

重さ:200g

耐久度:60

品質:低品質

解説:角兎の脚の肉。動き回る角兎の身体を支えているため肉は引き締まっている

----------------------


 初のお肉ゲット。これをくしに刺してたき火で焼けば焼き肉ができる。お肉の調理法を考えていると突然わき腹に食戟を受けて倒される。急いで立ち上がり先ほどの場所を確認すると別の角兎が角を突き出した状態で動きを止めていた。さっきの衝撃はあの角兎の突進の用でHPが4分の1減っている。


 角兎が再び突進してきたので横に飛ぶ。角兎は勢いをつけすぎたのか偶然僕の後ろにあった木にぶつかる。その時角兎の角が樹に刺さり必死に抜こうとあがいている。ラッキー、これは攻撃のチャンス。僕はその隙に角兎を何度も攻撃し倒すことに成功。但し何も素材は落とさなかった。でもこの方法は使えるかも。

 

 平原にいる角兎を一匹ずつおびき寄せ、先ほどと同じように倒していく。素材集めもかねて昼までその方法を繰り返していると合計10匹の角兎を倒せて


---------------------

角兎の角

ランク1

重さ:100g

耐久度:50

品質:低品質

解説:角兎の角。角兎の角は折れたとしても数日すぎると生えてくる

----------------------

角兎の皮

ランク1

重さ:200g

耐久度:40

品質:低品質

解説:角兎の皮。少し切り傷があるが問題なく使えるだろう

----------------------


 新しく2種類のアイテムが手に入った。まずは角兎の肉、これは『WMMP』内で初めての肉料理が食べれる。早速今度食べてみよう。続いて角兎の皮、これを使えば服やバッグなどいろいろなことに使えそう。

 

 更に各素材についても面白いことが分かった。例えば角兎の肉なら


---------------------

角兎の肉

ランク1

重さ:400g

耐久度:60

品質:低級品

解説:角兎の胸の肉。角兎の中なら比較的柔らかい肉

-----------------------


 先ほどは足の肉だが、今度は胸の肉だった。どうやら肉にも部位があるらしい。味の違いも気になるところだ。次に角だが


---------------------

角兎の角

ランク1

重さ:40g

耐久度:30

品質:低級品

解説:角兎の角。角兎の角は折れたとしても数日たつと生えてくる。何度も固いものと衝突してボロボロになっている

----------------------


 一度作戦が失敗して何度か牙のナイフで攻撃を受けて倒したところ、耐久度が低下した角を手に入れた。皮でも同じようなことが起きた。どうやら倒し方によってドロップするアイテムの耐久度に変化が生じるみたいだ。角だけを見ると最初のように一度も角兎の攻撃を受けずに倒すか、角を狙い一撃で折ると耐久度が高い角が出た。角が折られると角兎はすぐに逃げていったが。


 森の探索を終え小屋に戻った僕は、早速たき火を作り料理の準備をはじめる。といっても先ほど手に入れた角兎の肉を取り出し手ごろな大きさに切っていく。そして木の枝の先を牙のナイフで鋭くして作った串に刺してたき火で焼く。

 焼いている間、朝に修繕したツボなどを確認したが、ひび割れもなく無事乾いていた。


 そして焼けた肉を取り出すと


---------------------

角兎の焼き串肉

ランク1

重さ:250g

耐久度:50

品質:低品質

解説:角兎の肉を串にさして焼かれたワイルドな料理。塩があればさらにおいしかっただろう

----------------------


『初めて料理を作った。新しくセットスキルを一つ獲得できます』


 料理として認識されたようだ。早速食べてみると・・・外で食べる焼いた肉の味は少し獣臭いがおいしかった。ただ解説にあったように一味足りなかったので塩は欲しいな。近場に海があるから浅い皿の様なもので海水を取ってきて、水分を飛ばせばできるかもしれない。でも確か結構高温じゃなかったらおいしい塩はできなかったはず。今度試しに作ってみよう。


 残りの時間はたき火に先ほど乾いたツボと皿を入れて焼きの工程に入る。これでうまくいけば完全に水分が抜けて丈夫な土器ができるはずだ。


 後は塩さえあれば食料については解決しそう。水に関してはツボが完成したら解決するはずだから午後はまた探索しよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 角兎という魔物らしい。大きさは小学校で見た兎に比べて5倍ほど大きい白いうさぎだ。RPGの序盤によくいる魔物だ。 はい?うさぎって体長30〜40cmあるんですが5倍って言うと150〜2…
[一言] 焼き上がりにひびってことは乾燥が足りなかったんだろうねぇ まぁ自然乾燥してないし妥当
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ