表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

はじめての実績解除

 この先、レーヴァテラスの歴史にどのようなページが追加されるのか、それはあなた次第ですと結んで、ウル君は語り終えた。

 ズレて落ちそうな帽子やしわくちゃになったマントが、過分な身振り手振りをしていたことを示唆しており、軽く上がった息とつばを飲む音が、相当の情熱を込めて言葉を紡ぎ出したのだと物語る。ぬいぐるみの何処に唾液腺があるんだ、とか聞いてはいけない。

 その熱演にお疲れ様と声をかけた。拍手もしたいところだが、生憎手の平の持ち合わせが無い。


「ああ、ありがとうございます。久々に熱を入れて語ってしまいました。最近は皆さん、予習される方が……っと、これ以上はいけないですね。」


「いや、事前知識があったとしても、一見の価値はあったと思うなぁ」


 メタな話に首を突っ込みかけて軌道修正するウル君に、素直な感想を返す。正規の手段でもう一回見るにはキャラ作成からやり直し、というのは残念かな。


「そう言って頂けるとこちらも冥利に尽きるというものです。……ここだけの話ですが、同じ物が見れる場所がありますので、よければ探してみてくださいね?」


 あるのか。言い方からして普通に街の中とかじゃないんだろうな。そんな事を考えていると、ポーンという音と共にメッセージが頭の中に響く。


《以下の実績が解除されました。

  "故きを温ねて" "ウル君とおはなし"》


 実績があるのか。ゲームにもよりけりだが、実績とはゲーム中にて一定の条件を満たした場合、例えば何らかの好記録を出したり、隠し要素を発見したり、普通はやらないようなプレイをしたとき……に得られる称号みたいなものだ。

 コレクション要素を含むため、全実績の解除を目標とする、などは割とやりこみプレイの定番である。また実績の解除がレアアイテムや隠しキャラを入手する条件だったりした場合、それ目的で実績の解除を目指すのもよくあることだ、と思う。俺の場合はこう、妙な名前の称号とかあると取りたくなっちゃったり。


「それにしても"おはなし"しただけで称号がもらえるんだ」


「ええ。自慢じゃありませんが僕、これでもちょっと名の知れたクマでして。また会いに来てくださるつもりなら、実力や名声を上げられることをお勧めしますよ?」


 つまり本来であればウル君と会うまでにいくつかハードルがあって、ある程度プレイしてからの取得が想定されている称号だったのかな?


「今回はまあ、積極的にお話ししてくれたりした貴方へのサービスってことで。またこの後に説明があると思いますが、称号を手に入れるとちょっといいことがあるんですよー。」


 両手を口元に当てて笑ったウル君。いいこととは何ぞやと問い返す暇もなく、視界が光に包まれる。

 よく目を凝らすと自分の足元に魔法陣が描かれているのが微かに見えた。


「さあ、昔話はここまで。これからの貴女の旅路(Record)に、幸多からんことを――」











《続いてチュートリアルに移ります。スキップしますか?》


 ホワイトアウトした視界に一転、メッセージウィンドウが浮かび上がった。チュートリアルに移行する、スキップするの選択肢の他に一旦ログアウトすることもできるようだ。

 ゲーム開始からのゲーム内経過時間(・・・・・・・・)ゲーム外時刻(・・・・・・)がウィンドウ横に表示されており、現実世界では10分と経っていないことに気付く。IBISでダイブするアプリケーションには体感時間が実際の時間に対し引き伸ばされる機能があり、ゲームではまず標準装備である。

 簡単に言えば、ゲーム内で4時間も5時間も遊んでも、実際には1時間しか経っていない、ということが可能になるわけだ。


 ともかく、ログアウトする理由はない。チュートリアルに移






……そういえば、フレンドコードってどんなのだったっけ?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ