140 第一回運営イベント⑩海岸エリア攻略中
「てっことがあったんだよ」
ナツたちはトロピカルエリアで起こったことを教えてくれた。でもこれで紋様の封印は1つ外れたし、他のメンバーと同じく倒される前に逃げたみたいだけどラビットレンジャーの一体は倒したみたいだから、すごい成果じゃん。
そう伝えるとナツたちは嬉しそうに微笑みを浮かべる。僕たちの成果も話し改めてこのエリアですることの確認を行う。この海岸エリアですることは2つ。
1つ目は残りの宝石魚を手に入れること。昨日僕達はこの海岸エリアでミステリー・ルビー、サファイア、アメジスト、ダイアモンド・フィッシュの4種類は釣ることができた。しかし岩場エリアで採れた宝石は6種、あとエメラルド、トパーズの宝石魚がいるはず。
2つ目はラビットレンジャー。このエリアにはブルーがいるはず。手帳には
『ブルーの奴もいないな。あいつは広い水の中を泳ぐのが好きだからな。それに貝それもホタテが好きだから、海にいるはずだ。泳いだ後はのんびり釣りでもしてるんじゃないのか』
手帳から読み取るとブルーは海で泳いでいるのを見つけるかこの海岸エリアのどこかで釣りをしているのを見つけるかになりそう。ただ見渡す限り釣りをしている人物(?)は一人もいないから海の中かもしれない。探すヒントとしてはホタテがいっぱいある場所かな。
とにかくまずは海の中に入ってみよう。僕たちが海に入ろうとすると
「あの」
ヴィオラが手を挙げて僕たちを制す。
「どうしたの?ヴィオラちゃん?」
「ホムラと茶々は水の中に潜れないので、浜辺で待たせておいていいですか?」
「ああ、そういえばヴィオラには伝えてなかったっけ?シズクのスキル」
「どういうことですか?」
僕はヴィオラにシズクのセットスキル【海の加護】について説明する。それを聞いてヴィオラは目を見張り驚いている。
「つまりシズクちゃんと一緒にいれば、呼吸を気にせず水が苦手なホムラ達も海の中に潜れるんですね」
ものは試しということで実際に潜ってみると
「本当に何ともない。ホムラ、茶々ここが海の中だよ」
「ピー」
「ポン」
ホムラと茶々はヴィオラの言葉に反応しながら周囲をきょろきょろ見回している。改めて海中を見てみると透き通った視界に様々な色のサンゴが生えており、様々な色の魚が泳いでいる。
少し探索してみるとヒビキが何かを見つけたらしく僕の袖をつかむ。
「マスター、海底深くになにか緑色に光る生物がいます」
ヒビキの指さす方向を見ると海底深くの砂場に緑色に光る鉱石?があった。近づいてみるとその鉱石は突然動き出した。よく見たら鉱石ではなく砂に隠れたヒラメの様な魚だった。緑色の目の魚は急いで逃げようとするが、逃げた先には
「ニャー」
すでにセイラが⦅アクアランス⦆を構え待ち受けており、緑色の目の魚はセイラの水のやりにより串刺しにされ倒される。ドロップアイテムを回収してみるとやはり〈ミステリー・エメラルド・フィッシュ〉。これであとはトパーズだけ。でもヒラメみたいなタイプの宝石魚もいるんだ。イワシやアジのようなTHE魚だけだと思ってた。
さらに海中を探してみると〈不思議なホタテ〉〈不思議なサザエ〉〈不思議なわかめ〉など海産物も見つけた。ふと探索している僕たちの上から影が差した。上を向いてみるとマンタの群れが悠々と泳いでいた。その群れの中に一匹ヒレが茶色に輝いているマンタがいた。あれじゃない?〈ミステリー・トパーズ・フィッシュ〉
僕たちは逃げられないようにターゲットのマンタを囲んで追い詰めていく。幸いなことにマンタ自体に攻撃性はなく近寄っていくと逃げていくだけだった。おいこんだマンタをマリーさんがやりの一突きでとどめを刺すと〈ミステリー・トパーズ・フィッシュ〉がドロップした。これで宝石魚はコンプリート。
次はミステリーブルーだけど海にはまったくいなかった。好物らしい〈不思議なホタテ〉はあったからその近くにいると思ったんだけど。となると一回使うか⦅発見⦆。まだ7回も使えるし、このエリアのクリア条件もわかるかも。
僕はみんなと一緒に海から出ると早速⦅発見⦆を使ってみる
『残り7回使えます、使用しますか?』
僕が【はい】を選択すると海全体にいくつかのアイコンが現れる。現れたアイコンはアクション、キーアイテムの2つ。
アクションは殴る、蹴る、斬るなどのアクションを行うことでイベントが発生する。このアクションだが採取する、伐採する、採掘するなどの条件も含まれるそうだ。
キーアイテムは範囲内のどこかに特定のアイテムを置いたり、捧げたりするとイベントが発生する。
この結果からわかることはキーアイテムの方はおそらく宝石魚と宝石のクラフト品だろう。問題なのはアクションのほう。こっちがブルーのイベントの発生条件だと思う。海がイベント場所だとすると泳ぐ、潜るが関係ありそうだけど先ほどの探索で反応がないということは今回は違うんだろう。だとすればこれしかない。
私たちは餌にブルーが好物らしい〈不思議なホタテ〉を細かく切って、海に釣り糸を垂らし釣りをはじめた。すると普通の魚は釣れたが一向にブルーは釣れない。うーん、一応好物を使ってるんだけど条件が違うのかな。
その時ふと以前テレビで見た餌に人参丸まる一本使ってウサギを釣り上げる光景が頭に浮かんだ。まさかこれって?僕は一番大きいホタテを切らずにそのままつけ、海へキャストする。それから反応がないまま10分、やっぱり違ったかぁと思いつつ糸を巻き取ろうとした瞬間久々に竿に反応があった。それも
「これは今までで一番大きい当たり」
今までと比較にならないほど竿がしなっている。そのまま格闘すること2分
「とりゃぁ」
「きゅう(うわぁ)」
僕が渾身の一撃で振り上げた竿の糸の先には巨大なホタテにかじりついた青いマントに青いマフラー、青いスーツを着た雌のミステリーラビットがいた。それと同時に効果時間内である⦅発見⦆のアクションのアイコンが消滅する。やっぱり釣りが正解だったんだ。
「きゅ・・・・・・(あまりに大きくて食いついちゃったわ。何?あんたたちリーダーの知り合い?私を連れ戻しに来たんでしょ?だったら釣り勝負で勝ったらリーダーのもとに戻ってあげる)」
『イベント:ミステリーブルーとの釣り勝負が発生しました。
参加人数:一人(従魔でも可)
エリア:特殊エリア
時間:一時間
勝敗:1時間以内に30cm以上の魚の釣れた数で勝負。再戦可能』
ブルーとの戦いは釣り対決かだとすると【釣り】のセットスキル持ちの僕かシズクが挑戦した方がいいな。そんなことを考えていると
「お兄様、私が挑戦します」
「大丈夫?」
「ええ、一釣り人として負けるわけにはいきません」
なんかシズクが燃えてる。なんかこわいからここはシズクに任せよう。
「(へぇ、あんたが私の対戦相手ね。そんなヒョロヒョロの体で大丈夫なの?)」
「ご心配なく。釣りも戦闘もただ鍛えれば勝てるわけじゃないですから」
「(言うじゃない。じゃあ勝負よ)」
こうしてブルーとシズクはどこか別のエリアに飛ばされた。
「兄ちゃん、どうするの?」
「とりあえず、採取でもしながら待ってようか?」




