143 第一次運営イベント⑬ ミステリーモグラとの戦い①
ラビットグリーンとのイベントを終えた僕達は早速泥沼エリアの中央にある石柱に向かう。早速それぞれの石柱にマッドゴーレムから手に入れた器をはめると石柱は地面に沈んでいく。すると
グラグラグラグラ
「きゃあ」
地面が波打ち巨大な地震が辺りを襲う。僕たちがその揺れに動けないでいると何かが泥の地面を割り飛び出てくる。それは
「モグ――――」
全長10メートルを超える巨大なモグラが現れた。爪には巨大な鉄爪、口には巨大なドリルが付いている。あれってRPGでよくみる魔物じゃん。鑑定してみると
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ミステリーモグラ
ランク4
カテゴリー:【獣】
解説:ミステリーアイランドに生息する巨大なモグラ。島の豊富な食べ物と長年の戦闘で爪は硬質化し鉄の硬度に、鼻はドリルの形状に変化した
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やっぱりミステリーモグラだ。よく見るとミステリーモグラの口元には石柱にはめた器が咥えられており、ミステリーモグラはそれをバリバリと砕きながら食べている。そして食べ終わった後、
「モグー」
ミステリーモグラは自身の目の前にいる僕たちに地面をえぐりながら横から爪で攻撃してくる。うわぁ、攻撃範囲めっちゃ広い。それに今の位置じゃ全員早く避けられない。てことは
「ヒビキ、ヘストを。アカリはマリーさんを防御して。シズクは僕が防御するから」
全員に伝えると僕は持ちこんだ〈水精蛇の盾〉を構えて後衛で防御力が低いシズク、ヒビキとアカリもそれぞれ回復役のヘスト、防御手段がない準アタッカーのマリーさんの前に立ち攻撃に備える。
ドーン
くっ!僕とアカリのダメージはHP3割減ほどに抑えられたが後ろにいたシズク、マリーさんを巻き込み吹き飛ばされる。でもこれで距離が稼げたからシズクは攻撃できる。ヒビキはその場で攻撃を受け止めとどまり、ヘストに回復してもらう。
そこへさらにミステリーモグラは爪を振り下ろす。ヒビキも必死に盾で耐えるが
「ヒビキちゃん一人じゃ回復が間に合わないわ」
ヘストが今の状況を伝えてくる。それに従い僕が盾を構えながらヒビキたちのもとに駆け寄るがミステリーモグラは再び攻撃を加えようと爪を振り上げる。パーティーメンバーのヒビキのHPを見てみると、先ほどの連撃でのこり4割。ヤバイ、ヘストの回復魔法のクールタイムもあるし、この距離じゃポーションを投げても間に合わない。そんな絶体絶命の中ミステリーモグラの鉄の爪が振り下ろされるが
「⦅ヒバチ一閃⦆」
いつの間にかヒビキ達の前に現れたヒミコがミステリーモグラが振り下ろす鉄の爪にスキルを放ち攻撃を弾く。やっぱりヒミコは【妖術:陰】の新スキル⦅潜影⦆を使ったみたい。⦅潜影⦆は近くの影に一定時間隠れることができるスキルで先ほどの攻撃をかわしていた。
ヒミコの一撃でもミステリーモグラの攻撃を一回止めただけでさらに鉄の爪で攻撃を加えてくるが、すでに僕がヒビキ達の下に着いており盾を構えて攻撃を受け止めた。だけどやっぱり先ほどと同じように僕は吹き飛ばされる。どうやら大盾じゃなければ吹きとばされるみたい。だけど時間は稼げた。
「ヒビキちゃんの回復終わりましたよ。ケン君」
ヘストからヒビキの回復が終わったことが伝えられる。どうやらクールタイムの時間は稼げたみたい。それに僕は上空を見上げる。空には青白い一筋の光が見える。
「⦅待宵月⦆」
⦅立体駆動⦆で空に逃げたナツが【月光剣】の新スキル⦅待宵月⦆を放つ。⦅待宵月⦆は突き技で月光力により剣先に青白い刃が形成され、さらに空中で放つことにより威力が増し青白い光の槍の様な一撃がミステリーモグラを貫く。
「モグ――」
「ナイス、一撃!ナツ」
ミステリーモグラが大ダメージで怯んでいる間に隣におりてきたナツに先ほどの一撃の感想を伝える。ナツの一撃はミステリーモグラの身体に大きな傷を与えている。
「みんな、作戦を伝えるよ。ヒビキはそのままメインタンク役を。だけど避けれる攻撃はかわして。僕はサブタンク役として少し後ろで攻撃をするから」
「はい、マスター」
「ヘストは後方でヒビキの回復をお願い。シズクもヘストと同じ場所で魔法攻撃、アカリはもしもの時のためにヘストとヒビキを守ってあげて。それ以外ではポーションで援護を。あ!例のあれはまだ使わないでね」
「「「ええ」」」
「ヒミコ、ナツ、マリーさんはそのまま攻撃して。ただし無理にダメージは狙わないこと」
「「「わかったわ」」」
ミステリーモグラは先ほどと同じように自分の近くにいるヒビキを爪で攻撃していく。しかし先ほどとは違う点がある。それはヒビキの近くに味方がいないことだ。ヒビキは受け止めるだけでなく、時に受け流し、時に躱しミステリーモグラの攻撃に対処している。
ヒビキがミステリーモグラの攻撃に対応することでミステリーモグラに攻撃の隙が出始め、ナツ、ヒミコ、シズク、マリーさんそして僕が攻撃を加えていく。しかしさすがボスであるミステリーモグラ、さらに攻撃パターンを増やしていく。爪を地面に突き立て、そのまま爪を振り上げ土砂や泥水を吹きとばしてくる。この攻撃は射程が長く、シズク達後衛組にもあたる。更に近接組には鼻のドリルを連続で地面に突き立ててくる。この攻撃は地面がえぐれ体勢を崩してしまうため、きちんと避けなければ危険だ。
このような激闘を繰り返すうちにヘストの回復が間に合わず危険な場面もあったがその都度僕かアカリがポーションで援護して戦線を維持していく。そしてミステリーモグラに大小様々な傷がついたとき。
「モグー」
ミステリーモグラは一鳴きすると地面に潜りだした。




